人生初の電気自動車 プジョー e-208 GTを購入した理由…安東弘樹連載コラム

  • プジョー e-208 GT

「ついに、この日が来た。」と納車の日に、心中で呟きました。
これまでのクルマ人生で初めて、純電気自動車(BEV・バッテリーEV)を購入したのです。
購入する前には、YouTubeで既にBEVを所有しているユーザーの方々の動画を片っ端から観て参考にさせて頂きました。

立駐に入ることが条件

ジャーナリスト、レーシングドライバー、Z世代の若い一般ユーザーまで、ありとあらゆる方々のBEVユーザーの本音を知る事が可能なのが現代の良いところです。

  • プジョー e-208 GT運転席

その結果?私が購入したのは、プジョーe-208でした。
実は、ジャーナリストやレーシングドライバーの方はテスラを所有している事が多く、動画もBEVの中ではテスラに関しての動画が最も多いのが事実です。
走行性能、充電性能、共に群を抜いているテスラが、人気なのも頷けます。

そして、もっとも動画が少ないのがe-208でした(笑)性能も特筆すべきモノはないですし、駆動用バッテリーの総電力量は50kwhと最近のBEVにしては少ない方です。
当然、航続距離もカタログ値で400kmと大した事はありません。
実際の航続距離は、250km~300kmといった所でしょう。

しかし、今回の私のBEVの使い方にはピッタリだと思いました。まずサイズが小さい事も、このクルマを選んだ大きな理由です。

  • プジョー e-208 GT

e-208は主に仕事で使う事を想定していますので、私が所属している事務所のビルの立体駐車場に入るサイズ、というのが大前提。

それだけで、全テスラモデルは除外されます。基本的に輸入BEVは特に幅が広いものが多く、多くのモデルは選択肢から外れました。

実はe-208、今日本で買えるBEVの中で軽自動車規格の2車種(日産サクラ・三菱ekクロスEV)を除くと、最も小さいのです。日産のリーフより40cm近く短く、幅も4cmちょっと狭く、高さは10cm弱、低い。つまり、都内の立体駐車場や、コインパークなどで困る事は殆どないでしょう。

多くのBEVユーザーの方々の動画を参考にした割には結果的に物理的な制約が立ちはだかりましたが、もちろん理由はそれだけではありません。

小粒でもストレスフリーの加速

小さな身体でBEVにしては軽い事で、加速はかなり鋭いですが、唐突感は無く、良い塩梅の動力性能です。走行モードは3種類有りますが、アクセルレスポンスが良いので、最も大人しいecoモードでも、走っていてストレスは皆無と言えます。

これまで乗ってきたエンジン車でエコモードのたぐいを選ぶと、スタートがもっさりする様な事が多く、さほどそのモードで走る事はありませんでした。

しかしe-208に乗ってからは、ecoモードがデフォルトになりました。
高速道路で100km/hで走行していて、一旦スピードを落として再加速する時も、そのままのモードでモタモタするような雰囲気もありません。
(それでいて満充電スタート時の航続距離はメーター上、380km。ちなみにノーマルモード時は360km。実際は、そんなに走りませんが)

これには驚きました。

ちなみにスポーツモードにした時には、BEVらしい、痛快な加速が楽しめます。

また重量のあるバッテリーがクルマの底部にあるので、重心が低く、オーバースピードでなければ、コーナーでの安定感も抜群です。

もちろん、これまで何度もBEVに試乗する機会はあったので、その事は理解しているつもりでしたが、自分で所有して毎日乗ってみて実感する事もあるのだな、と改めて納得しました。

しかも、BEVはSUVや、それに準じたディメンションのクルマが多いので(日産リーフでさえ全高は1560mmとコンパクトSUV並)全高1465mmのe-208は高さ自体が、かなり低い部類に入り、重心が低いBEVの中でも安定感が特別なのが分かります。

ちなみに、重量もBEVのなかでは軽い事がドライバビリティーに寄与しているのは間違いありません。

言い過ぎかもしれませんが、自分のロータスエリーゼに匹敵するようなオン・ザ・レール感を伴ってコーナーをクリアしてくれるのです。

さらに言えば、日産R35GT-Rの生みの親、水野和敏さんもご自分の雑誌のコーナーで、プジョー208を評して、構造も含めてボディの剛性が素晴らしいと仰っていました。
それについては、前々回の日本カー・オブ・ザ・イヤーで、このプジョー208シリーズをイヤー・カーに選んだ時、私も同じ事を感じましたのでユーザーになった今、改めて実感しています。

ちなみに申し上げておきますが、今回このe-208を購入する際に、私はインポーターには一切、話もしていません。当然、値引きなども地元の正規ディーラーのスタッフさんから御提案頂いた分だけで、恐らく他のユーザーさんの方が頑張って交渉されていると思います(笑)。

結論から申し上げると限りなく定価に近い金額で購入させて頂きました。

もともと、値引き交渉というものが苦手で、これまでも殆どしてきませんでしたので、今回もこれまで通りです。そして、これまで通りといえば今回もローンでの支払いです…。

自分のプジョーe-208 GTで電気自動車の気になることを検証します

  • プジョー e-208 GTサイド

さて本題に戻りましょう。

購入してから、この原稿を書いている今日現在で1200km程走りましたが、BEVというか、e-208に大変満足しています。

前述しましたが、普段は千葉の自宅から主に都心にあるテレビやラジオ局などへ仕事で往復していますが、距離にして100km前後ですので、満充電で走り始めて帰宅時にバッテリーは3分の1程度しか減っていません。帰宅したら、200V・3kwのコンセント充電をして、次に使うときは満充電になっています。

ちなみに自宅ガレージにはソーラー発電器を設置していますので、難しい説明は割愛しますが、発電量と使用量のバランスはBEVを充電するようになって、かなり使用量が増えるのではないかと覚悟をしていました。ですが走って減った分だけ充電するからか、e-208を購入してからの時期で確認しても、1割も増えていない事が分かりました。(電力会社のサイトをネットで確認)

50kwhの電力量の内、一日100kmの走行で使うのは15kwh程ですから、帰宅して3kwの出力で充電して5時間で満充電になる計算です。

普段使いでBEVの運用で困る事は殆ど無いのだと実感しました。
1度、都心の仕事場から実家の横浜経由で千葉に帰った時は200km強を走りましたが、帰宅時のバッテリー残量は3分の1ほどで、焦ることもありませんでした。

BEVは自宅で充電するのが基本です。

ネットで「BEVは田舎では充電器が無いので所有は無理」という意見が多く見られますが、実は都市部のマンション住まいの方の方がBEV所有へのハードルは高いのです。

地方に限らず、自宅に充電器が設置出来る方であれば、普段は自宅以外の急速充電器を使う事は希だと思います。私も仕事で使っている中で急速充電器を使ったのは、これまでで3回ほどです。(横浜の実家に行った時は、帰宅途中で高速道路、PAで充電。次に説明する長距離旅行の時は別)

しかし、問題は旅行などでの長距離走行の場合です。いわゆる経路充電が必要になる場合、日本の充電インフラでは、「充電無間地獄」に見舞われるというたぐいの動画がYouTubeでも数多く見られます。

そこで、私実際にやってみました。

長野県、諏訪市に、「ちょっとした」仕事があったため、e-208で行く事にしたのです。

普通であれば長距離走行に向く、マイルドハイブリッドのディーゼル車で行くのが無難ですが。BEVの長距離旅を想定した検証にピッタリと思い、1泊して往復500km超のBEV旅を決行しました。(この距離では個人的には長距離とは言えませんが、一般的には長距離?)。

仕事(通勤)や近所の買い物、家族との食事などで使っている分には経済性や環境負荷も含めて負担が少なく、走行性能にも大満足のe-208ですが、長距離を走った場合はどんなストレスが待っているのか。とにかくe-208関連のYouTube動画が少ないので、自分で検証するしかありません。

特にプジョーやシトロエンなど、フランス車と日本のチャデモ規格の充電器の相性が悪い、との話をよく聞きます。

電欠、などという事は有るのか。

と、ここで字数が過ぎてしまいました。

実際の検証の結果は次回とさせて頂きます!

安東弘樹

MORIZO on the Road