【試乗記】ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)
- ボルボV60クロスカントリーT5 AWDプロ(4WD/8AT)
オマケが目当て
ボルボの新たな「60シリーズ」に、オフロードの走破性能を高めたクロスオーバーモデル「V60クロスカントリー」が加わった。何かと評判のいい新世代ボルボ、その最新モデルの出来栄えをチェックする。
多めに上げてます
ボルボといえばステーションワゴン(エステート)という時代が、かつてあった。日本車では「レガシィツーリングワゴン」や「アコードUSワゴン」が人気だった90年代だ。日本でも人気の高かった「850」は、欧州のツーリングカーレースにエステートで参戦した。
そんな時代の正統ボルボ・エステート復活を期したのが、2018年夏に国内導入した新型「V60」。その中型ボルボワゴンにもクロスカントリー(CC)が加わった。
ふつうのV60より最低地上高を65mmかさ上げし、2リッター4気筒ターボの「T5」ユニットに4WDを組み合わせたのがクロスカントリーである。これまでの「V60 T5」はFFのみ。四駆は、後輪をモーター駆動する「ツインエンジン」(749万円より)しかなかった。しかしこれは4WDよりまず「電動化ありき」のプラグインハイブリッドである。クロスカントリーはV60待望の実用四駆モデルともいえる。
ちなみに210mmの最低地上高は「V90クロスカントリー」と同じで、アウディA4オールロードクワトロ(170mm)やスバル・レガシィアウトバック(200mm)、フォルクスワーゲン・パサート オールトラック(160mm)などより高い。ヨソより多めに上げてます。
グレードは「T5 AWD」(549万円)と、同「プロ」(649万円)の2種類。グレード名の扱いは変わったが、「モメンタム」「インスクリプション」の呼称を使い分けているV60 T5と比べると、クロスカントリーのお代はいずれもプラス50万円である。
そんな時代の正統ボルボ・エステート復活を期したのが、2018年夏に国内導入した新型「V60」。その中型ボルボワゴンにもクロスカントリー(CC)が加わった。
ふつうのV60より最低地上高を65mmかさ上げし、2リッター4気筒ターボの「T5」ユニットに4WDを組み合わせたのがクロスカントリーである。これまでの「V60 T5」はFFのみ。四駆は、後輪をモーター駆動する「ツインエンジン」(749万円より)しかなかった。しかしこれは4WDよりまず「電動化ありき」のプラグインハイブリッドである。クロスカントリーはV60待望の実用四駆モデルともいえる。
ちなみに210mmの最低地上高は「V90クロスカントリー」と同じで、アウディA4オールロードクワトロ(170mm)やスバル・レガシィアウトバック(200mm)、フォルクスワーゲン・パサート オールトラック(160mm)などより高い。ヨソより多めに上げてます。
グレードは「T5 AWD」(549万円)と、同「プロ」(649万円)の2種類。グレード名の扱いは変わったが、「モメンタム」「インスクリプション」の呼称を使い分けているV60 T5と比べると、クロスカントリーのお代はいずれもプラス50万円である。
クロスカントリーならではの美点
最近乗った新型車で、個人的に最も気に入ったクルマの1台が、フルサイズボルボワゴン、V90のクロスカントリーだった。もう1台挙げろと言われたら、「アルピーヌA110」だろうか。
V90CCでいちばん感心したのは足まわりだ。ふつう車高を上げると、突っ張ったような硬さが出がちなのだが、クロスカントリーのアシはノーマルの「V90」よりソフトで、しなやか。乗り心地のよさだけでずっと乗っていたくなるクルマだった。
あの乗り心地が、ひとクラス下のV60クロスカントリーでも味わえるだろうか? ヨーロッパと同じ“ダイナミックシャシー”を備える日本仕様のノーマルV60はちょっとゴツゴツしすぎると感じていたので、今回それが試乗前のもっぱらの興味だった。
結果は「ビンゴ!」でした。V60のクロスカントリーも、ロードクリアランス145mmのノーマルV60より明らかに乗り心地がいい。ボルボは新しいプラットフォーム戦略で可能な限り構成部品の共通化を図っている。アルミパーツを多用したV60CCのサスペンションは、基本的にV90CCと同じだという。乗り味のテイストが似ているのも道理である。V60でもV90でも、クロスカントリーの美点は乗り心地のよさにあると言っていい。
試乗車の“プロ”は標準グレードよりワンインチアップの19インチで、タイヤは235/45の「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」を履いていた。サイドウオールにチェッカー柄の文様が入った“見せるタイヤ”だが、コンフォート性能も太鼓判を押せる。
V90CCでいちばん感心したのは足まわりだ。ふつう車高を上げると、突っ張ったような硬さが出がちなのだが、クロスカントリーのアシはノーマルの「V90」よりソフトで、しなやか。乗り心地のよさだけでずっと乗っていたくなるクルマだった。
あの乗り心地が、ひとクラス下のV60クロスカントリーでも味わえるだろうか? ヨーロッパと同じ“ダイナミックシャシー”を備える日本仕様のノーマルV60はちょっとゴツゴツしすぎると感じていたので、今回それが試乗前のもっぱらの興味だった。
結果は「ビンゴ!」でした。V60のクロスカントリーも、ロードクリアランス145mmのノーマルV60より明らかに乗り心地がいい。ボルボは新しいプラットフォーム戦略で可能な限り構成部品の共通化を図っている。アルミパーツを多用したV60CCのサスペンションは、基本的にV90CCと同じだという。乗り味のテイストが似ているのも道理である。V60でもV90でも、クロスカントリーの美点は乗り心地のよさにあると言っていい。
試乗車の“プロ”は標準グレードよりワンインチアップの19インチで、タイヤは235/45の「コンチネンタル・プレミアムコンタクト6」を履いていた。サイドウオールにチェッカー柄の文様が入った“見せるタイヤ”だが、コンフォート性能も太鼓判を押せる。
オフロードモードを新規採用
8段ATと組み合わされる2リッター4気筒ターボは、最高出力254ps。カタログ上のスペックは、V60 T5と変わらない。ワゴン化で車重は110kg重くなっているから、動力性能は若干ドロップしているはずだが、体感できるほどの差はない。しなやかさを増した足まわりも加勢して、V60持ち前のかろやかな走りは相変わらずだ。
駆動系はハルデックスのアクティブ・オンデマンド・クラッチを使った電子制御4WD。通常は前輪駆動だが、必要なときに後輪へ最大50%の駆動力を伝える。
クロスカントリーにはドライブモードに「オフロード」が加わった。これを選択すると、20km/h以下ではデフロック状態になり、降坂時にはヒルディセントコントロールが効き、アイドリングストップ機能がオフになるなど、一括してオフロード仕様になる。
しかしそこまでやるなら、ワンタッチで切り替えられる独立したオフロードスイッチを付けたほうが親切だと思う。90シリーズ、60シリーズでおなじみのドライブモードセレクターは、ジュエリーみたいでカッコイイのだが、いちいちモニター画面を見て選択しなければならないし、ローラースイッチの操作性もいまひとつなのだ。
駆動系はハルデックスのアクティブ・オンデマンド・クラッチを使った電子制御4WD。通常は前輪駆動だが、必要なときに後輪へ最大50%の駆動力を伝える。
クロスカントリーにはドライブモードに「オフロード」が加わった。これを選択すると、20km/h以下ではデフロック状態になり、降坂時にはヒルディセントコントロールが効き、アイドリングストップ機能がオフになるなど、一括してオフロード仕様になる。
しかしそこまでやるなら、ワンタッチで切り替えられる独立したオフロードスイッチを付けたほうが親切だと思う。90シリーズ、60シリーズでおなじみのドライブモードセレクターは、ジュエリーみたいでカッコイイのだが、いちいちモニター画面を見て選択しなければならないし、ローラースイッチの操作性もいまひとつなのだ。
使い倒したいユーザーのために
約300kmを走って、燃費は8.5km/リッター(満タン法)だった。走行感覚が爽やかに軽いので、燃費もよさそうに感じるが、そうでもない。2WDより110kg重くなっているのだから、仕方ないか。
正統ボルボワゴンのV60にしたい。ダートや雪道も走るので、4WDにしたい。プラス50万円でクロスカントリーを選ぶと、乗り心地のよさという大きなオマケもついてくる。個人的にはクロスカントリーがベストV60だと思う。
「ボルボといえばワゴン」だった時代、大量の機材を載せる自動車メディアのカメラマンにも愛用者が多かった。そのひとりだった知人が、いまのボルボはプレミアムになりすぎて、道具感がなくなってしまったともらしていた。たしかに、白いレザーインテリアの試乗車も、使い倒すワゴンみたいな雰囲気はまったくない。プロのワゴンユーザーのために、荷車性能を際立たせた、洗いざらしみたいな内装仕様も出したらおもしろいと思う。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
正統ボルボワゴンのV60にしたい。ダートや雪道も走るので、4WDにしたい。プラス50万円でクロスカントリーを選ぶと、乗り心地のよさという大きなオマケもついてくる。個人的にはクロスカントリーがベストV60だと思う。
「ボルボといえばワゴン」だった時代、大量の機材を載せる自動車メディアのカメラマンにも愛用者が多かった。そのひとりだった知人が、いまのボルボはプレミアムになりすぎて、道具感がなくなってしまったともらしていた。たしかに、白いレザーインテリアの試乗車も、使い倒すワゴンみたいな雰囲気はまったくない。プロのワゴンユーザーのために、荷車性能を際立たせた、洗いざらしみたいな内装仕様も出したらおもしろいと思う。
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