クルマで海を渡る …安東弘樹連載コラム

タイトルの意味、皆さんは理解出来ますか?

勿論、水陸両用車を使えば不可能ではありませんが、外洋を走るのは危険です。殆どの方は察していらっしゃると思いますが、そうフェリーを使うという意味です。これほどクルマに乗っている私、さぞやフェリーにも乗って来ただろうと思っていたのですが、冷静に振り返ってみて自分で驚きました。実は過去に一回しか利用した事が無かったのです。

先日、人生2回目のフェリー体験をしてきました。前回は1998年、北海道に渡った時ですので、21年ぶりになります。

そう、クルマの運転が好きなあまり、普通であればフェリーで丸一日掛けて移動するような距離でも、私は一気にクルマで移動してしまうので、基本的にフェリーに乗る機会が無いのです。例えるなら東京から宮崎まで、や、それこそ北海道へ行くのも自分の運転で…、陸路で青森まで行く人はあまりいないようですが、私はクルマの運転自体を楽しみたいので、フェリーという物が選択肢に入りませんでした。

しかし、今回は佐渡市に渡る為、どうしてもフェリーに乗らざるを得ず、新潟港までは当然、クルマで移動して、そこから船上の人、となりました。

上越方面に向かう関越自動車道が走り易いのか、何故か新潟に行く際には途中の休憩が必要なく、毎回、文字通りノンストップで現地に到着してしまいます。今回も自宅から新潟港までの約400キロ、一気に走ってカーナビゲーションの予想到着時刻より1時間以上早く着いてしまい、時間を持て余してしまいました(笑)。

さあ、時間になった所で、いよいよ自分のクルマに乗って乗船です。前回、フェリーに乗った時の記憶が殆どありませんので、自分でも驚く位に興奮しました。大きな船の船尾から信じられない程、多くのクルマが飲み込まれていきます。自分の番になった時のワクワクは堪りません!軽い段差を超えていよいよ船内へ!

そこで手慣れた船員の皆さんの誘導でクルマを停め、しばしお別れです。相棒を置いて自分は自分の船室へ移動しました。ちなみに21年前の北海道へのフェリーは雑魚寝の様な船室で、楽しかったのと引き換えに、それなりに疲れる船旅であったと記憶しています。

そんな事もあり、今回はちょっと奮発して1等という名前が付いた船室を選びました。そこは自動ドアで区分され、靴を脱いで入る絨毯敷きの大きな部屋に、一つ一つ独立した立派なシートが並んでいる席で、想像以上に快適な空間でした。船自体が5,000トン以上と大きい事もあって、揺れも気にならず、船酔いにもなりません。私は事前に窓際の席を指定しておいたので、大海原の景色も楽しむ事も出来ました。

2時間半の船旅なのですが、あまりにワクワクしてしまい折角の快適なシートに、ずっと座っていられず、甲板に出たり、操舵などを司る艦橋の、すぐ下に位置する展望キャビンに出向いたり、まるで子供の様にはしゃいで様々な所に移動、探検?してしまいました。

自分のクルマが自分たちの居る船室の下に停まっている事も何だか嬉しく、しかも目的地に着いたら、すぐに自分のクルマを運転して移動できる、というのが何より嬉しいのです。

通常、鉄道や飛行機等の公共交通機関は、乗る時は何処かの駐車場に停めてから、それらに乗らなければなりませんし、着いた時も自分のクルマが待っている事は有りません。今後、完全自動運転になった暁には、そんな事も可能になるかもしれませんが、そもそも運転が好きな私にとって、運転が必要ないクルマが到着駅や空港で待っていても意味がありません。

ですから今更ながら気付いてしまったのです。フェリーこそ、私の理想の公共交通手段である事に!そんな理由から、ワクワクが終始、止まらなかったのです。いえ、ゾクゾクと言っても良いかもしれません。しかも、佐渡はクルマで走るのにピッタリの風光明媚な所です。

今回は、まだ冬季閉鎖中であった為に走る事は叶わなかったのですが、大佐渡スカイラインは佐渡の島を見渡せる絶景で知られており、まだ閉鎖中とは知らなかった往路の船内では、ここを走るのが楽しみで仕方がありませんでした。それだけに閉鎖中と知った時は腰から砕け落ちましたが…。自分の事前チェックの甘さを呪ったのは言うまでも有りません。

これは宿題という事で、気を取り直し、一般道を走りましたが、それでも、そのダイナミックな自然の景観のお陰で、十分過ぎる位にドライブを楽しむ事が出来ました。

今回は1泊したものの、滞在は24時間弱と短かった為、ドライブと、以前、自分が担当する番組で紹介させて頂いたお店の「ブリかつ丼」を食べる事と、やはり番組で紹介した「かやの実かりんとう」を作っている会社の方に挨拶をしに伺っただけになってしまいましたが、フェリーでの興奮も含めて充実した佐渡紀行になりました。

しかも、佐渡の両津港にあるフェリー乗り場の待合室で帰りのフェリーの出航を待つ間に、“新元号”の発表をテレビで観るというおまけも付きました(笑)。復路の新潟までの航海中は往路と違って少し慣れたせいか、落ち着いて座っている時間は長くなりましたが、やはり終始、ワクワクしていた事は否定できません。

改めてフェリーの魅力にハマってしまいそうです。唯、欠点は費用が決して安くはないという事でしょうか。特に一人で乗る場合、費用の内訳はクルマの航走運賃が殆どを占めます。佐渡の場合、4メートルから5メートルの長さのクルマの場合、往復で32,540円。
1等の船室代が往復で7,000円弱ですから、如何にクルマを運ぶのに費用が掛かるか分かって頂けると思います。

ですから、頻繁に利用する事は出来ませんが、私にとっては極上の体験を発見したと言って良いでしょう。改めて今回、フェリーの魅力に気付き、究極の目標が出来てしまいました。

法的に可能かどうか分かりませんし、その様な旅を提供してくれる旅行会社が有るのか分かりませんが、将来、自分のクルマを積んだ大型客船で世界の国々を旅してみたいものです。

様々な国に寄港する度に自分のクルマを乗り出し、各国で何日かクルマ旅をしたら船に戻って、また他の国に移動する…、正に夢の様な旅です。それを実現するまでは死ねない、とさえ思い始めた今日この頃です。

私にとって旅にクルマは欠かせません。ですから常々、海外も自分のクルマで行きたいと思って来ました。そういう意味では最も身近な「海外」、佐渡市への旅は、その予行練習になるのかもしれません。

4月中旬には「大佐渡スカイライン」が開通する予定ですので、時間が出来たら、今度はキチっと情報を確認して、リベンジです!他にも適度なフェリー航路、探してみるつもりなのですが、時間的な制約もあるので、吟味したいと思います。どなたか良いフェリー、知りませんか?

安東 弘樹

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