【試乗記】トヨタ・カローラ ツーリングW×B(FF/6MT)

トヨタ・カローラ ツーリングW×B(FF/6MT)
トヨタ・カローラ ツーリングW×B(FF/6MT)

筋力が欲しい

1.2リッター直4ターボエンジンにレブマッチ機能付きマニュアルトランスミッション「iMT」を組み合わせた「トヨタ・カローラ ツーリングW×B」に試乗。新世代プラットフォームや個性的なデザインを用いて若返りを狙ったという、新世代「カローラ」の走りやいかに?

この反応には覚えがある

2019年9月の全面改良で12代目に進化した「カローラ」。現行モデルにおいて、ワゴンは「フィールダー」から「ツーリング」に車名が変更された。
2019年9月の全面改良で12代目に進化した「カローラ」。現行モデルにおいて、ワゴンは「フィールダー」から「ツーリング」に車名が変更された。
最新の「カローラ ツーリング」は、「GA-C」と呼ばれる新世代プラットフォームをベースに設計されている。サイドのグリーンハウスは車両後部に行くにしたがって上下幅が狭くなるデザインを採用。
最新の「カローラ ツーリング」は、「GA-C」と呼ばれる新世代プラットフォームをベースに設計されている。サイドのグリーンハウスは車両後部に行くにしたがって上下幅が狭くなるデザインを採用。
1.2リッター直4ターボエンジンは最高出力116PS、最大トルク185N・mを発生。
1.2リッター直4ターボエンジンは最高出力116PS、最大トルク185N・mを発生。
インストゥルメントパネルのデザインは、基本的にセダンやハッチバックと共通。今回の試乗車は、内装がブラックで統一されていた。
インストゥルメントパネルのデザインは、基本的にセダンやハッチバックと共通。今回の試乗車は、内装がブラックで統一されていた。
トップ6速で100km/hをキープするとエンジン回転数は2000rpmほど。ほんの少しの上り坂に差し掛かり、スピードが落ちかけたので半ば無意識にスロットルペダルをわずかに踏み込むが反応しない。5速に落として速度回復を図るものの、やはり満足なレスポンスが得られず、さらに4速にシフトダウン。ああ、このもどかしさには覚えがある。と、頭の中の引き出しをあさる。あれは同じ1.2リッター直噴ターボを積む「C-HR」だった。上信越道の長い上り坂で床まで踏み込んでもなかなか加速せず、抜いたトラックに後ろに迫られてひやひやしたものだ。

2019年9月に通算12代目にモデルチェンジしたカローラのワゴンが「カローラ フィールダー」改めカローラ ツーリングである。1.2リッター4気筒ターボ搭載車は今どき珍しく、6段MTとの組み合わせとなる。新世代のTNGAプラットフォームを採用し、ボディーの幅も長さも切り詰めた低くスリークな日本国内専用ボディーに生まれ変わって若返りを狙ったことが最大の特徴。その中でもスポーティーモデルという位置づけだろう。

ところが肝心のエンジンに活気がない。8NR-FTS型はトヨタ初のダウンサイジングターボとして「オーリス」に積まれてデビューした1.2リッター直4直噴ターボエンジンで、最高出力116PS(85kW)/5200-5600rpmと最大トルク185N・m(18.9kgf・m)/1500-4000rpmを生み出す。

この数字を見る限り悲観的にならずともすむはずなのに、さらに車重は1320kgとそれほど重くはないはずなのに、実際にはモアパワーを望む場面が多いのだ。

2019年9月の全面改良で12代目に進化した「カローラ」。現行モデルにおいて、ワゴンは「フィールダー」から「ツーリング」に車名が変更された。
2019年9月の全面改良で12代目に進化した「カローラ」。現行モデルにおいて、ワゴンは「フィールダー」から「ツーリング」に車名が変更された。
最新の「カローラ ツーリング」は、「GA-C」と呼ばれる新世代プラットフォームをベースに設計されている。サイドのグリーンハウスは車両後部に行くにしたがって上下幅が狭くなるデザインを採用。
最新の「カローラ ツーリング」は、「GA-C」と呼ばれる新世代プラットフォームをベースに設計されている。サイドのグリーンハウスは車両後部に行くにしたがって上下幅が狭くなるデザインを採用。
1.2リッター直4ターボエンジンは最高出力116PS、最大トルク185N・mを発生。
1.2リッター直4ターボエンジンは最高出力116PS、最大トルク185N・mを発生。
インストゥルメントパネルのデザインは、基本的にセダンやハッチバックと共通。今回の試乗車は、内装がブラックで統一されていた。
インストゥルメントパネルのデザインは、基本的にセダンやハッチバックと共通。今回の試乗車は、内装がブラックで統一されていた。

癖はないけど力もない

サスペンションはフロント:マクファーソンストラット式、リア:ダブルウイッシュボーン式。コーナリングなどにおいて、内輪にブレーキをかけ姿勢を制動するACA(アクティブコーナリングアシスト)を装備。旋回性を高めているという。
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット式、リア:ダブルウイッシュボーン式。コーナリングなどにおいて、内輪にブレーキをかけ姿勢を制動するACA(アクティブコーナリングアシスト)を装備。旋回性を高めているという。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載の「カローラ ツーリングW×B」は6段MTのみの設定。ペダルはつり下げ式で、幅は狭いが左側にフットレストも用意されている。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載の「カローラ ツーリングW×B」は6段MTのみの設定。ペダルはつり下げ式で、幅は狭いが左側にフットレストも用意されている。
「カローラ ツーリングW×B」は17インチサイズのダークグレーメタリック塗装アルミホイールを標準装備。試乗車は215/45R17サイズの「ブリヂストン・トランザT002」タイヤを装着していた。
「カローラ ツーリングW×B」は17インチサイズのダークグレーメタリック塗装アルミホイールを標準装備。試乗車は215/45R17サイズの「ブリヂストン・トランザT002」タイヤを装着していた。
「カローラ ツーリングW×B」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm、ホイールベース=2640mm。車重は1320kgとなる。
「カローラ ツーリングW×B」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm、ホイールベース=2640mm。車重は1320kgとなる。
街中や交通量の多い一般道での印象は悪くない。悪くないどころか、サラリと身軽で扱いやすい。クラッチをつなごうとするとエンジン回転をわずかに持ち上げる機構も付いているようだし、シフトもクラッチ操作そのものも軽く、さらにスポーツモードを選ぶとエンジン回転数を合わせるシステム(iMT)も作動するので、マニュアルトランスミッションにあまり慣れていないドライバーでもギクシャクすることはないだろう。至れり尽くせりである。

ところがオープンロードに出て少しスピード域が上がると印象が一変する。低いギアではスイッと出るが、ある程度スピードが乗ってからは思い切ってスロットルペダルを踏んでも、あれれ? と思うほどレスポンスが得られない。癖のない軟水のミネラルウオーターのようにきれいにスムーズに回るが、トルクは細く平板で、これが本当に直噴ターボ? と首をかしげたくなるほど。といって実用燃費も特筆すべきものではない。

GA-Cプラットフォームを採用したことで低くスリークになった新型のプロポーションはなかなかにカッコいいが、その分AピラーとCピラーは大きく寝かされており、コーナー部分に細いサブピラーを何本も建ててサイドウィンドウとの兼ね合いを処理していることが分かる。

運転席まわりの視界に特に問題はないが、低く構えたことで乗り降りにも影響が出るのは現行「プリウス」と同じ。特に後席に乗り込む際にはかもいに頭をぶつけないよう注意が必要だ。

サスペンションはフロント:マクファーソンストラット式、リア:ダブルウイッシュボーン式。コーナリングなどにおいて、内輪にブレーキをかけ姿勢を制動するACA(アクティブコーナリングアシスト)を装備。旋回性を高めているという。
サスペンションはフロント:マクファーソンストラット式、リア:ダブルウイッシュボーン式。コーナリングなどにおいて、内輪にブレーキをかけ姿勢を制動するACA(アクティブコーナリングアシスト)を装備。旋回性を高めているという。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載の「カローラ ツーリングW×B」は6段MTのみの設定。ペダルはつり下げ式で、幅は狭いが左側にフットレストも用意されている。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載の「カローラ ツーリングW×B」は6段MTのみの設定。ペダルはつり下げ式で、幅は狭いが左側にフットレストも用意されている。
「カローラ ツーリングW×B」は17インチサイズのダークグレーメタリック塗装アルミホイールを標準装備。試乗車は215/45R17サイズの「ブリヂストン・トランザT002」タイヤを装着していた。
「カローラ ツーリングW×B」は17インチサイズのダークグレーメタリック塗装アルミホイールを標準装備。試乗車は215/45R17サイズの「ブリヂストン・トランザT002」タイヤを装着していた。
「カローラ ツーリングW×B」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm、ホイールベース=2640mm。車重は1320kgとなる。
「カローラ ツーリングW×B」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm、ホイールベース=2640mm。車重は1320kgとなる。

インテリアには疑問が残る

「W×B」グレードのボディーカラーは3色のみの設定。試乗車は「ホワイトパールクリスタルシャイン」と呼ばれるオプションカラー(3万3000円)が選択されていた。
「W×B」グレードのボディーカラーは3色のみの設定。試乗車は「ホワイトパールクリスタルシャイン」と呼ばれるオプションカラー(3万3000円)が選択されていた。
スマートデバイスリンクに対応するディスプレイオーディオは標準仕様が7インチサイズ。試乗車は9インチサイズ+6スピーカーシステムのセットオプションを装備していた、
スマートデバイスリンクに対応するディスプレイオーディオは標準仕様が7インチサイズ。試乗車は9インチサイズ+6スピーカーシステムのセットオプションを装備していた、
「W×B」グレードのシート表皮は合成皮革+レザテックのコンビネーションで、ブラック(写真)が標準仕様となる。試乗車はステアリングヒーターと運転席/助手席シートヒーターのセットオプション(2万7500円)を装着していた。
「W×B」グレードのシート表皮は合成皮革+レザテックのコンビネーションで、ブラック(写真)が標準仕様となる。試乗車はステアリングヒーターと運転席/助手席シートヒーターのセットオプション(2万7500円)を装着していた。
「カローラ ツーリング」のリアシートには60:40の分割可倒機構が標準装備される。後部に行くほど開口上部が低くなるデザインのため、乗り降りには少々注意が必要だ。
「カローラ ツーリング」のリアシートには60:40の分割可倒機構が標準装備される。後部に行くほど開口上部が低くなるデザインのため、乗り降りには少々注意が必要だ。
上質とまでは言えないが、整然と仕上げられたインテリアの中でとりわけ目立つのはダッシュ中央にデンと据え付けられた大型スクリーンである。すっきりとした水平基調のインストゥルメントパネルの上にそびえるモニターは田舎の実家のテレビのように巨大に見える。しかもトヨタとしては初めてのディスプレイオーディオである点が新しい。

これはスマートフォンとの接続を前提としたインフォテインメントシステムで、さまざまなアプリケーションを利用できる。もちろん従来通りの車載ナビゲーションシステムも選択可能であり、試乗車にはオプション(11万円)の「T-Connectナビキット」が装備されていた。

ただし、四角いディスプレイだけが浮いているように見えるし、便利とか操作性うんぬん以前に今どき画面が粗く、鮮明ではないことにちょっとがっかり。大きなディスプレイはおそらく車内で動画を見たいという需要に応えたものだろうが、今は“ながら運転”の罰則が厳しいことを忘れてはいけない。

インテリアはやぼったいハイバックシートも含めて黒一色で、正直なところちょっとさえない感じ。ピラーが寝ていることもあり低く閉じ込められた雰囲気だ。そんなにも低くスリークであることが必要なのか、スポーティーモデルといえばMTで黒内装なのかなど、疑問は残る。トヨタが引きつけたい若者の多くは素直に歓迎してくれるのだろうか。

「W×B」グレードのボディーカラーは3色のみの設定。試乗車は「ホワイトパールクリスタルシャイン」と呼ばれるオプションカラー(3万3000円)が選択されていた。
「W×B」グレードのボディーカラーは3色のみの設定。試乗車は「ホワイトパールクリスタルシャイン」と呼ばれるオプションカラー(3万3000円)が選択されていた。
スマートデバイスリンクに対応するディスプレイオーディオは標準仕様が7インチサイズ。試乗車は9インチサイズ+6スピーカーシステムのセットオプションを装備していた、
スマートデバイスリンクに対応するディスプレイオーディオは標準仕様が7インチサイズ。試乗車は9インチサイズ+6スピーカーシステムのセットオプションを装備していた、
「W×B」グレードのシート表皮は合成皮革+レザテックのコンビネーションで、ブラック(写真)が標準仕様となる。試乗車はステアリングヒーターと運転席/助手席シートヒーターのセットオプション(2万7500円)を装着していた。
「W×B」グレードのシート表皮は合成皮革+レザテックのコンビネーションで、ブラック(写真)が標準仕様となる。試乗車はステアリングヒーターと運転席/助手席シートヒーターのセットオプション(2万7500円)を装着していた。
「カローラ ツーリング」のリアシートには60:40の分割可倒機構が標準装備される。後部に行くほど開口上部が低くなるデザインのため、乗り降りには少々注意が必要だ。
「カローラ ツーリング」のリアシートには60:40の分割可倒機構が標準装備される。後部に行くほど開口上部が低くなるデザインのため、乗り降りには少々注意が必要だ。

乗り心地は近年のトヨタ車でベスト

1.2リッター直4ターボエンジン搭載車には「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3段階から選べるドライブモードセレクトが備わっている。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載車には「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3段階から選べるドライブモードセレクトが備わっている。
「W×B」グレードには、オプティトロンメーターと7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となる。写真はスピードメーター(中央部分)をアナログデザイン表示にした様子。
「W×B」グレードには、オプティトロンメーターと7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となる。写真はスピードメーター(中央部分)をアナログデザイン表示にした様子。
6段MTのシフトレバー。後退用のギアポジションは左上に独立しており、同ポジションに入れる場合はシフトノブ下のプルリングを引き上げながら操作する。
6段MTのシフトレバー。後退用のギアポジションは左上に独立しており、同ポジションに入れる場合はシフトノブ下のプルリングを引き上げながら操作する。
1.2リッター直4ターボエンジンを搭載する「カローラ ツーリングW×B」の公表燃費値はWLTCモードで15.8km/リッター。今回の試乗においては満タン法で11.2km/リッターを記録した。
1.2リッター直4ターボエンジンを搭載する「カローラ ツーリングW×B」の公表燃費値はWLTCモードで15.8km/リッター。今回の試乗においては満タン法で11.2km/リッターを記録した。
いっぽうダイナミックな性能という点では、新世代プラットフォームを得て低くなったことは大いに効果があると言えるだろう。高いスタビリティーや安心できるステアリングフィール、けれん味のないすっきり素直なハンドリング、しっかりとした乗り心地など、基本性能は見違えるほど向上している。もちろん、従来型と比較するのは新旧の開発陣にとっても本意ではないだろう。

従来型は、極端な言い方をすればコストの制約が大きすぎた。先代「ヴィッツ」と同じコンパクトクラスのプラットフォームを使わざるを得ず、あらゆる面で満足できるレベルには達していなかったのである。それゆえ新型になって海外向けと同じレベルに底上げされたことは大歓迎である。

さらに最近発売されたヴィッツ改め「ヤリス」と比べても、こんなにも違うかと驚くほどしなやかで、ロードノイズなどもきちんと抑えられている。近年のトヨタ車の中ではベストの乗り心地と言いたい。

それゆえに惜しい。もう少し鍛え上げた筋肉があれば、さらにもう少し明るく、現代風に洗練されたインテリアがあれば、スカッと気持ちよく、どこまでもロングツーリングに出かけたいクルマになるはずだ。

(文=高平高輝/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

1.2リッター直4ターボエンジン搭載車には「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3段階から選べるドライブモードセレクトが備わっている。
1.2リッター直4ターボエンジン搭載車には「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3段階から選べるドライブモードセレクトが備わっている。
「W×B」グレードには、オプティトロンメーターと7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となる。写真はスピードメーター(中央部分)をアナログデザイン表示にした様子。
「W×B」グレードには、オプティトロンメーターと7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となる。写真はスピードメーター(中央部分)をアナログデザイン表示にした様子。
6段MTのシフトレバー。後退用のギアポジションは左上に独立しており、同ポジションに入れる場合はシフトノブ下のプルリングを引き上げながら操作する。
6段MTのシフトレバー。後退用のギアポジションは左上に独立しており、同ポジションに入れる場合はシフトノブ下のプルリングを引き上げながら操作する。
1.2リッター直4ターボエンジンを搭載する「カローラ ツーリングW×B」の公表燃費値はWLTCモードで15.8km/リッター。今回の試乗においては満タン法で11.2km/リッターを記録した。
1.2リッター直4ターボエンジンを搭載する「カローラ ツーリングW×B」の公表燃費値はWLTCモードで15.8km/リッター。今回の試乗においては満タン法で11.2km/リッターを記録した。

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