人生初の本格的カスタム…安東弘樹連載コラム

前回、日本メーカーの軽オフローダーを購入した話をさせていただきましたが、これをベースに人生初の本格的カスタムを計画しています。

実は部品そのものは注文済みで、今後、新型コロナウィルス感染防止のための緊急事態宣言が解除された後、本格的に装着作業をしようと思っています。

作業と申しましても、現状、さまざまな作業をするスペースは自宅にはないので、普段から利用することが多い総合自動車ショップにお願いするので、正確には「作業してもらう」と言った方がよいですね。

購入したクルマは軽自動車規格の660ccのターボ付きエンジンですが、やはりパワー不足は否めません。

まずは過給機(ターボ)のブーストアップを図れるブーストコントローラーを装着し、エアークリーナーのフィルターを変えようと思います。

そして排気効率を高め音も少し重厚になるマフラーも注文しました。

さらに車重を少しでも軽くする効果と見た目のシャープさにも寄与するカーボン製のエンジンフードに変えることも購入前から企んでいたので、こちらも発注済みです。

後は、ホイールは純正のままですが、タイヤは、すぐに変えました。

175/80R16サイズの純正タイヤを195/R16にサイズアップし、さらにマッドアンドスノー規格のオールテレーンタイヤで見た目もアグレッシブになり、気に入っています。

あ、それに、そのタイヤにマッチする車高にするため、リフトアップサスペンションも装着待ちでした!

いろいろと変えましたが、軽自動車ベースということもあり、部品一つ一つが、そんなに高価でないのも嬉しい限りです。

しかし、一つの部品が高価ではないといっても、それは普通車との比較論であり、想定外にいろいろと変えましたので、ジャブのように財布に負担が掛かってきたのも確かで、調子に乗らないように気を付けなければ、と思いながら…リアのランプ類がすべて現状は「電球」ですので、ユニットごと、LEDにしたい、などと考えている今日、この頃です。

やはりクルマはお金が掛かりますね…。

ただ、私はこれまで「カスタム」という考え方がなく「メーカーがバランスを考えてクルマを造り、販売しているものだから、購入した時のままが一番良い」というタイプだったのですが、COTYの仕事をし始めてメーカーの方と直接、お話をする機会をいただけるようになり、「ユーザーが、それぞれカスタムすることを前提にクルマを造っています」という話をしていた、ある日本メーカーの方がいらっしゃって、衝撃を受けました(笑)。

やはり前回のコラムのテーマではないですが、カスタム文化が日本には根付いているようで、実際に体験してみると、それはそれで楽しいものですね。

その代わり、インターネットで世界中のチューナー、部品メーカーから買い物ができるだけに、滅多にないとは思いますが、粗悪な商品を購入、装着しないように気を付けなければ、クルマ自体を壊しかねません。

今回、さまざまなメーカーの部品を検索、検討しましたが、経験がないだけにどれを購入するか本当に迷ってしまいました。

特に私のクルマ用のカーボンエンジンフードは数社から販売されており、価格も幅があったので、どれを選んでよいか迷いましたが結局、日頃から利用してきたショップで扱っているものが一つだけあり、ネットでも、これがよいのではないかと当たりをつけていたものと同じでしたので、それに決められましたが、その偶然がなければ未だに迷っていたと思います。

少しずつ、外観も中身もブラッシュアップしていく自分のクルマを想像しながら、ニヤつく毎日もよいものですね。

特にパワー不足や軽自動車特有の甲高い乾いた排気音が、どれほど変わるのか、それぞれの部品を装着するのが楽しみで仕方がありません。

でも冷静に考えてみると、最初からオフロード用の仕様にしてくれていれば、後から掛かるコストは抑えられたのにと思わないでもありません。例えばタイヤ一つとっても、今回、私が購入したクルマは卓越したオフロード性能を持ちながら、タイヤは、オフロードには向いていない、突然の降雪にも対応できないものがデフォルトで装着されており、当初は正直、理解に苦しみました。

メーカーとして初期コストをできるだけ抑えることで車体価格をギリギリまで下げ、購入後にユーザーが自分好みにカスタムする「余白」を残しておく、またそれを楽しむという「文化」に初めて触れた気がします。

以前、あるフランスメーカーのスポーツ部門がつくったメーカーコンプリートカーを買った知人は、サーキットを走るために、これまでのように、「カスタムをしよう」と日本の老舗スポーツブレーキメーカーにクルマを持って行ったところ、そのメーカーの方に「これ、そのままの方が良いですよ。我々が極限まで突き詰めて作ったブレーキと遜色ないですから」と言われ、ある意味ガッカリしたと言っていたのを思い出しました。

その知人は、それまで日本のメーカーのスポーツカーを購入、カスタムするのを楽しんできた方で、「これ、これくらいの値段を掛けて今の状態にした!」と嬉しそうに話をしていたのですが、輸入車を購入したのはその時が初めてで、「そのままの方が良い」と言われたのは本来嬉しいはずなのに、なぜか楽しみの一つを奪われたような気がして寂しかったそうです。

実際にサーキットを走ってみて、確かに素晴らしいブレーキで文句のつけどころはなかったそうですが、「伸びしろがあった方が楽しめる」と言ってその後、少し前の日本のスポーツカーに替えてしまいました。

それでもイギリスやフランスのクルマは、まだ「イジれる」ところが残っているメーカーのものもありますが、最近のドイツメーカーのスポーツモデルなどは少しでも部品を変えるとコンピューターがエラーを出し、走行できなくなるものも増えており、方向性としては「我々の仕事に任せなさい」というポリシーのようです。

最も彼の地のスポーツモデルは確かに走行性能、ブレーキ性能、またタイヤサイズ一つとっても、「それ以上」はない程の完成品になっており、今、私が感じている楽しみは味わえないでしょう。

私は、どちらも好きですが、今は日本メーカーの軽自動車を自分の思い描く状態に少しずつ「改良」していくことに無上の喜びを感じています。

そして、その改良に応える、素性のしっかりしたクルマを、この価格で生み出した、この日本メーカーに改めて敬意を表したいと思います。

50代になって知った「カスタマイズ」。

遅ればせながら、「購入した後は、そのクルマを楽しむだけ」、ではない「育てる」楽しさを、やはり、その醍醐味である「少しずつ」楽しんでいきたいと思います!

それにしても、すべての人がさまざまなことを楽しめるように、また安心して過ごせるように早くコロナウィルスが「収束」ではなく「終息」することを願ってやみません…。

安東 弘樹

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