突然ですが、今日が私の最後のコラムになります!…安東弘樹連載コラム

GAZOO.comの読者の皆様、これまで私の駄文にお付き合いいただき、誠に有難うございました。

またコラムに対してのご意見をお寄せいただいた方々に、心からの感謝を申し上げます。

もちろん厳しいお言葉を頂くこともありましたが、全てのご意見を読ませていただき、その一つ一つを胸に刻んでおりました。時には真意が伝わらず、自分の言葉の稚拙さに気付かされることもありましたが、いずれにしても貴重なご意見を頂いたこと、この場を借りて深く御礼を申し上げます。

これまでを振り返って

このGAZOO.comのサイトに、初めてお世話になったのは、2015年3月17日でした(11年半前!)。

当時、私はTBSのアナウンサーで、最初はコラムを掲載していたわけではなく、インタビューを受けての取材記事でした。その最初の文が「いきなりですが、TBSのアナウンサー安東弘樹さんをご存知でしょうか?」でした。

そこから、私がいかにクルマのことを好きか、またクルマそのものだけではなく、クルマを取り巻く環境や状況、ユーザーの皆様の心情まで、常にクルマに関することばかりを考えているアナウンサーなのかを丁寧に紹介してくださいました。

そして、何回かに分けて、そのインタビュー記事が掲載されたのです。

私が直接コラムを書き始めたのは、およそ半年後でした。

完全に「局のアナウンサー」ですので、当時会社に「コラムを掲載する」ことの許可を申請したのを覚えています。

様々な媒体の「インタビュー」を受けるのは、業務の一環として少なからず機会を頂いていましたが、コラムを書くというのは自分の主張を公に発信する、ということになります。

そしてGAZOO.comの運営はトヨタ自動車ですので、テレビ局のアナウンサーとして、特定の企業と特別な関係を築くこと自体が問題にならないか、というのを確認する必要があったのです。

しかし、GAZOO.comはトヨタ車だけの記事ではなく、輸入車も含めて全てのクルマ、クルマ好きを対象にしたサイトであること。また当時のGAZOO.comの担当の方が「トヨタ車への忖度は一切必要ありません。思いのままを発信してください。」と言ってくださったのを会社に伝えたところ、了承されたのです(当時の担当の方には本当に感謝です!)。

また私は「日本の、いや世界の自動車の発展に寄与したいし、TBSという放送メディアに所属していることで知り得る情報なども伝えられたらと思っている」と会社にアピールしたことを覚えています。

実際に、海外取材やロケに行った際には、それぞれの支局を訪れて、番組とは関係ないクルマの情報を仕入れていました(笑)。日本では自動車通勤はできませんが、支局によっては自動車通勤が許されている地域もありましたし、何より、特派員がどんなクルマに乗っているか、またその地域ではどんなクルマが人気なのかなど、現地の「生の」情報が本当にありがたかったのです。

そこで知ったのが、世界のどこでも日本車の人気が高いこと。当然、予想はしていましたが、想像以上でした(特に2010年代の日本車の人気は特筆すべき状況でした)。また、日本では販売されていない魅力的なクルマの存在を直接知ることができて、「なんで、こんな素晴らしいクルマを日本では販売しないのか」などと不思議に思うこともしばしば…。

当然、日本では実用が重視されるので、メーカーもそこは戦略的に間違ってはいないのですが、クルマ好きとしては悔しい思いを何度かしていました。

ちなみにTBS「アナウンサー」の中にはクルマ好きはほとんどいませんでしたが、なぜか報道局員やカメラマンなどの技術系にはクルマ好きが多く、海外支局に行くと貴重な情報を得ることができたのです。

ただ、TBSの局員だったのは2018年までですので、今なら「海外のリアルなEV(電気自動車)の状況などの話を訊けたのに」と残念に思っています。

インターネットの世の中になっても、なかなか海外の生活者のリアルな姿を知るのが難しいのを実感しています。

それこそYouTubeなどで、世界各地に住む日本人が様々な動画を上げてくださってはいますが、「自動車」に特化した「海外生活者」の動画は少なく、電気自動車の情報一つ取っても、全体の流れが報道されているだけで、実際の生活者の声は直には我々に伝わってきません。

不思議なものです…。

クルマを愛するすべての人へ

電気自動車の話が出ましたので、最後に私の「願望」を記しておきます。

このサイトで私は2回にわたって「けんかをやめて~♪」というタイトルのコラムを書きました。要約するとクルマ好き同士がインターネット上で、立場や好みの違いで争うのが本当に悲しい、という内容です。

まだ、自動車業界には無縁だった私でしたが、そのコラムに対して、著名な自動車ジャーナリストの方が、コラムを引用して「安東さん、良いこと言うな~!」とSNS上でコメントしてくださったのが本当に嬉しかったのをはっきり覚えています。

ここ数年、アジアメーカーの参入も含めて自動車の「多様化」が進んでいます。パワーユニットも多様化。メーカーの国も多様化。そしてクルマの好みも多様化しています。

私はクルマ全体を愛していますので、クルマを通して争いが起きるのが、とにかく悲しいのです。ユーザーも様々な状況、環境でクルマを選びます。誰かにとってのかけがえのない愛車が、「ゴミ」とか「クズ」などという言葉で中傷されるのを見たり聞いたりするのは、正直辛いのです。

特に最近は、電気自動車に対する中傷が多いのが残念です。

幸い、このサイトでそのような言葉を見ることはほとんどありませんので、ここは安心できる「場」なのですが、YouTubeやその他のSNSを見ると、最近は中傷合戦が加速しているように思えます。憎悪や嫌悪といった感情は、他人だけでなく自分の心身も傷つけるそうです。

私は様々なクルマを見たり、また何と言っても「運転」していると、それだけで幸せな気持ちになります。もちろん、好みではないクルマもありますが、間違ってもそのクルマに乗っている人への悪感情が湧くことはありません。

ユーザーがクルマを愛しているのを知ると、それが私の幸せになってしまいます。

残念ながら、「不穏な世の中」と言われて久しいですが、そんな時こそ自分のクルマや、クルマを持っていなくても、自分が好きなクルマを愛でることにエネルギーを費やせていけたら良いですよね。自分自身も、ずっとそのスタンスでクルマを愛し続けていこうと思います。

そして、11年半もの間、私に発信の場を設けてくださったGAZOO.comの皆様には心から感謝を申し上げます!

気付けば、この11年半の間で、私は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員になり、2024年からは日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)員にもなりました。これもGAZOO.comでの発信のお陰だと実感しています。頂いた糧を今後はお返しできるよう、益々精進してまいります。

最後に…

「クルマって、やっぱり最高です!」

皆様、本当に有難うございました!

安東弘樹

【編集部より】

11年半にわたり連載を続けてくださった安東弘樹さんに心より感謝申し上げます。これからも安東さんの変わらぬクルマ愛とご活躍を、編集部一同応援しています。
長きにわたり、本当にありがとうございました!