【懐かしの名車をプレイバック】トヨタ・ソアラ 歴代モデルを解説

一世を風靡（ふうび）したあのクルマ、日本車の歴史を切り開いていったあのエポックメイキングなクルマを令和のいま振り返ってみれば、そこには懐かしさだけではない何か新しい発見があるかもしれない。今回は、当時最高のステータススシンボルとして君臨した、日本初の本格パーソナルクーペ「トヨタ・ソアラ」の歴代モデルに注目する。

目次

• 初代ソアラ解説編（1981年～1985年）
• 2代目ソアラ解説編（1986年～1991年）
• 3代目ソアラ解説編（1991年～2001年）
• 4代目ソアラ/レクサスSC解説編（2001年～2005年）
• 初代ソアラ 目の前に降臨したスーパーアイドル(清水草一)
• 2代目ソアラ 進化したアイデンティティー(河村康彦)
• 3代目ソアラ ビッグクーペの魅力にはあらがえない(渡辺敏史)
• 4代目ソアラ 華やかなクルマは人生をときめかせる(鈴木真人)

これまでにないトヨタのフラッグシップ2ドアクーペとして、1981年に登場したのが「ソアラ」だ。開発テーマはGTを超える「スーパーグランツーリスモ」。1980年に大阪国際モーターショーで発表されたコンセプトカー「EX-8」の市販モデルにあたる。

ボディー外寸は全長×全幅×全高＝4655×1695×1360mmと5ナンバーサイズだったが、搭載されるエンジンは最高出力170PSの2.8リッター直6を筆頭に、すべて直6とされた。

4輪独立懸架サスペンション（後に減衰力を自動制御する「TEMS」に進化）や4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、ESC（電子制御スタビリティーコントロール）など、当時の最先端技術を結集して設計されたシャシーや、マイコン制御のオートエアコンやデジタルメーター、キーの閉じ込みやライトの消し忘れなどを音声で警告するエレクトロニックスピークモニターといったハイテク装備の採用も自慢だった。

第2回1981-1982日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに輝いたほか、純白に近いボディーカラー「スーパーホワイト」の流行や、ハイソカー（ハイソサイエティーカーの意）と呼ばれる高級車ブームの火付け役もこの初代ソアラだといわれている。

好評を博した初代モデルの正常進化版として、1986年に2代目「ソアラ」が登場した。

エクステリアデザインは基本フォルムこそ初代モデルを踏襲しているものの、空気抵抗の低減を目指しフラッシュサーフェス化を促進させたキャノピー（キャビンセクション）やすべてのウィンドウに使用された3次曲面ガラス、二重レンズ構造のヘッドランプなど、磨き込まれたディテールによる空力特性や静粛性の向上がうたわれている。

誰の目にも明らかにソアラだと分かるイメージを受け継ぎながら洗練させたこうしたデザイン手法は、“ソアラアイデンティティー”と呼ばれ、販売台数30万台を超える大ヒットの要因にもなったといわれている。

パワーユニットは当時国内トップとなる最高出力230PSを誇る3リッター直6 DOHCターボの7M-GTEUを筆頭に、3リッターと2リッターの直6ユニットのみをラインナップ。

1989年には、世界初の電動折りたたみ格納式メタルトップを採用したオープンモデル「エアロキャビン」も500台の限定で販売された。

1991年に登場した「ソアラ」の3代目モデルは、1989年に北米でスタートしたレクサスブランドでの展開を視野に入れ、従来型が基本的に5ナンバーサイズであったのに対してボディーを大幅に拡大。

米カリフォルニア州ニューポートビーチのトヨタデザインセンターCaltyがデザインを担当するなど、国内向けからグローバル向けへと大きく方向転換された。独立型のトランクが備わる2ドアクーペスタイルという基本スタイルに変更はないが、曲線と曲面を生かした流麗なフォルムが目を引く。

インテリアは、ウッドと本革で落ち着いた雰囲気を演出。反射を抑えた木目パネルや「スペースビジョンメーター」と呼ばれる立体的なデジタルメーターが採用された。トップグレードの「4.0GT-L」（1996年）では、全長×全幅×全高＝4860×1805×1340mm、ホイールベースが2690mmという堂々としたサイズとなり、最高出力265PSの4リッターV8エンジンを国内初搭載。

油圧式のアクティブコントロールサスペンションやヨーレートセンサー、4輪操舵システムなど、トヨタのフラッグシップクーペにふさわしい先進的なメカニズムが盛り込まれていた。

2001年にリトラクタブルハードトップを採用する、いわゆる“クーペカブリオレ”として登場した4代目「ソアラ」。

スタイリッシュなクーペと爽快なオープンカーの走りが1台で楽しめる、個性的でラグジュアリーなキャラクターが注目された。8つのモーターで駆動する「電動開閉式メタルトップシステム」が、約25秒でソアラをクーペからオープンカーへ、オープンカーからクーペへと変身させる。

外寸は全長×全幅×全高＝4515×1825×1355mmで、先代モデルよりも385mm全長が短いコンパクトなボディーも4代目ソアラの特徴だった。エンジンは最高出力280PSの4.3リッターV8で、これに5段ATが組み合わされた。インテリアは、ウッドとレザーがふんだんに用いられた豪華さがセリングポイント。

これは南仏のリゾート地に停泊する高級ヨットをモチーフにデザインされたという。2005年にはレクサスブランドの日本展開に合わせ車名を「レクサスSC」に変更するとともに、マイナーチェンジが実施された。SCはSports Coupeの略で、フラッグシップクーペとしてプレミアムブランド、レクサスの国内黎明（れいめい）期をけん引した。

(GAZOO編集部)

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