『ドリフト走行』も生み出したスポーツカー黄金期のカスタム文明開化・・・実体験カーカルチャー<平成編>
クルマを中心としたブームやカルチャーを、昭和、平成、令和まで3回に分けて振り返るコラム。第2回となる今回は平成だ。平成は1989年から2019年までの31年間となるが、ここでメインになるのは1990年代を中心に2010年頃までとしたい。
今もはっきりと記憶に残っているが、筆者が昭和から平成へ改元の日(1月8日)を迎えたのは、友人たちとのスキー旅行の最中だったということ。
当時は大学を卒業し、就職した出版社で編集部の生活にも慣れたころ。まさにバブル景気で世の中が浮かれまくっていた時代で、夏は海でサーフィン、冬は山でスキーというのが若者たちの定番レジャースタイル。
とくにスキーは1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』の影響で空前の大ブームとなっており、映画の舞台になった苗場プリンスに行こうものなら駐車場にクルマを止めるまで数時間の渋滞、ゲレンデでもリフト待ち1時間なんてことが当たり前の状態だった。
1989年(平成元年)はスポーツカーの当たり年。GAZOO愛車広場には、当時のクルマたちを愛車とするオーナーさんたちも数多くご参加いただいている。
そんな平成元年(1989年)は、現在ネオクラシックカーとして人気となっている多くの車種が登場した年でもある。
スポーツ系ではスカイライン(GT-Rを含むR32系)、フェアレディZ(Z32)、180SX(PS13)、MR2(SW20)、ユーノスロードスター(NA6CE)とスター級のマシンが勢揃いのドリームチーム状態。
ハイソカーブームの真打ちとなるトヨタの初代セルシオやインフィニティ・Q45がデビューしたのもこの年だったのだ。
こうしたマシンたちの登場により、クルマのチューニングやカスタマイズも大きな転換を迎えることになった。より正確に言うとすればターニングポイントとなったのは1988年のS13型シルビアで、それまでが昭和のチューニングだったという実感だ。
昭和のチューニングが「メカチューン&キャブレター」の時代だったのに対し、平成は「コンピュータ&ターボ」の時代と言えるだろう。もちろん1980年代にはすでに排ガス対策としてEFI化が進んでいたが、パワーを追求するにはレーシングキャブレターのほうが有利であった。
それがシルビア以降の平成マシンではECUによるエンジンの総合制御化が進みセッティング方法が一変。ROMチューンと呼ばれる純正ECUの書き換えメニューの登場で、クルマのチューニングは誰もが気軽に楽しめるものに。
さらに1995年の規制緩和などもあって、マフラーを皮切りに車検対応パーツが拡大したことも追い風となり、チューニングブームはさらに盛り上がっていったのだ。
1990年代のチューニングブームによってもたらされた変化はそれだけではない。そのひとつがチューニングショップとチューンを依頼するユーザーの関係だ。
スピードショップなんて呼ばれていた昭和の時代のショップは、一見さんお断り的な敷居の高さがあって店に行っても基本は無視。それでも帰らずに粘った末に、ようやく「あん、なんか用か?」というのが定番の接客スタイル(!?)だった。もちろんそれは雑誌の取材担当に対しても変わることはなく、駆け出しの小僧編集部員だった私は毎回ドキドキで取材を行っていたことを覚えている(笑)。
それがブームとともに続々と新しいショップが開店。それらの多くには現在のようなショールームや接客スペースが設けられ、チューニングショップは気軽に遊びに行ける場所になっていったのだ。
エンジン出力を高めるパワーアップチューンはもちろん、FRP製エアロパーツやGTウイングなどのカスタムパーツも人気となっていった。
走りで魅せる『ドリフト』ムーブメント
さて、そんなチューニングカーの実力を楽しむための晴れ舞台としてドラッグレース(ゼロヨン)や最高速、レースなどとともに新たに台頭したのが『ドリフト』だった。
“速さ"だけでなく“見せる"走りに注目が集まり、そのパイオニアとなったのがご存知ドリキンこと土屋圭市氏。当時、筆者が所属していた雑誌などで毎回披露するフルカウンターの走りをキッカケにスターとなっていったのだ。
ちなみに土屋さんといえばAE86のイメージだが、誌面に登場した当時の愛車は角目のKP61。S13シルビアも発表試乗会で気に入って、速攻でオーダーしたというのも懐かしい思い出である。
そして、そんな熱狂的ドリフトブームの中、安全なサーキットでドリフトの腕前を競い合ってもらおうとスタートしたのが、カーボーイ誌の“ドリコンGP"やオプション誌の“イカ天"。それが現在のD1グランプリやフォーミュラドリフトなど、世界的に『日本発祥のモータースポーツ』として発展していったわけだ。
石を投げればチューニングカーに当たる…なんて表現が冗談じゃなかった平成のチューニングカーブーム。しかし永遠に続くブームがないことは歴史が示すとおりで、違法行為の取り締まり強化などが進み1995年頃をピークとして徐々に落ち着いていった印象だ。
こうして2000年頃までにはチューニングカーでの遊び場はサーキットがメインになっていったわけだが、その過程で結婚、子育てなどで“卒業"していった人も多かったのも、ブームが収束していった要因だったのではないだろうか。
さらなる追い打ちとなったのが2002年8月に猶予期限を迎えた平成12年排出ガス規制で、それまでブームの牽引役となってきたスカイラインGT-R(R34)、シルビア(S15)、スープラ(A80)、RX-7(FD3S)などが一斉に生産中止となってしまったのだ。
そんな中、排ガス規制をクリアして新たな主役となっていったのがインプレッサWRX STIとランサーエボリューションの4WDスポーツターボ車。
ほかにもスポーツ系ではS2000やシビックタイプR、ロードスター(NCEC)、さらにはワゴンやミニバンのスポーツカスタムの増加、AE86を筆頭とした絶版車への再注目など、クルマのカスタムが多様化していったのも2000年代だったような気がする。
WRC(世界ラリー選手権)では、トヨタ・セリカやスバル・インプレッサ、三菱・ランサーエボリューションなどが大活躍。2004年から2008年まで北海道で『ラリージャパン』が開催され、ラリーレプリカ仕様なども人気となった。
そして現在に続く新たな時代の幕開けとなったのが2008年のGT-R(R35)復活と2012年の86&BRZ(Z#6)と言えるのだが、ここからの話はまた次回に。今回触れることのできなかったこともまだまだあるので、それらも合わせて振り返っていくことにしたい。
(文:川崎英俊)
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