【試乗記】トヨタRAV4アドベンチャー“オフロードパッケージ”(4WD/CVT)

  • トヨタRAV4アドベンチャー“オフロードパッケージ”(4WD/CVT)

    トヨタRAV4アドベンチャー“オフロードパッケージ”(4WD/CVT)

幸せは満足にあり

モデルチェンジを機にタフなイメージが強化された、トヨタのSUV「RAV4」。そのアグレッシブさと悪路走破性をさらに高めた特別仕様車とは……? 特設コースでステアリングを握った。

できれば使い倒したい

少々気が早くも今年(2020年)の自動車販売を振り返るに、コロナ禍をものともしない「ハリアー」の化けっぷりは避けようのないトピックだ。直近の数字となるこの11月の販売台数は9897台。さらに化け物の「アルファード」が1万台オーバーで登録車販売ランキングの3位(!)に陣取るとはいえ、「フィット」や「フリード」さえ従える堂々の4位である。ここまでくると、その強さがえげつなくさえ感じられる。

が、そのさく裂ぶりを車台共有するRAV4の開発陣は意に介していない。理由はシンプルで、RAV4の販売台数があんまり落ちていないからだ。ちなみに販売台数的には常に12〜15位前後、同門のミニバン「ノア」あたりと拮抗(きっこう)している。つまり蓋(ふた)を開ければRAV4とハリアーのカニバリはなかった、トヨタはそう判断しているようだ。

ハリアー人気の中でもRAV4が支持される理由は、四駆=ラギッドという趣旨への共感だろう。せっかく四駆に乗るならば、泥汚れも気にせずガシガシ使い倒していろんなところに行ってみたい。忙しかったりおっくうだったりで実際にはできなくても、ひとりキャンプに憧れるような気持ちでRAV4に接している人は少なからずいるのだと思う。

ユニークな取り組み

このクルマの中でも、とりわけそういったマインドを形にしたグレードが「アドベンチャー」だが、その自然への扉をさらに大きく開いた特別仕様車として“オフロードパッケージ”が設定された。その内容はどうかといえば、北米向けオプションのルーフレールを逆輸入して装着。これも北米向けに用意される18インチホイールに組み合わせられるタイヤはファルケンのA/T(オールテレイン)だ。このタイヤ選定により、タイヤ外径はアドベンチャーよりむしろ落ちている。一方サスペンションはトキコの専用ダンパーを用いて車高を高めており、結果的に最低地上高は10mmアップの210mmを確保。かつタイヤ周りのクリアランスもしっかり確保されるかたちとなっている。

ユニークなのは、既にアドベンチャーに乗っているユーザーに対しても、この“オフロードパッケージ”の機能部品をディーラーで販売・装着できるよう検討しているということだ。手軽に悪路性能を向上できるだけでなく、車検の際にリフレッシュを兼ねて……といったニーズにも対応できる。

もちろんサードパーティーにはその良さがあるものの、メーカークオリティーの性能的まとまりや耐久性も魅力的だ。何より、全国すべての販売店に問題なくアクセスできるという長所は、後々の下取りや買い取り時にも前向きに評価されるだろう。顧客満足度のために多方向から手を尽くす、いかにもトヨタらしい隙のなさだ。

(文=渡辺敏史/写真=宮門秀行、webCG/編集=関 顕也)

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