ノア/ヴォクシー 徹底ガイド トヨタの技術の粋を集めたファミリーカー登場
日本で一番売れているミニバン
2022年1月13日にデビューしたトヨタの4代目「ノア/ヴォクシー」(R90W)は実に8年ぶりのフルモデルチェンジとなった。ご存じのように、ノアとヴォクシー(そして先代には「エスクァイア」もあった)は、フロントマスクなどのデザインが違うが、基本的に同じクルマである。販売台数は別々に計上されるので、販売ランキングをただ見るだけだと分かりにくいが、ノアとヴォクシーの合計では他社ライバルを圧倒しており、掛け値なしに“日本で一番売れているミニバン”といっていい。
使い勝手のよさはそのまま
ノアとヴォクシーはもともと異なる販売チャンネルのために用意されたが、2020年5月からトヨタは全店舗で全車種を取り扱うようになった。なのに、新型でもノアとヴォクシーが用意されたのは、それぞれに確固たるファンがいることと、ユーザー側の好みにきめ細かく対応するためだ。今はどの店舗でもノアとヴォクシー、そしてノアのエアロモデルという3種類のデザインを平等に比べて選べるようになったのはうれしい。
このクラスのミニバンはすでに日本の交通環境に完璧に最適化されている。新型でもサイズやプロポーションに大きな変化はもはやない。ただ、全幅だけは全車1730mmという3ナンバーサイズとなった。かつてのこのクラスは5ナンバーであることが価値となっていたが、先代でもすでに販売の大半が3ナンバーモデルだったそうだ。
3ナンバー幅とはいえ、4695mmという全長を含めた実質的なサイズは先代とほとんど変わっておらず、リアルな使い勝手や取り回しは悪くなっていない。しかも、スリム化されたAピラーや水平に伸びたボンネットもあって、視界や車両感覚は改善しているという。
快適装備を破格のコストで
このように新型ノア/ヴォクシーはこれまで積み上げてきたものをすべて守ったクルマだが、ハードウエアは骨格からまったく新しい。土台となるのは、現在のトヨタの主力車種を支える最新「GA-C」プラットフォームである。そのおかげで衝突安全性や走行性能、先進運転支援システム、そしてドライビングポジションなどの人間工学は飛躍的に進化している。
さらに、各部の使い勝手の進化も多岐にわたる。大型リアゲートは全グレードで、電動もしくは“からくり”によっていつでも好きな角度で開けられる「フリーストップバックドア」を採用。同じく電気を使わない“からくり”による「ユニバーサルステップ」、固定ベルトなしでのサードシート収納を可能とした「ワンタッチホールドシート」などなど、目からウロコの便利機能を、非常に手軽なコストで実現しているのが特徴だ。
ノア/ヴォクシー初のハイブリッド4WD
パワートレインはこれまでどおり、1.8リッターハイブリッドと2リッターガソリンの2本立てだが、どちらも先代とは別物。特にハイブリッドシステムは市場初投入となる“第5世代”で、よりパワフルでありながら小型軽量化も同時に実現しているという。ハイブリッド車の燃費は23.0~23.4km/リッター(WLTCモード、FF車の場合)である。
さらに、ハイブリッド車とガソリン車の両方に4WDも用意される。特にハイブリッドの4WDはノア/ヴォクシー初。これも新開発の「E-Four」で、リアモーターの出力は「プリウス」のそれよりも高出力化しており、速度や舵角などに応じてリアも積極的に駆動することで、舗装路などでの安定性にも寄与する。
トヨタ最新の運転支援システムを搭載
先進安全については先代の最大の弱点だったが、新型では一気に現行トヨタ車でトップともいえる内容に大幅進化した。車間距離などを検知して自然に速度調整してくれる「プロアクティブドライビングアシスト」や信号検知も追加された「発進遅れ告知機能」などが新しい。さらに車外からのスマホ操作でもパーキング可能な「リモート機能付きアドバンストパーク」、渋滞時にハンズオフ運転も可能な「アドバンストドライブ」など、この価格帯のクルマながら、トヨタが現在持つ先進安全技術がすべて用意されるのが驚きである。
そんなノア/ヴォクシーの価格帯は、ノアが267万~389万円、ヴォクシーが309万~396万円となっている。
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