楽しきモトブログ…安東弘樹連載コラム
時節柄、最近は仕事も減り、自宅に籠る時間が圧倒的に増えたため、PCで「YouTube」を観る時間が飛躍的に伸びました。
テレビを観る時間が減ったのは、やはりニュース番組や情報番組を付けていると、新型コロナウイルス関連の放送が内容の大半を占め、気分が滅入るという理由が挙げられます。自分の仕事に対する矛盾だとは分かっていても、気付くとテレビの視聴を避けている自分がいるのは確かです。
YouTubeに限らず、動画投稿サイトでは自分の興味の有る動画を自分で選べるという、メリットがあり、こんな時には、非常に有効な娯楽手段と言えるでしょう。また、これまで観たかったのに観られていなかった映画を、動画配信プラットフォームを利用して観ることも増えました。
そんな中、最近、完全に「ハマって」いるのが、オートバイに乗るライダーのユーチューバーが投稿する、「モトブログ」というものです。そのモトブログを投稿する方たちを「モトブロガー」というのですが、これが本当に人も内容もバラエティに富んでおり、楽しいものが多いんです!
私が常に視聴しているモトブログは4つ程で一人は女性ライダーによる動画です。その4つのモトブログに共通しているのは、とにかく一人喋りが面白い!よく、こんなコメントが、いわゆる素人さんから出てくるな、と感心しながら、夜中に一人で笑っていたりしていて、先日、そこを長男に目撃された時には、「夜中に一人で笑って気持ち悪いよ」と、ちょっと引かれてしまいました。
言葉の選び方、タイミング、そしてテレビなど、公共の放送媒体では表現できない、ある意味での下世話さも最高です。でも私が好きなモトブロガーさん達は決して下品になり過ぎず、適度な下ネタも挟みつつ、他者を貶めるような内容にはなっていません。
その「塩梅」が絶妙なんです。
また、その中の一人のモトブロガーの映像はクオリティーが非常に高く、CGも駆使して、番組のオープニング映像一つとっても、そのまま地上波のテレビで放送できるレベルと言って良いと思います。
ツーリング中、酷い煽り運転をしているクルマに遭遇した際にはバイクのヘッドライトから「ビーム」を発射して、そのクルマを爆破する、という痛快なCG映像を観た時には思わず拍手をしてしまいました(笑)。勿論、当該車のナンバーは消していますし、運転者の顔は完全に見えないように配慮はされているので、問題にはならないでしょう。
そして企画力も素晴らしく、普段、我々が、何となく疑問に思っているけど実際に検証は出来ないようなことを、実際に実験してくれるような動画を配信しているユーチューバーもいます。
例えば燃費が良い事で知られる、スーパーカブに乗り、「満タンで都心を出発して北上し、完全に燃料が無くなるまで走ったら、何処まで行けるか」という動画は大変、興味深く観ることができました。ちなみに宮城県、某所までたどり着いたのですが、長年の疑問?に対しての答えを導きだしてくれた、という感謝の気持ちすら芽生えてきて、以来、その方のファンになってしまい、ずっと動画をチェックしています。
安全にも十分に配慮した上で面白く編集してある動画には唯々感心しました。ちなみに語彙力の豊富さと、言葉の選び方に毎回痺れている事も付け加えておきます。
そして女性のモトブロガーは小柄なのに、複数の大型バイクを所有する若干、謎のベールに包まれた方で、しかもどうやら、まだ19歳!
正直、この経済力は一体、どういう事だ、と疑念を持ってしまいましたが、どうやらタレント活動もしているようで、しかもかなりのチャンネル登録者数を保有しているので、ユーチューバーとしての収入も、かなりあるのでしょう。
彼女は語彙力こそ、“「普通の」19歳”ですが、やはり言葉の使い方が面白く、そして小柄な人が、如何に大きなバイクを扱うか、という点に於いて、非常に参考になり、多くの人にバイクを楽しんで欲しいという意志が伝わってきます。
そして私も共感したのが「クルマって、200万円払っても、普通のクルマしか買えないけどバイクで200万円も払ったら憧れのスーパーカーが買えるんだから、こんな良い乗り物は無いよね!」とバイクに乗りながら叫んでいたときでした。
私も以前「クルマが趣味だと、あー、この車に乗ってみたい!というクルマは1000万円以上するものが多いけど、バイクが趣味だったら、そういうバイクが200万円で買えるんですよね」とある雑誌の取材で答えたことがあります。
その動画を観ながら、そうなんだよね!と一人で呟いてしまいました。
続けて、「大型2輪の免許を取ろう!」とも呟いていたのです。そう、皆さんに共通しているのが、心からバイクを楽しんでいる、という事で、それが観ている私に、ビンビンと伝わってくるんです!
そこで、ふと気づきました。これまで数々の「クルマ関連」の動画を観ても、この様な動画が無かったことに。
クルマの動画の種類としては、まず一つはプロのジャーナリストによるインプレッションや解説。アマチュアの方による物も増えていますが内容は、プロとアマで、あまり変わりません。もう一つはサーキット走行を見せる動画。オンボードカメラを使ってタイム計測をする様なものが多いですが、コメントが無いものが主流です。
また、少しマニアックなクルマで、普段の生活を綴る様な動画もありますが、これもコメントは少ない物が多いのが特徴です。それから、車中泊動画も多いですが、これはクルマそのものを楽しむというものではないかもしれません。
後は所謂、「富裕層」に分類される様な方が世界の豪華絢爛なクルマを集めて様々な企画をする“大人の遊び”を存分に披露するようなものもあります。
ただ、無いのです!クルマに乗って運転するだけで「楽しいー!」と叫んでいる様な動画が!そして一人で夜に動画を観て、そこから発する言葉に思わず笑わされてしまう様な動画が!
私はモトブログの様なクルマの動画を一晩中、様々な言葉で検索して探したのですが、本当に無かったんです。バイク動画に多い、一人、もしくは複数の人でツーリングを楽しむような動画すら殆どありませんでした。
そして、その理由を考えました。
まず、現代に於いてバイクに乗る、ということ自体が、既にマニアックな行為と言えるので、それを選ぶ人、そのものが良い意味で遊び心が有る面白い「変人」である。
基本的に特に中型以上のバイクは趣味人に向けて「のみ」造られるので国内外メーカー全てのモデルが殆ど、カッコイイ!
そう、所有するだけでテンションが上がる商品ばかりなんです。変人(失礼!)がテンションを上げて楽しみながらコメントする訳ですから、自然と面白くなるのではないか!そんな結論に辿り着きました。
カッコイイバイクに乗ってスロットルを開け、身体がむき出しなので、そこそこの速度まで加速するだけで「オー、楽しすぎる!」という魂の叫びがブロガーから飛び出すことで、観ている私も共感してしまうのかもしれません。
しかも、世界のハイブランドのバイクを富裕層でなくても無理をすれば購入する事が可能、というのも、観ていて楽しい理由の一つでしょう。実際に私も、まだ大型免許も持っていないのに、このイタリア製の大型バイクをいつか買って、乗ってみたい等と想像していますので…もちろん、今後も仕事が順調に続けば、ですが。
また、こんな御時勢だからこそ、クルマより自由に羽ばたける様なバイクのイメージが私の気分を上げてくれているのかもしれません。
ただ、ここ最近、そのモトブロガーの皆さんの動画が激減しています。そう、この状況で、外出を控えていらっしゃるからです。当然と言えば当然ですが、こんな、ささやかな楽しみも間接的に奪われるのが、このウイルスの怖い所です。無縁でいられる人が世界中、一人もいない、という事を実感しました。
いつか、新型コロナウイルスが終息し、自分も大型バイクに乗ったら、モトブログを始めてみよう…いや、私には先輩たちの様に一人喋りで視聴者を笑わせられる様な感性と技術を持っていないので、普通にバイクで楽しみたいと思います。その前に、買い替えたばかりのバイクみたいなクルマで楽しめるようになる日を祈って、日々、仕事以外は家に籠ります!
この原稿を書いている日(4月下旬の日曜日)、吉祥寺や江の島が行楽の人で溢れていたという報道を目にしました。改めて、人との接触を避けるしか、このウイルスの終息は望めません。皆さん、共に耐えて乗り越えましょう。
安東 弘樹
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