【試乗記】2018ワークスチューニンググループ合同試乗会(後編:NISMO/無限編)
- 日産GT-R NISMO NアタックパッケージAキット装着車(4WD/6AT)/ノートe-POWER NISMO ニスモパーツ装着車(FF)/ホンダ・シビックハッチバック 無限パーツ装着車(FF/6MT)/ヴェゼル ハイブリッドRS Honda SENSING 無限パーツ装着車(FF/7AT)/オデッセイ ハイブリッド アブソルートEX Honda SENSING 無限パーツ装着車(FF)
新たな発見がある
TRD/STI/NISMO/無限という国内メーカー直系の4ブランドが、”峠道”のようなクローズドコースで合同試乗会を開催。後編ではNISMOがチューンした「GT-R」「ノートe-POWER」と、無限のパーツをフル装備した「シビックハッチバック」「ヴェゼル」「オデッセイ」の走りをリポートする。
異次元の走りが味わえる ――GT-R NISMO NアタックパッケージAキット装着車
2007年末の発売からすでに11年目。一向に聞こえてこない“次期モデル”のうわさに「やきもき」とさせられるようになってからすでに久しいが、一方でそんな現在のR35型GT-Rが、日本で随一なのはおろか、世界的にもいまだ頂点に君臨する走りのパフォーマンスの持ち主であることも紛れもない事実だ。
そんなモデルをベースに、日産のモータースポーツ・スペシャリストであるニスモが手を加えた“マシン”の走りのレベルが、すさまじいものであるのは当然。実際、今回もアンバサダーとしてイベントに同席したミハエル・クルムさんが駆る「NアタックパッケージAキット」を装着したモデルのパッセンジャーシートでは、「目くるめく官能の世界」を体験することができた。
さまざまなボディーキットや、エンジン/サスペンション等で構成され、工賃込みで900万円(!)という価格(税抜き)が設定されたこのキットは、2013年に7分8秒679という、当時としては「GT-Rのそれまでの記録を10秒以上短縮」というタイムをたたき出したモデルに採用された“タイムアタック専用アイテム”を、17年と18年モデルへの装着を前提にパッケージ化したもの。路面すれすれにセットされたフロントスポイラーやカーボン製のフロントフェンダー/リアウイングなど、見た目も明らかに“ただ者”ではない。
エスケープゾーンなど皆無という群馬サイクルスポーツセンターのコースを、そんなクルマ+世界屈指のプロドライバーという組み合わせで駆け巡るのは、まさに背中がムズムズするような異次元体験。後に自身でもステアリングを握ったものの、なるほどこのコースが「ここまで狭く感じられる」スピード性能の持ち主に出会ったのは、初めての経験だった。
そんなモデルをベースに、日産のモータースポーツ・スペシャリストであるニスモが手を加えた“マシン”の走りのレベルが、すさまじいものであるのは当然。実際、今回もアンバサダーとしてイベントに同席したミハエル・クルムさんが駆る「NアタックパッケージAキット」を装着したモデルのパッセンジャーシートでは、「目くるめく官能の世界」を体験することができた。
さまざまなボディーキットや、エンジン/サスペンション等で構成され、工賃込みで900万円(!)という価格(税抜き)が設定されたこのキットは、2013年に7分8秒679という、当時としては「GT-Rのそれまでの記録を10秒以上短縮」というタイムをたたき出したモデルに採用された“タイムアタック専用アイテム”を、17年と18年モデルへの装着を前提にパッケージ化したもの。路面すれすれにセットされたフロントスポイラーやカーボン製のフロントフェンダー/リアウイングなど、見た目も明らかに“ただ者”ではない。
エスケープゾーンなど皆無という群馬サイクルスポーツセンターのコースを、そんなクルマ+世界屈指のプロドライバーという組み合わせで駆け巡るのは、まさに背中がムズムズするような異次元体験。後に自身でもステアリングを握ったものの、なるほどこのコースが「ここまで狭く感じられる」スピード性能の持ち主に出会ったのは、初めての経験だった。
基本性能が顔を出す ――ノートe-POWER NISMO ニスモパーツ装着車
“凶暴”そのものだったGT-Rから乗り換えると、何とも平和で乗りやすく感じられたのが、駆動力をモーター出力でのみ発生させるシリーズハイブリッドシステムの持ち主であるノートe-POWERに2016年末に追加された「NISMO」バージョンをたたき台として、さらにニスモ製パーツを組み込んだこのモデル。
実はこのモデル、昨年のイベントにも出展されたものの、今回の見どころは現在開発中という「L.S.D.」がアドオンされた点にある。そして、その効果は何とも明確なものだった。
狭く、荒れた群馬サイクルスポーツセンターの中に1カ所だけ存在する、MT車であれば思わず1速ギアまで落としたくなるようなきつい登りの右ヘアピン。
通常のFWDモデルであれば、荷重が大きく抜けることで右前輪が「空転必至!」となるこのポイントで、今回のモデルはガシッと路面を捉えて加速を続ける姿勢をあらわにしたのである。
こうした極端なシーンではなくても、トラクション能力に大きな効果を発揮してくれるのがこのアイテム。たとえステアリングをフルロック状態にしてのターンでも異音やショックを発することはなかったから、“日常使い”でももちろん問題ナシだ。
一方で、朝から夕刻まで、同じコースをさまざまなモデルで走り回るというイベントであるからこそ気付いたのが、ノートというモデルそのものにまつわる基本的なポテンシャルへの課題。
例えば、「新世代のプラットフォームを採用」とうたういくつかのライバルに比べると、基本的なボディーの剛性感はもとより、サスストロークやステアリングのフリクションといった点で劣勢が明らかだ。
このところ、特に日本市場向けモデルのリファインが停滞している感が拭えない日産の作品。その影響は“クルマいじり”の分野にまで及んでいるのだ。
実はこのモデル、昨年のイベントにも出展されたものの、今回の見どころは現在開発中という「L.S.D.」がアドオンされた点にある。そして、その効果は何とも明確なものだった。
狭く、荒れた群馬サイクルスポーツセンターの中に1カ所だけ存在する、MT車であれば思わず1速ギアまで落としたくなるようなきつい登りの右ヘアピン。
通常のFWDモデルであれば、荷重が大きく抜けることで右前輪が「空転必至!」となるこのポイントで、今回のモデルはガシッと路面を捉えて加速を続ける姿勢をあらわにしたのである。
こうした極端なシーンではなくても、トラクション能力に大きな効果を発揮してくれるのがこのアイテム。たとえステアリングをフルロック状態にしてのターンでも異音やショックを発することはなかったから、“日常使い”でももちろん問題ナシだ。
一方で、朝から夕刻まで、同じコースをさまざまなモデルで走り回るというイベントであるからこそ気付いたのが、ノートというモデルそのものにまつわる基本的なポテンシャルへの課題。
例えば、「新世代のプラットフォームを採用」とうたういくつかのライバルに比べると、基本的なボディーの剛性感はもとより、サスストロークやステアリングのフリクションといった点で劣勢が明らかだ。
このところ、特に日本市場向けモデルのリファインが停滞している感が拭えない日産の作品。その影響は“クルマいじり”の分野にまで及んでいるのだ。
予想を超えるスポーティーさ ――シビックハッチバック 無限パーツ装着車
“走りのシビック”といえば、話題が「タイプR」にフォーカスされるのは半ば必然。何しろ、「ホンダ渾身(こんしん)のリアルスポーツカー」というフレーズで紹介されるこのモデルは、ニュルブルクリンクの旧コースでFFモデル最速! というのが金看板でもあるのだ。
それゆえ、テストドライブの後に「これは思わぬダークホースだった」と知らされるに至ったのが、今回の“普通の”シビックハッチバック。ボディーキットを装着し、19インチのシューズを装着……と、基本的にはそんなドレスアップを主体としたリファインが加えられたにすぎないこのモデルは、しかし予想をはるかに超えるスポーティーなテイストを味わわせてくれることとなったのだ。
搭載されるノーマル仕様のエンジンは、わずかに1.5リッターという排気量のターボ付き。ところが、ハイオクガソリン指定で180ps超を発するこのユニットは思いのほか生きがよく、そのパワフルさは“スポーツ心臓”と表現しても過言ではない印象だ。
さらにそこに好印象を重ねていたのが、現在開発中というクイックシフターが組み込まれた、昨今では稀有(けう)なMTが織りなすフィーリング。ちょっと固めではあるもののストロークが小さな操作感は、やはり開発中というスポーツエキゾーストシステムが発するメリハリの効いたサウンドと共に、“操る楽しさ”を倍化させてくれていた。
率直なところ、新型シビックのボディーのサイズ感やスタイリングのテイストは、必ずしも日本人好みとは思えない。だが、その走りのタイナミズムは「スポーツシビックの再来」というフレーズがぴったりだ。
それゆえ、テストドライブの後に「これは思わぬダークホースだった」と知らされるに至ったのが、今回の“普通の”シビックハッチバック。ボディーキットを装着し、19インチのシューズを装着……と、基本的にはそんなドレスアップを主体としたリファインが加えられたにすぎないこのモデルは、しかし予想をはるかに超えるスポーティーなテイストを味わわせてくれることとなったのだ。
搭載されるノーマル仕様のエンジンは、わずかに1.5リッターという排気量のターボ付き。ところが、ハイオクガソリン指定で180ps超を発するこのユニットは思いのほか生きがよく、そのパワフルさは“スポーツ心臓”と表現しても過言ではない印象だ。
さらにそこに好印象を重ねていたのが、現在開発中というクイックシフターが組み込まれた、昨今では稀有(けう)なMTが織りなすフィーリング。ちょっと固めではあるもののストロークが小さな操作感は、やはり開発中というスポーツエキゾーストシステムが発するメリハリの効いたサウンドと共に、“操る楽しさ”を倍化させてくれていた。
率直なところ、新型シビックのボディーのサイズ感やスタイリングのテイストは、必ずしも日本人好みとは思えない。だが、その走りのタイナミズムは「スポーツシビックの再来」というフレーズがぴったりだ。
峠道でもシフトパドル要らず ――ヴェゼル ハイブリッドRS Honda SENSING無限パーツ装着車
比較的コンパクトであるゆえの身の丈感の強さなどから、2013年末の発売以来好評を博しているヴェゼル。今年2月にベースモデルがマイナーチェンジを実施したことを受け、フロントアンダースポイラーのデザインを一新させるなどの対応を行って再度発売されているのが、最新の無限製パーツだ。
フロントアンダースポイラー、サイドスポイラー、リアアンダースポイラー、そしてロアウイングという4点で構成されるボディーパーツについては、「RS」用とそれ以外のグレード用という2タイプの異なるデザインが用意されている。
さらにスポーツサスペンションやスポーツサイレンサーなど、多数のアイテムが組み込まれた今回のテスト車は、「ハイブリッドRS」グレードがベース。7段DCTに組み込まれた出力22kWを発するモーターによって一瞬“無音”でのスタートを切った後、エンジンの目覚めと共に重低音の効いたなかなか迫力あるサウンドを奏でながら、さらに力強く加速を続けていく。
ヴェゼルに搭載されるi-DCDは、“スポーツハイブリッド”という愛称のとおり、アクセル操作に対するダイレクト感に富んだ応答性と、通常のエンジンバージョン以上の力強さが味わえるのが特徴。前出のスポーツサイレンサーが奏でるサウンドは、エンジン主体というシステムの特徴を巧みに生かしているのも特徴だ。
クローズドコースゆえのアップテンポな走りでは、「Lレンジ」を選択しておくと、高回転域をキープしつつ減速時には早いタイミングでダウンシフトを行って次の加速へと備えるので、「シフトパドル要らず」だったのも発見だ。
フロントアンダースポイラー、サイドスポイラー、リアアンダースポイラー、そしてロアウイングという4点で構成されるボディーパーツについては、「RS」用とそれ以外のグレード用という2タイプの異なるデザインが用意されている。
さらにスポーツサスペンションやスポーツサイレンサーなど、多数のアイテムが組み込まれた今回のテスト車は、「ハイブリッドRS」グレードがベース。7段DCTに組み込まれた出力22kWを発するモーターによって一瞬“無音”でのスタートを切った後、エンジンの目覚めと共に重低音の効いたなかなか迫力あるサウンドを奏でながら、さらに力強く加速を続けていく。
ヴェゼルに搭載されるi-DCDは、“スポーツハイブリッド”という愛称のとおり、アクセル操作に対するダイレクト感に富んだ応答性と、通常のエンジンバージョン以上の力強さが味わえるのが特徴。前出のスポーツサイレンサーが奏でるサウンドは、エンジン主体というシステムの特徴を巧みに生かしているのも特徴だ。
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コンフォート>スポーティー ――オデッセイ ハイブリッド アブソルートEX Honda SENSING 無限パーツ装着車
- 「THE STRONG PERFORMER」をコンセプトに開発された「オデッセイ」用の無限パーツ。“車格感”のあるスタイリングを求めるユーザーからスポーツ志向の強いユーザーまで、幅広いニーズに応えるパーツをラインナップしている。
全長は4.8m、全幅も1.8mを超えるホンダのフラッグシップミニバンがオデッセイ。
そんなキャラクターの持ち主ゆえ、15mmのローダウン化を伴うスポーツサスペンションや、非ハイブリッド仕様の「アブソルート」用とそれ以外のグレード用で個別の設計が行われたスポーツエキゾーストシステムなど、そもそも無限が得意とする分野のアイテムと共に、2017年11月に行われたマイナーチェンジでのベースモデルのデザイン変更に対応するボディーキット類は、車格にふさわしいボリューム感に富んだ見栄えが意識されている。
テストドライブしたのは、ハイブリッド仕様のアブソルートグレード。日常シーンでは動力性能に不足は感じないものの、クローズドコースゆえにアクセルを深く踏み込んでしまうと、加速は置き去りにしつつ一気にエンジン回転数が上昇して“ラバーバンド感”が気になってしまうのはちょっと残念だった。「パワーユニットの無限」というイメージからすれば、このあたりにも何とか手を加えてもらいたいところだ。
大きな段差に勢いよく突入したりすると、ショックをいなし切れない場面もあったものの、そうした場面以外ではなかなかコンフォート性に優れていると思えたのが、そのフットワークのセッティング。
まずはスポーティーに演出されることが多い無限の作品の中にあって、少しばかり異なる走りのベクトルが感じられるのがこのモデルの仕上がりでもあった。
(文=河村康彦/写真=荒川正幸/編集=近藤 俊)
そんなキャラクターの持ち主ゆえ、15mmのローダウン化を伴うスポーツサスペンションや、非ハイブリッド仕様の「アブソルート」用とそれ以外のグレード用で個別の設計が行われたスポーツエキゾーストシステムなど、そもそも無限が得意とする分野のアイテムと共に、2017年11月に行われたマイナーチェンジでのベースモデルのデザイン変更に対応するボディーキット類は、車格にふさわしいボリューム感に富んだ見栄えが意識されている。
テストドライブしたのは、ハイブリッド仕様のアブソルートグレード。日常シーンでは動力性能に不足は感じないものの、クローズドコースゆえにアクセルを深く踏み込んでしまうと、加速は置き去りにしつつ一気にエンジン回転数が上昇して“ラバーバンド感”が気になってしまうのはちょっと残念だった。「パワーユニットの無限」というイメージからすれば、このあたりにも何とか手を加えてもらいたいところだ。
大きな段差に勢いよく突入したりすると、ショックをいなし切れない場面もあったものの、そうした場面以外ではなかなかコンフォート性に優れていると思えたのが、そのフットワークのセッティング。
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