旧車の祭典にポテンシャルを感じた…安東弘樹連載コラム
2月19日、20日、2日間に渡って、ヒストリックカーの祭典、ノスタルジック2デイズが行われました。昨年はコロナウィルスの影響で中止となりましたので、2年ぶりの開催です。
以前も、このイベントの、お話をさせて頂きましたが、今回はコロナ禍で万全の対策を施しての開催となり、雰囲気も変わるのかと思いきや、日本中の出展メーカー、ショップの皆さん、そして来場者の皆様の熱気は、これまでと全く変わりませんでした。
主催者側も特別な空調や消毒の徹底などで可能な限りの準備をして、2年ぶりで待ちに待ったお客様を迎えており、それに答えるように、来場していた方々もマナーを守って楽しんでいらっしゃいました。
私の役割は会場中央に設置されたステージで行われる幾つかのコンテンツの司会でした。
パンフレットには「総合司会」などと書かれていて恥ずかしかったのですが、本当に「お手伝い」をさせて頂いた、という認識です。
素敵な旧車たち
初日の朝10時30分。このノスタルジック2デイズ最初のコンテンツは「選ばれし10台」という個人所有の数々の旧車達を1台ずつステージの前で紹介する、というものです。
正に「選ばれた」往年の名車達を1台ずつ、そして、そのオーナーの方にも1人ずつ、ステージに上がって頂き、詳しく、自分の愛車についてお話を頂いたのですが、どの方も、自分のクルマに対する「愛」に溢れていて、話を伺っていると、こちらまで幸せになってきました。
1台目に登場したのは、19388年(昭和13年)!に生産されたダットサン
17型フェートンという、今の日産の元祖のクルマ、とも言える名車です。
当然、普通に走行出来ますし、何より驚くのは限りなく当時のオリジナルのまま、という、その状態です。外装もピカピカでブルーのボディが光っています。内装もシート表皮こそ、新しい物に替えているとは言え、デザインは、当時とほぼ同じ状態にしているそうです。
他にも1950年代のフランス車、60年代70年代の日本メーカーの名車の数々、果てはスーパーカー世代にはタマラナイ、ランボルギーニカウンタックLP500Sとフェラーリ512BBを、二人で乗っていらっしゃったご夫婦も登場。
トヨタテクノクラフト製、MRスパイダー(VVTiエンジン搭載の最終型)
更に98年式と、今回のイベントの中では新しいとは言え、限定で8台しか生産されなかったトヨタテクノクラフト製、MRスパイダー(VVTiエンジン搭載の最終型)を所有している20代の男性が、愛車と共に、ステージに颯爽と登場した時は興奮を抑えられませんでした。
この男性は、このクルマに一目惚れして手に入れてから、多くの人との交流が生まれ、人生が変わったそうです。若い方が、このようにクルマを楽しんでくださると本当に頼もしく感じてしまいます。思わず「これからも、ずっとクルマ好きでいてください!」と、お願いをしてしまいました(笑)。
結局、動かなくなってしまったクルマもあり、10台のはずが8台になってしまいましたが(例年、こういう事は珍しくありません。そりゃそうです。50年前後前のクルマが数多く登場する訳ですから・笑)それにしても、滅多に見られない様なクルマを間近で次々と見られる本当に夢のようなステージでした。
横山険さん、子供のころに感動した映画に登場したクルマで登場
初日、最後のコンテンツは、ノスタルジック2デイズで最も盛り上がると言っても過言では無い横山険さんのトークショーです。
無類のクルマ好きで数多くの、「クルマをモチーフにした」楽曲も多い剣さんですが、最近はヒストリックカーレースにハマっていらっしゃるそうで、今回は実際にご自分が出場しているレースのマシン、510ブルーバードを引っ提げての登場でした。
ご自分のマシンの、すぐ近くで行われたトークショーではレースの時の映像も交えて、本当に楽しそうにお話をしてくださいました。
510ブルーバードを選んだ理由は、剣さんが少年時代の1969年に公開された石原裕次郎さん主演の映画「栄光への5000キロ」を観た時の感動が忘れられなかったから、との事。この作品は実際にサファリラリーで日産が優勝した時の様子を映画化したもので、当時の多くのクルマ好きが夢中になって観たものです。
実は私も、当時住んでいたスペインで日本より遅れて公開された、この映画を1973年に観ており、話は俄然盛り上がりました。漆黒の、このブルーバードで、暫くはレースをしたいと話す剣さんの顔は完全に少年でした(笑)。
「少年の時に憧れたクルマを駆って、今は自分がレースで闘っている、という感動は何にも代えがたいです。」との言葉が忘れられません。
旧車イベントは将来性があると思う、その理由は…
珠玉のショップデモカー
2日目、今回、出展しているショップさんが手掛けた珠玉のクルマ達が登場する「ショップデモカー走行入場」からコンテンツが始まりました。
旧車を蘇らせる有名ショップの皆さんが1台ずつ、自慢のデモカーを紹介してくれる、という、目玉のステージショーで、朝から多くのお客さんが来てくださいました。
車種も千差万別。スーパーカーの代表各、1970年式「ランボルギーニミウラ」は、殆どオリジナルに近いというのに、奇跡の様な状態で快調にステージまで走ってきてくれました。
外装も内装も機関も当時の新車の様です…。
参考までに、もし、このクルマを購入しようとした場合、お幾ら必要になってくるでしょうか?と伺った所、「2億に消費税で2億2千万円といったところでしょうか」と妙にリアルな、しかし規格外のお答えが返ってきました。
しかし、それも納得の状態の「ランボルギーニ・ミウラ」です。このコラムを読まれている方で、状態の良いミウラを探している方、ネットで検索して、このショップにご連絡ください!
私個人的には自分の初めての愛車「シティーターボⅡ」を持ってきてくださった福岡のショップさんにも感謝です。現車を目の前にした瞬間、当時の思い出が、一挙に去来しました。
他にも日本メーカーのマニアックなクルマが目白押しで、このイベントの司会を担当して本当に良かったと、しみじみ感じながらの進行になりました。
ポテンシャルを感じたイベント
そして私が担当した最後のコンテンツは、レーシングドライバーという枠を超え、現在は様々な活動をされている、飯田章さんと織戸学さんのトークショーでした。
お二方とも、最近の愛車事情や、それぞれが主催しているイベントなどについて軽妙なトークで会場を盛り上げてくれます。更に90年代のレーシングドライバー、モテ事情等、ここでは書けない様なお話もして下さいました(笑)。
そして今回は日産の協力で先日のオートサロンでも注目された新型フェアレディZが、歴代の全てのZと並んで展示されており、その光景は正に「圧巻」の一言でした。
ちなみに今回、私が会場内を観て回っている時に、「安東さん!」と声を掛けられると、実は、その方が、かなりの著名人だった、という事が頻繁にあり、驚きました(笑)。
世界的に有名なバレエダンサー、元サッカー日本代表選手、番組で御一緒している伝説的DJの方、更に、声は掛けられませんでしたが、超有名な格闘家の方、等の皆さんがマスクをして、さりげなく、このノスタルジック2デイズを楽しんで、いらっしゃいました。
最近の旧車ブームを考えると、近い将来、新車の「モーターショー」、カスタムカーの「オートサロン」そして旧車の「ノスタルジック2デイズ」等と並び称される日が来るかもしれません。
今は、規模としては他の2つのイベントと比べると差は有りますが、熱気は負けておらず、それほどのポテンシャルを感じたイベントでした。
私も出来れば今後も携わっていきたいと心から願って会場を後にしました。
もし、これまでは来場した事が無い、という方。来年も予定されていますので、是非、1度、足を運んでみて下さい。
新しい世界に出会えるかもしれませんよ!
安東 弘樹
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