下手な手出しは逆効果! ワックス&コーティングがけを効果最大限にする正しいかけ方を手順別に解説
洗車をキッチリとしたら、ワックスやコーティングをかけて輝きを出しつつ、塗装を保護しよう。洗車したままだと、いわゆるスッピンのため、塗装を保護するものはなにもないので、塗装へのダメージが深刻だ。
最近では新車時に長期間被膜が持続するコーティングをかけることも増えているが、この場合はツヤ出しや保護効果があるので、洗車のみでOKである。
また、被膜は硬いので、その上に好みのワックスやコーティングを改めて塗っても問題ないことが多い。ツヤをもっと出したいときなどはトライしてみてもいいだろう。
目次
ワックスとコーティングの違い
具体的な施工方法に入る前に、ワックスとコーティングの違いを紹介しておこう。すべてワックスと呼ぶことはあるが、実際はまったくの別物。
ワックス
ワックスは水性や油性で塗装面に乗っているだけなので、効果の持続は短め。カルナバ蝋などの天然成分を配合しやすく、濡れたような自然のツヤが特徴だ。コーティング
コーティングは塗装面に化学的に被膜を作るため、長期間効果持続をうたうものが多い。ツヤも自然な感じよりは、透明感のあるクリアなのが特徴だ。基本的にはワックスかコーティングかは好みや手入れの頻度などで決めればいいが、効果を最大限に引き出すためには、正しい塗り方が大切になるというのは同じ。しっかりとポイントを押さえてかけよう。
手順1 まずは説明書きをしっかりと読む
ワックスやコーティングに限らず、説明書などはあまり読まないでとりあえず使ってみることが多いかもしれない。ただし、ワックスやコーティングは一度かけたら取り除くのが大変なので、事前に読んでおくようにする。
とくに確認しておきたいのは拭き取り方で、乾燥する前に拭き取るのか、乾燥してからなのかどちらかということ。被膜の定着やムラ防止につながる部分なので、しっかりと読んでおこう。
手順2 塗りすぎには要注意
ワックスやコーティングの被膜は髪の毛の太さよりも薄いもの。つまりいくらたくさん塗っても定着するのはごくわずかで、あとは無駄ということになる。
厚く塗るのは拭き取りが大変になるだけでなく、ムラの原因にもなるので、とにかく薄く塗ることが大切、というか鉄則と言っていい。
では、どうやって薄く塗ればいいのか? 薄く塗るということは少しだけ塗るということでもあるので、塗り漏れの可能性が出てくる。せっかく手間をかけて塗ったのに、塗り漏れが発生してしまっては意味なしだ。
手順3 円を描くのはご法度、直線を駆使する
薄く塗るためには、スポンジの使い方が最重要となる。まずは取る量を最小限にしつつ、円を描くのは避ける。洗車場などでクルクルと回しながら塗っている人を見かけるが、やった感はあるものの、重なる部分が多くなるだけで結果的に厚塗りに。
またキズという点でも円を描くと、輪っか状になることがあってとても目立つことがあるので、直線で塗るのが正解だ。
直線の場合、縦、縦、横、横といった感じで、塗重ねていくようにすると、薄く塗れるし、塗り漏れもない。
ただし、最初はスポンジにワックス分が付いているのでいいが、動かしているうちになくなってしまい、伸ばしきれないことがある。
これを防止するためには、駆使するテクニックが「ハンドクリーム塗り」。
ハンドクリームは手にちょんちょんと点で付けてそれをつなげるように伸ばすことがあるが、それと一緒。まずは塗装面に点々と塗って、それをつなげるように塗り込むと薄く均一に塗ることができる。
手順4 一度に塗る範囲は乾燥と大きな関係があり
冒頭で触れたように、乾燥する前に拭き取るかいなかは製品によって異なるが、ワックスは乾燥する前に拭き取ることが多く、塗っては拭き取るを繰り返す。コーティングは乾燥させるため、一気に塗って乾いたら拭き取ることが多い。
問題は乾く前に拭き取る場合で、どれぐらいの範囲を1回で塗ればいいのか? 目安としてはボンネットの場合、4分割程度で、ほかの部分もこれを目安にかけていくといいだろう。
順番は洗車のとき紹介したように、先にサイドをやるとルーフを塗るときに服に付いてしまうので塗り込みは上から下へ。拭き取りは下から上へと行なうのが基本だ。
手順5 拭き取り用クロスはケチることなかれ
拭き取りに使用するのは柔らかい布を使う。昔からいいとされるのが着古したTシャツで、硬い縫い目の部分はあらかじめ取っておく。そのほか専用クロスが売られているし、市販のマイクロファイバークロスでもいい。
拭き取っているうちに次第に取れる量が減ってくる感じになるが、これは布が目詰まりを起こしたから。そのときは面を変えたり、新品にすれば拭き取り能力は復活する。
拭き取れなくなったのに無理して使っていると、ムラが出やすくなるし、キズの原因になったりもしていいことはない。
手順6 拭き取ったあとの仕上げも大切
全体を拭き取ったところで、おしまいではない。各部の仕上げチェックを行う。目線を変えながら、塗り漏れ、拭き取り忘れがないかを確認。
また、ボディパネルのすき間やウォッシャーノズルなどに入り込んでいないかも見て、白く残っているようなら拭いたり、綿棒などで取り除いておく。
手順7 ムラが出てしまった場合の対処方法
きれいに塗って、拭き取ったつもりでも、目線や日光の加減が変わった途端に浮かび上がってくることがあって、イライラさせられるもの。リカバリーはできないのかというと、じつは可能だ。
まずワックスは水でわずかに溶けるので、霧吹きで全体を濡らしてやると消えることがある。ムラとは被膜の厚さが均一でないために起こるので、水をかけることで溶けて均一にすることができて、ムラを解消できる。
コーティングは一見すると硬い被膜でムラ部分を取り除くことはできなさそうではある。実際に水には溶けないので、かけたところで弾かれて流れ落ちるだけ。
そこで使うのはコーティング剤で、これをもう一度塗ってやると被膜が溶けてムラを取り除くことができる。
これはワックスにも使えるテクニックなので、もし発生したらいろいろと駆使してみるといいだろう。
番外編 お手軽系が主流になってきたコーティング
今まで見てきたようにワックスもコーティングもしっかりと手順を踏んでかけると、手間と時間はある程度かかってしまう。そのようななか、最近はコーティングでお手軽化が進んでいる。
その多くは洗車あとの濡れたポディにスプレーして、拭き取るだけというもの。つまり洗車のついでにできるので時間も手間もかからないだけに、人気が高まっている。もちろん持続力には欠けるが、半年ぐらいは持つので手間を考えると十分だろう。
(文、写真:近藤暁史)
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