毎年2月と4月に行われる、クルマ好きの祭典…安東弘樹連載コラム
このサイトをご覧になっている皆様でしたらご存じの方も多いと思いますが、毎年2月と4月に「ちょっとマニアック」なクルマのイベントが開催されます。それが2月に開催される「Nostalgic 2days」(以下N2d)と4月に開催されるAUTOMOBILE COUNCIL(以下A.C.)です。
それぞれ、どのようなイベントかと申しますと、まずN2dは今年で17回目。
一言で申し上げると日本最大級のクラシックカーの祭典です。今年の2月21日(土)と22日(日)の2日間、神奈川県横浜市の「パシフィコ横浜」で開催されました。
全国のプロショップにて仕上げられた日本最高クラスのクラシックカーを会場内に展示するだけでなく、その場で販売。毎回、全国から熱心な旧車ファンが駆けつけ、実際に展示車を購入されています(一部の車両は非売)。さらに出展されるのは車体だけでなく部品など関連用品、書籍や各種レトログッズなど、クルマ以外の懐かしいアイテムも多数展示、販売されるのです。
そして、似て非なるAUTOMOBILE COUNCILは、今年で11回目。
(ホームページから抜粋)
「自動車の歴史を軸にヘリテージカーからモダンカーまでが一堂に会する、3日間のイベントです。
展示や販売に加え、トークセッション、アート、音楽、マルシェなどを通して、クルマを取り巻く多様なカルチャーと出会い、クルマのある人生の愉しみ方を提案します」。
今年は2026年4月10日(金)~12日(日) 10時~18時(プレスデイは10日、10時~13時)千葉県の幕張メッセで行われました。
私は今年もN2dでは総合司会を担当させていただき、A.C.では初めて、イベント内の一つのコンテンツで、トークショーを担当させていただきました。
両イベントに共通するのは、基本的に旧車と言われるクルマを展示し、販売。さらに時代に即した音楽イベントやトークショーなどで楽しくクルマに触れる。ということでしょうか。
共に自動車文化を醸成させる。という大きなテーマでも一致しています。
さらに近年は、両イベントに大手自動車メーカーが、ブースを出展しているのも特徴と言えるでしょう。
実は両イベント、共にクルマ雑誌の出版社がまさに「手弁当」で始めたのが最初で、それぞれ10回を数える辺りからメーカーが公式に出展するようなイベントに育っていることに深く敬意を表したいと思います。
恐らく、多くのご苦労があったと推測しますが、それだけに、このようなイベントに携わることができて大変嬉しく思っています。
両主催者の皆様、この場を借りて御礼申し上げます。
さて、それぞれのイベントに参加させていただいた立場から、その魅力と、そこから感じたことを正直に書かせていただきます。
Nostalgic 2days(N2d)
まずN2dは、誤解を恐れずに申し上げると、ちょっと旧い「日本メーカー」のクルマが中心のイベントです。その中でも多くを占めるのが「日産車(ダットサン、プリンス時代も含む)」。他のメーカーさんが出展する時には、それぞれのメーカーの社員の方が「日産ばかりで圧倒されます」と苦笑いするほど(笑)。当時(60年代~90年代)の日産の勢いを感じます(それ以上、今回は何も申しません!)。
トークショーも新旧の日産系ドライバーのトークショーが多く、私自身も1990年~91年に掛けて日産の販売会社で陸送(点検時や納車の際にお客様の車を運転して、ご自宅と販売会社の間を運ぶ仕事)のアルバイトをしていましたので、それを実感します。
何しろ当時の自宅の近くには、ほぼ全てのメーカーの販売会社が存在していましたが、気付くと、迷いなく「日産」の販売会社を選んだことを思い出しました。それだけ当時の販売車のラインアップに魅力を感じたからです。
あ、話を戻しますが、音楽イベントも70年代~80年代のアイドルの皆さんのライブが中心。アットホームな雰囲気が会場を包んでいます。
日本中から集まったショップの方々とお話しをするのも、毎回楽しみにしています。
AUTOMOBILE COUNCIL(A.C.)
一方のA.C.は、こちらも誤解を恐れずにお伝えすると、「輸入車」の旧い車を中心としたイベントです。もちろん、今年も幾つかの日本メーカーが出展していますので、輸入車だけではないのですが、出展ブースは輸入車を扱うショップが多いのは確かです。
しかも、その販売車の価格も驚くようなものが多く、今回私が確認できた中での最高額は、数年落ちのブガッティ・シロンで5億5000万円以上!でした。
これまでの出展車で歴史的な価値がある車には「¥ASK」というものが多かったので、実際はそれ以上の価格で取引されたクルマもあるでしょう。
イベントに関しても、音楽イベントなら、ボサノバやジャズなどのライブ。トークショーも重鎮級の俳優さんや、ジャーナリスト。生ける伝説的な世界的自動車デザイナーなど、「どうやってキャスティングしたのだろう?!」と驚くようなイベントが毎回開催されます。
そんなA.C.の中で今回、私が担当させていただいた「偏愛オーナーズミーティング」は、25年以上前に生産されたヘリテージカーを対象とした、オーナー参加型のイベントで愛車へのこだわりやストーリーを共有できる交流型イベントでした。
会場も幕張メッセのホール内ではなく、駐車場を使った屋外で催され、その中でトークショーを担当させていただいたのです。
今回は司会ではなく、僭越ながらトークゲストという形での参加。トークショーのお相手はモデルで俳優の中田圭祐さん。1995年生まれで、まだ30歳の中田さんの愛車は6歳年上?の1989年式、HONDA CR-X!しかもMT車です。
そのクルマをこの偏愛ミーティングに出展されていたので、現車を拝見することができました。
非常に綺麗に乗られているだけでなく、機関もオリジナルを活かした上品なカスタムをされていて、とても快調だそうです。「仕事現場にも基本的にはこのクルマで赴き、これまでにトラブルは無い」とのこと。心から、このCR-Xを愛しているのが伝わってきました。それが伝わってからは、中田さんの親世代(中には祖父母世代!)の多くのお客様も、グッと耳を傾けてくださったのが分かります。世代を超えてクルマ好き同士が交流できるのを実感しました。
このミーティングに参加されていた中に、私の初めての愛車、HONDA「CITY TURBO Ⅱ」の外観をカスタムした「CITY TURBO Ⅲ」の姿も!
このクルマ、同じHONDAの初代NSXのイエローを塗ったTURBOⅡで、洒落で「Ⅲ」にしたそうです。偏愛に溢れたオーナーの皆さんと直接、楽しく交流できて、貴重な体験となりました。
このイベントはA.C.の中でもN2dに近いような雰囲気?でした。もし可能なら来年も参加できたらと楽しみにしています。
2つのイベントを通して感じたこと
A.C. 、N2dともに楽しいイベントでしたが、一つ、共通して気になることもありました。
イベントとしての問題ではないのですが、販売されているクルマ自体がとても高価だと言うことです。基本的に、歴史的な価値があるクルマが多いので当然と言えば当然ですが、いわゆる「ヘリテージカー」と言えるようになる前のクルマは「中古車」とも言えます。
例えば中田さんのCR-Xは89年当時、新車価格が110万円~155万円でした。そのクルマを中田さんは2年ほど前に「当時の2倍以上の価格」で購入したそうです。購入当時、中田さんは新車時の価格を知らなかったらしく、「高い!」とは思わなかったそうですが、これを聞いたら驚くと思います。
ちなみに、中田さんのクルマより当時高価だった最上クラスのSiRでも155万円。
なんということでしょう…。
クルマが高くなるのは、様々な要因で仕方がないのですが、問題は、これまでも何度も指摘してきましたが、日本人の平均年収が、当時と比べて1割程度しか増えていないことです。
どちらのイベントにも若い来場者が徐々に増えてはいますが、やはり客層の多くを占めるのは、50代以上と見受けられる方。せっかく若い世代のクルマ好きが増えてきているのに、実際にクルマを手にしようとするときに、自分の好みのクルマを購入できないという状況が、今、です。
私がCITY TURBOⅡを購入した時は、デザインにもスペックにも惚れて、5年落ちのクルマを48万円で買いました。今、このクルマを買おうとすると、程度の良いモノは2~300万円。中には600万円の値がついている個体もあります。若かった私が惚れたクルマが、こんな状態…。今の価格だったら、当時の私には到底買えませんでした。
しかし!今の若い方は、別の方法で楽しんでいるようです。
例えばPlayStationのグランツーリスモを使って、当時の憧れのクルマや今のスーパーカーなど、あらゆるクルマをドライブして楽しんだり(ほぼシミュレーターの性能ですので、クルマの挙動も実車と同じ様に運転できます)、最近増えてきた、マニアックなクルマを貸し出すレンタカー屋さんを利用して短時間の運転を楽しむ若者もいます。
しかし、愛車として所有して楽しめるのが理想なのは言うまでもありません。
日本メーカーのクルマも輸入車も、魅力があるクルマだからこそ、高値がつくのは仕方がありません。それでも、全ての自動車メーカーにお願いするとしたら、デザインに惚れられる、スペックも、そこそこ担保されているクルマを、せめて現在の軽自動車レベルの価格で売っていただくわけにはいきませんでしょうか?
特に今の軽自動車は、同じ様なコンセプト、デザイン、スペックのものばかりです。
事情は重々、理解しているつもりです。
しかし、自分のメーカーの将来の顧客を育てるつもりで、お願いします。
もう一度、申し上げます。
今の世情、環境、状況を考えると各メーカー、そんな余裕がないのは十分理解できます。
そこを何とか!
と魂の叫びを残して、今回は締めさせていただきます。
ご静聴?有難うございました。
安東弘樹







