様々な車の楽しみ方…安東弘樹連載コラム

皆さんは鉄道マニアの方々の「属性の」呼び方の種類はご存じですか?

「乗り鉄」「撮り鉄」などはお馴染みですが、AIに訊いてみると、他にも、
「音鉄(録り鉄)」→走行音、車内放送、発車メロディなどを録音して楽しむ。
「時刻表鉄」→時刻表を読み込み、複雑な列車の運行ダイヤを研究・分析する。
「模型鉄」→Nゲージなどの鉄道模型を集めたり、ジオラマを制作して走らせる。
「廃線・未成線鉄」→すでに廃止されている路線や、計画のみで実現しなかった路線の跡地を巡る。
「駅鉄」→駅舎の構造や設備、駅名標や看板など駅そのものを深く愛好する。

と大体、この様に分類されるそうですが、もちろん複数にまたがる愛好家が多いのは皆さんもご理解されていると思います。自動車愛好家の場合は、一般的には、この様な分類をされることは少ないようです。

クルマ好きは〇〇車(しゃ)?

愛好する対象が、公共の乗り物か、個人所有が前提の乗り物かの違いによるのだとは思いますが、私としては、クルマ好きも十分、同じように分類されるのではないかと思っています。

これまでこのコラムで何度となく、自分が「運転」好きということはお伝えしてきましたので、私は鉄道マニアの中で当てはめると「乗り車」(読み方は、のりしゃ?)ということになるでしょう。

いや、乗る、と言うより「運転車」(うんてんしゃ)と表現されるべきでしょうか。他にも「撮り車」というべき方々も、大小のクルマ関係のイベントでは多く見られます。それから「模型鉄」に該当する、プラモデルやミニカーが好きなクルマ愛好家は、やはり「模型車」や「ミニカー車」と呼んでも良いかもしれません。

さらには高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅などを愛する方も増えているそうで、これはまさに「駅鉄」の自動車版と言って良いでしょう。
名前を付けるとしたら…何でしょう?と悩んでいたら、実は自分のラジオ番組(TBSラジオUP GARAGE presentsガレージヒーローズ)に今度、ハイウェイ・タレントの肩書きを持つ、山形みらいさんが出演してくださるのですが、山形さんは「サービスエリアやパーキングエリアなどを総称して、「サぱ」と呼んでいることが分かりました。
そうすると、「サぱ車」とでも呼べば良いでしょうか。

クルマ好きならではの愛し方

流石に「時刻表鉄」や「廃線、未成線鉄」を、クルマ好きに当てはめるのは難しいかもしれませんが、逆にクルマ好き独自の愛し方があります。

それは「洗車」。

流石にこれは、鉄道マニアには存在しない愛し方でしょう。名前を付けるとしたら「洗車車?」。最初に申し上げておきますが、私、洗車は好きではありません。さらに申し上げると、ほとんど自分で洗車はしません。もちろん自分のクルマが綺麗なほうが嬉しいのですが、何度も申し上げている通り、洗車している時間が有ったら運転していたいのです。

その代わり?整備は、しっかりとしています。空気圧も1週間に1回は調整します。それから視界の確保や、視認性を担保するために窓や灯火類は必ず綺麗にしておきます。
しかし、時間を掛けてボディを磨く、というのは1年か2年に1回、専門業者に頼むくらいです。

日本のクルマ好きには非難されそうですが、言い訳を申し上げると、世界では「スタンダード」のようです。日本の自動車保有者(JAF会員、約2000万人)のうち、「洗車が好き」という方は、何と42.1%もいらっしゃるとのこと(JAF調べ)。これは世界でも希有な割合だそうです。

理由は様々だと思いますが、まず日本には綺麗好きの方が多い、という分析があります。しかし、ダスキンの調査によると「部屋の掃除が好き」と答えた方は全国平均が35%ということですので、単純比較はできませんが洗車が好きな人が多いのは確かでしょう。

一方、世界に目を向けると、そもそも洗車が好きな人の割合というデータが見つかりませんし、ドイツでは、州によっては自宅の前で洗車すること自体が環境保護の観点で法律で禁止されているなど、自分で洗車をするという文化があまり無いようです。

そのことが、私が「スタンダード」という言い訳をした理由です(笑)

ただ、日本でも自宅の前は「公道」ということも多いので、路上での洗車は状況によって違反になる可能性が高いですし、お子さんが歩く住宅街などでは、実際に危険な場合もあります。また家の敷地内での洗車でも大量の水を使う場合、その水が道路上に散布されると、やはり様々な危険を誘発する場合があるので、できれば近所の洗車場などでしていただきたいと切に願います。

新たな楽しみ方

そんな中、また宣伝のようになってしまいますが、先日、日本の自動車写真の第一人者である写真家の小川義文さんに前述のラジオ番組にご出演いただきました。

これまで私は、クルマを「運転」することでしか楽しめなかったのですが、小川さんとお話しをしているうちに、クルマを「撮る」ということの奥深さを知ったのです。

もちろん写真家として成功されて、多くのクルマを購入できるようになったのが前提にはなるのですが、数々のクルマを所有して撮るということが、所有していないクルマを撮る際にも役立っているとのお話しを伺って、これまで自分が所有してきたクルマの多くを写真に残してこなかったことを悔いました。

私は旅行に行っても自分の写真はほとんど撮りませんし、あまり写真というものに執着がありませんでした。

それは自分のクルマに対しても同じで、これまで様々な番組で「安東さんのクルマの写真を使わせてください」と言われても、フリーランスになったばかりのころはほとんど自車の写真が無かったため、事務所のマネージャーにも「クルマがこんなに好きなのに珍しいですね」と言われて、自分の特殊性に気付いたくらいです。それだけ私は「運転」にしか興味が無かったのです。

指摘されて以降は、できるだけ自分のクルマの写真も撮るようにはしてきましたが、やはり、つい忘れがちになってしまいます。YouTubeを始めたことで動画を撮ることは増えましたが、車内からの動画がメインですので、外観を撮るのは動画でも忘れがち。ましてや「写真」は基本、撮るのを忘れます。

実は、この原稿を書いている翌日、大物司会者の方と大物俳優さんと私の3人でクルマに関する鼎談番組の集録で、会話にでてくるクルマの写真を提供することになっているのですが、写真を探すのにかなりの苦労をしました。

過去の所有車の話をする時に使う写真がほとんど無いのです(笑)。メーカーやインポーターに頼んで、同じ型のクルマの写真を借りようかとも思ったのですが、実際に所有していたクルマの写真でお願いしたい、との要望があり困りました。さらに致命的なのは、「愛車と写っている写真をお願いします」と言われた時です。「皆無」と言って良い状況で、私は特に自分の写真が好きではないため、本当にクルマと一緒に自分が写っている写真が無いのです…。

今思えば、かつての「愛車」の写真が無いのは、とても寂しく思えますので、今後は小川さんに言われた通り、まずは自分のクルマの写真を撮ってみることで、仕事として試乗車などを撮る際にも活かしたいと思います。

試乗会や発表会の時に撮った、新モデルのクルマの写真をSNSなどに上げる時も多いのですが(このコラムでも何度か私が撮った写真を上げました)、私の写真は何かインパクトに欠けるというか、そのクルマの魅力が伝わらないことが多いのです。

それは、これまで自分のクルマの写真も愛情を持って撮ってこなかったからではないか、と小川さんと話すことで気付かされました。

これまでの「運転車」に加えて、これからは「撮り車」としてクルマを楽しみたいと思います。

これから私が撮るクルマの写真が変わってくるのか、皆さんに判断していただければ幸いです。

ところで皆さんは、何車ですか?

安東弘樹