【試乗記】トヨタRAV4アドベンチャー(4WD/CVT)/RAV4ハイブリッドG(4WD/CVT)
- トヨタRAV4アドベンチャー(4WD/CVT)/RAV4ハイブリッドG(4WD/CVT)
照らせば光るSUV
国内での復活デビュー以来、好調なセールスが伝えられる新型「トヨタRAV4」。現実にはシティーユースがほとんどと思われるSUVだが、未舗装路ではどんな走りが味わえるのか? タイプの異なる売れ筋4WD車でチェックした。
ワケあって3種類
「ひと口に北米と言いましてもね、意外とバリエーションがあるんです」と、トヨタのエンジニアの方。
「例えばカナダとの国境あたり、北部では本格的な4WDが求められますし、東部の都市部では、ちょっとした積雪に対応できればいい」
――いわゆる“生活ヨンク”ですね。
「そうです。これが西部、カリフォルニアになると、環境問題も絡んでくる」
――なるほど。
「新しいRAV4にはどうして3種類も4WDシステムがあるのですか?」と質問したところ、ていねいに答えていただいた。上記はその冒頭部分。もちろん、わかりやすくするために単純化しているけれど、北米市場に軸足を置くようになって久しいRAV4の開発背景が垣間見える。
念のため確認すると、ニューRAV4は、2リッターのガソリン車と、2.5リッター+モーターのハイブリッドモデルをラインナップする。ガソリン車に2種類、ハイブリッド車に1種類の4WDシステムがあり、双方、ベーシックグレードとしてFF(前輪駆動)車も用意される。3種類の四輪駆動システムは以下の通り。
<1>ダイナミックトルクコントロール4WD
従来からあるアクティブトルクスプリット型、つまり能動的に駆動力を前後輪に振り分ける4WDシステム。2リッターガソリン車に設定される。プロペラシャフトの後端、リアデファレンシャルの前に電子制御式の多板クラッチを配して、前後のトルク配分を可変化。FFを基本に、発進、加速時など、必要に応じて後輪に相応のトルクを送る。
<2>ダイナミックトルクベクタリングAWD
新型RAV4の目玉テクノロジー。ガソリン車の上級モデルに採用される。後輪左右にそれぞれ電制多板クラッチを設けることで、前後のみならず、後輪左右間のトルク配分も可変化する。積極的に左右の駆動力をコントロールすることで、四輪駆動車の“曲がりにくさ”を克服しようというシステムだ。また、エンジンからプロペラシャフトへの駆動力をカットするためのクラッチを備え、定常走行など4輪の駆動が不要なシチュエーションでは、燃費向上のため自動的にFFに移行する。トヨタでは、これを「ディスコネクト機構」と呼んでいる。
<3>E-Four
ハイブリッド車用の電気式4WD。ハイブリッドシステム用のモーターに加え、後輪を駆動するため、さらにもうひとつモーターを搭載する。フロントモーターの最大トルクは202N・m、リアのそれは121N・mと、従来より後輪の駆動力を太らせたのが特徴。前後トルク配分を100:0~20:80まで変更できる。
「例えばカナダとの国境あたり、北部では本格的な4WDが求められますし、東部の都市部では、ちょっとした積雪に対応できればいい」
――いわゆる“生活ヨンク”ですね。
「そうです。これが西部、カリフォルニアになると、環境問題も絡んでくる」
――なるほど。
「新しいRAV4にはどうして3種類も4WDシステムがあるのですか?」と質問したところ、ていねいに答えていただいた。上記はその冒頭部分。もちろん、わかりやすくするために単純化しているけれど、北米市場に軸足を置くようになって久しいRAV4の開発背景が垣間見える。
念のため確認すると、ニューRAV4は、2リッターのガソリン車と、2.5リッター+モーターのハイブリッドモデルをラインナップする。ガソリン車に2種類、ハイブリッド車に1種類の4WDシステムがあり、双方、ベーシックグレードとしてFF(前輪駆動)車も用意される。3種類の四輪駆動システムは以下の通り。
<1>ダイナミックトルクコントロール4WD
従来からあるアクティブトルクスプリット型、つまり能動的に駆動力を前後輪に振り分ける4WDシステム。2リッターガソリン車に設定される。プロペラシャフトの後端、リアデファレンシャルの前に電子制御式の多板クラッチを配して、前後のトルク配分を可変化。FFを基本に、発進、加速時など、必要に応じて後輪に相応のトルクを送る。
<2>ダイナミックトルクベクタリングAWD
新型RAV4の目玉テクノロジー。ガソリン車の上級モデルに採用される。後輪左右にそれぞれ電制多板クラッチを設けることで、前後のみならず、後輪左右間のトルク配分も可変化する。積極的に左右の駆動力をコントロールすることで、四輪駆動車の“曲がりにくさ”を克服しようというシステムだ。また、エンジンからプロペラシャフトへの駆動力をカットするためのクラッチを備え、定常走行など4輪の駆動が不要なシチュエーションでは、燃費向上のため自動的にFFに移行する。トヨタでは、これを「ディスコネクト機構」と呼んでいる。
<3>E-Four
ハイブリッド車用の電気式4WD。ハイブリッドシステム用のモーターに加え、後輪を駆動するため、さらにもうひとつモーターを搭載する。フロントモーターの最大トルクは202N・m、リアのそれは121N・mと、従来より後輪の駆動力を太らせたのが特徴。前後トルク配分を100:0~20:80まで変更できる。
本格派“っぽさ”がいいらしい
- 「アドベンチャー」グレードの走行モードセレクター。ダイヤル状のものはオフロード走行時に活用する「マルチテレインセレクト」で、ノーマル/マッド&サンド/ロック&ダートが選択可能。モードごとに色が変わるため、状況を把握しやすい。その奥に見えるのは「ドライブモードセレクト」のスイッチで、左からエコ/ノーマル/スポーツと並ぶ。
こうした4WDシステムは、「AIM(AWD Integrated Management)」によって、電子的に統合制御される。目に見えるデバイスとしては、「エコ」「ノーマル」「スポーツ」(ハイブリッドはプラス「EV」)から走行モードを選択できる「ドライブモードセレクト」。泥濘(でいねい)地や岩場、雪道など、路面状況に合わせた走行支援を行う「マルチテレインセレクト」(ハイブリッドでは「トレイルモード」)として具体化される。
センターコンソールに、ダイヤルやボタン類が設けられ、グレードによって操作の入り口は異なるが、基本的な作動原理は同じだ。AIMによって、エンジン出力、シフトプログラム、トルク配分、ステアリングのアシスト量、ブレーキコントロール、そしてエアコンを個々に細かく制御し、選択されたモードごとに組み合わせるわけだ。
個人的には、持ち前の貧乏性ゆえ「そんなに走行モード、いる?」と思わないでもないが、必要十分な実用性だけでおさまらないのが、クルマという商品。まだ発売半年ほどだが、ニューRAV4の売れ筋はダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車とハイブリッドモデルで、それぞれが販売台数の約4割、全体のおよそ8割に達する。
ことに最上級モデルの「アドベンチャー」が人気で、未舗装路での走破性の高さというより、「“ギア”っぽさがウケているようです」と先のエンジニア氏。やたら高機能なアーミーナイフや人間が潜れない深海まで耐えられるダイバーウオッチみたいなもんでしょうか。タフやワイルドさを強調した新型RAV4の「ROBUST(ロバスト)」路線、いまのところ大成功のようだ。
センターコンソールに、ダイヤルやボタン類が設けられ、グレードによって操作の入り口は異なるが、基本的な作動原理は同じだ。AIMによって、エンジン出力、シフトプログラム、トルク配分、ステアリングのアシスト量、ブレーキコントロール、そしてエアコンを個々に細かく制御し、選択されたモードごとに組み合わせるわけだ。
個人的には、持ち前の貧乏性ゆえ「そんなに走行モード、いる?」と思わないでもないが、必要十分な実用性だけでおさまらないのが、クルマという商品。まだ発売半年ほどだが、ニューRAV4の売れ筋はダイナミックトルクベクタリングAWD搭載車とハイブリッドモデルで、それぞれが販売台数の約4割、全体のおよそ8割に達する。
ことに最上級モデルの「アドベンチャー」が人気で、未舗装路での走破性の高さというより、「“ギア”っぽさがウケているようです」と先のエンジニア氏。やたら高機能なアーミーナイフや人間が潜れない深海まで耐えられるダイバーウオッチみたいなもんでしょうか。タフやワイルドさを強調した新型RAV4の「ROBUST(ロバスト)」路線、いまのところ大成功のようだ。
パワフルなE-Fourにニッコリ
そもそも、先代のRAV4では見送られた日本市場への投入が、ニューモデルで決まったのは、これまでのシティー派から「好きにまみれろ!」とアウトドア派に転じたことが大きい。SUV市場の拡大はもとより、国内でも「ハリアー」とのすみ分けが明確になったため、今回、日本で販売する“GOサイン”が出たのだという。
かつてのライバル「ホンダCR-V」は、アーバンカウボーイ路線を守りつつ、少しずつラグジュアリーの響きを強めているので、今のRAV4とは「ちょっとカテゴリーが違う感じ」。ガチのライバルは、「スバル・フォレスター」であり、「日産エクストレイル」だという。RAV4の、泥や雪だけではない、ちょっとポップなイメージを含んだデザイン性の高さはもとより、多彩な駆動方式も、幅広いユーザーに網をかけるのに有効なはずだ。
さて、試乗会場には未舗装の簡単なジムカーナコースが用意されていた。まずはE-Fourを備えたハイブリッドモデルが割り当てられる。「むしろクルマ任せにした方が速いですよ」というエンジニア氏のアドバイスに従って、すべてノーマル設定のまま走りだす。いきなり大トルクを発生する電気モーターを2基も載せているだけあって、思いのほか力強い発進加速。
大きな左カーブで速度を乗せて、ボディーを振り回しながらテクニカルセクションへ。スロットル操作に間髪入れず反応するモーターの恩恵で、RAV4 E-Fourは、コントローラブルにして豪快なハンドリング。これは楽しい!
かつてのライバル「ホンダCR-V」は、アーバンカウボーイ路線を守りつつ、少しずつラグジュアリーの響きを強めているので、今のRAV4とは「ちょっとカテゴリーが違う感じ」。ガチのライバルは、「スバル・フォレスター」であり、「日産エクストレイル」だという。RAV4の、泥や雪だけではない、ちょっとポップなイメージを含んだデザイン性の高さはもとより、多彩な駆動方式も、幅広いユーザーに網をかけるのに有効なはずだ。
さて、試乗会場には未舗装の簡単なジムカーナコースが用意されていた。まずはE-Fourを備えたハイブリッドモデルが割り当てられる。「むしろクルマ任せにした方が速いですよ」というエンジニア氏のアドバイスに従って、すべてノーマル設定のまま走りだす。いきなり大トルクを発生する電気モーターを2基も載せているだけあって、思いのほか力強い発進加速。
大きな左カーブで速度を乗せて、ボディーを振り回しながらテクニカルセクションへ。スロットル操作に間髪入れず反応するモーターの恩恵で、RAV4 E-Fourは、コントローラブルにして豪快なハンドリング。これは楽しい!
“曲がる四駆”も腕次第
ちょっと話題がズレるが、新型「ヤリス」のE-Fourモデルの“走り”のよさといい、今回のRAV4といい、トヨタは電気式4WDの技術を自家薬籠中のものにしつつあるようだ。商売にならないピュアEVの商品化は取りあえず捨て置いて、しかしプラグインハイブリッドやE-Fourを通してEVのコア技術はしっかり磨いている……というのは邪推にすぎましょうか。
続いて乗ったのは、ダイナミックトルクベクタリングAWD搭載モデル。「グイグイ曲がっていきますよ」という開発者の言葉を背に、ステアリングホイールを握って走り始めたのだが、アレッ!? 意外におとなしい。2.5リッターの排気量に2つのモーターを持つハイブリッドに対し、こちらは最高出力171PSと最大トルク207N・mを発生する2リッターエンジンひとつだけ。絶対的なアウトプットではかなわない。
なるほど、カーブでの“入り”がいい……ような気がする。単に進入速度が遅いだけかもしれませんが。テクニカルセクションでは運転者の未熟さゆえ、オーバースピードによる派手なアンダーステアを誘発して、せっかくのトルクベクタリング機能を生かせない。反省。
恥を忍んでタイムを確認すると、多少なりとも習熟度が上がっているはずなのに、ハイブリッドモデルのタイムにわずかに及ばない。やはりモータースポーツにおいては、直線が速いのがなにより大事。最大のチューニングは排気量アップである……と、スイマセン、無意味にカッコつけました。本当に再確認したのは、どんな優れた電子制御や4WDシステムを備えていようとも、ドライバーの無謀な運転はカバーできないということだ。
(文=青木禎之/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
続いて乗ったのは、ダイナミックトルクベクタリングAWD搭載モデル。「グイグイ曲がっていきますよ」という開発者の言葉を背に、ステアリングホイールを握って走り始めたのだが、アレッ!? 意外におとなしい。2.5リッターの排気量に2つのモーターを持つハイブリッドに対し、こちらは最高出力171PSと最大トルク207N・mを発生する2リッターエンジンひとつだけ。絶対的なアウトプットではかなわない。
なるほど、カーブでの“入り”がいい……ような気がする。単に進入速度が遅いだけかもしれませんが。テクニカルセクションでは運転者の未熟さゆえ、オーバースピードによる派手なアンダーステアを誘発して、せっかくのトルクベクタリング機能を生かせない。反省。
恥を忍んでタイムを確認すると、多少なりとも習熟度が上がっているはずなのに、ハイブリッドモデルのタイムにわずかに及ばない。やはりモータースポーツにおいては、直線が速いのがなにより大事。最大のチューニングは排気量アップである……と、スイマセン、無意味にカッコつけました。本当に再確認したのは、どんな優れた電子制御や4WDシステムを備えていようとも、ドライバーの無謀な運転はカバーできないということだ。
(文=青木禎之/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
あわせて読みたい「RAV4」関連記事
最新ニュース
-
-
レクサス『GX』、1インチのサスペンションリフトが標準に…米2025年モデル
2024.12.18
-
-
-
「一段と格好良くなった」スバル『WRX S4』の新カラー&装備にSNSで反響
2024.12.18
-
-
-
タカラトミー、新年祝う「百福トミカ」6種を発売へ…12月28日
2024.12.18
-
-
-
『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part III』のデロリアン、アオシマの1/24プラモデルに
2024.12.18
-
-
-
スズキ『スイフトスポーツ』生産終了を正式発表、特別装備の「ZC33S ファイナルエディション」を限定生産へ
2024.12.18
-
-
-
「デザイナー生活50年」元日産の中村史郎氏、カーデザイナーとして最高の栄誉を獲得
2024.12.17
-
-
-
まだ知らない? ECUチューンで解放される“隠されたパワー”の真実~カスタムHOW TO~
2024.12.17
-
最新ニュース
-
-
レクサス『GX』、1インチのサスペンションリフトが標準に…米2025年モデル
2024.12.18
-
-
-
「一段と格好良くなった」スバル『WRX S4』の新カラー&装備にSNSで反響
2024.12.18
-
-
-
『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part III』のデロリアン、アオシマの1/24プラモデルに
2024.12.18
-
-
-
タカラトミー、新年祝う「百福トミカ」6種を発売へ…12月28日
2024.12.18
-
-
-
スズキ『スイフトスポーツ』生産終了を正式発表、特別装備の「ZC33S ファイナルエディション」を限定生産へ
2024.12.18
-
-
-
まだ知らない? ECUチューンで解放される“隠されたパワー”の真実~カスタムHOW TO~
2024.12.17
-
MORIZO on the Road