ノア/ヴォクシー 徹底ガイド 開発責任者に聞く
ノア/ヴォクシー 徹底ガイド 隙のない正常進化
水澗英紀(みずま・ひでき)
トヨタ車体 取締役・執行役員 開発本部 本部長 ZH1チーフエンジニア
2代目、3代目、そして新型と3代にわたってノア/ヴォクシーの開発責任者を務める、まさにミニバンのスペシャリスト。
休日のショッピングセンターや学校行事の駐車場、高速道路、道の駅……を見ればお分かりのように、「ノア/ヴォクシー」に代表されるMクラスミニバンはまさしく「日本の家族」のためにあるクルマだ。新型ノア/ヴォクシーの開発を率いた水澗英紀チーフエンジニアがノア/ヴォクシーの開発責任者を務めるのは、今回でなんと3世代目。そんなミニバンを知り尽くした男といえる水澗氏と、新型ノアヴォクシーのパワートレイン開発を担当した杉山正隆氏と槙野旭洋氏に話を聞いた。
ミニバンづくりは本当に楽しい
編集部
今までの担当した車種を教えてください
水澗CE
私はノア/ヴォクシーの面倒を見る合間に、「アイシス」や「エスティマ」のマイナーチェンジ、そして北米向けの「シエナ」なども担当しました。全部ミニバンですね(笑)。
編集部
ミニバン開発での工夫点はありますか?
水澗CE
普通のクルマづくりはデザインと走り、そしてパッケージングが基本ですが、ミニバンではそれ以外のいろいろな工夫を具現できるんです。しかも、それがお客さまの手に渡れば「ちょっと重い」とか「ちょっとだけ使いにくい」とか課題がまた出てきます。それを工夫して解決していくのが楽しいんです。だから、ミニバンをつくるのは本当に楽しいんですよ。
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2022年1月13日にデビューしたトヨタ4代目「ヴォクシー」
お求めやすい価格が絶対条件
編集部
新型ノア、ヴォクシーのポイントを教えください
水澗CE
新型も基本的には正常進化です。スライドドアの乗り降りのしやすさが、ミニバンにおいてひとつのポイントですが「どうしたらもっと乗り降りしやすくなるか」を考えました。先代でフロアを低くしたのですが、それでもお年寄りやお子さんには完全ではありません。そこで今回はステップを付けることにしました。ただ、お求めやすい価格であることは絶対条件でした。
編集部
ドライバーにとってのポイントは?
水澗CE
今回最も大きく進化したのは“走り”だと思います。これまでのノア/ヴォクシーは古いミニバン用プラットフォームをずっと使ってきました。ミニバンはキャビンを広く使うために、運転席をできるだけ高く前に置くのですが、そのためにサスペンションなどが犠牲になっていたのも否定できません。でも今回は最新の「GA-C」プラットフォームと使うことで、走りを根本的に進化させることができました。さらにドライビングポジションも改善していますので、運転しても安心安全で楽しいミi
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2022年1月13日にデビューしたトヨタ4代目「ノア」
最高峰の先進安全装備を用意
編集部
安全面については最先端の装備が装着されてますね
水澗CE
今回の発売時期は、実は当初の予定より少し遅くなってしまいました。それは先代で少し物足りなかった安全性を最高のものにしたかったからです。ですから、新型ノア/ヴォクシーの先進安全については、「アドバンストドライブ」を筆頭に、現在のトヨタで掛け値なしに最高峰のものを用意しました。
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トヨタの4代目「ノア/ヴォクシー」ステアリングスイッチ
最新ハイブリッドは量販モデルにこそ
杉山主査
新型ノア/ヴォクシーのハイブリッドシステムは社内では「第5世代」と呼んでいる最新のもので、このノア/ヴォクシーが“初出し”となります。これまでのハイブリッドはとにかく燃費の良さをアピールする技術ということもあり、「プリウス」のような燃費を良くしやすい車種から搭載してきたのですが、本来であればノア/ヴォクシーのように重くて、しかもたくさん売れる車種に搭載してこそ、最新ハイブリッドの社会や環境に対する影響も大きい……という思いで、今回はあえてノア/ヴォクシーから搭載しました。
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トヨタ自動車 パワートレーンカンパニー 第1パワートレーン開発部 企画室主任の槙野旭洋(まきの・あきひろ)さん(写真左)と、トヨタ自動車 クルマ開発センター パワートレーン製品企画部 主査の杉山正隆(すぎやま・まさたか)さん(同右)。
舗装路でも役立つE-Four
槙野氏
今回はお客さまからのご要望が多かったハイブリッドの4WD車を新開発して用意しました。プリウスで使っていた「E-Four」よりも高出力化して、フロントタイヤが滑った場合だけでなく、発進時やステアリングを切った時には、路面状況に関係なく、リアタイヤにも駆動配分します。ですから、雪道だけでなく、舗装路でも4WDならではの安定した走りを味わっていただけると思います。個人的には雪が降らない地方のお客さまにも乗ってほしいんです。
[GAZOO編集部]
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