25歳、中学時代からの憧れだったシルビアを、ガレージ付きマイホームで育てる
「中学生の頃に見た映画に出てきた赤いシルビアがドリフトしている姿を見て、それに憧れたのがクルマ好きになったキッカケでした」
そう話すのは鹿児島県在住の山角航大さん(25才)。張り出しデザインのエアロを身にまとった赤いカラーの日産・シルビア(S13型)は、まさに2000年代前半のドリフトブームを牽引した定番のドリ車スタイルだ。
いろいろ試しながら・・・
もともと、物心がつく前からミニカーで遊ぶのが好きだったという山角さん。中学生のころにはD1グランプリの様子が収録されているDVDを毎月購読して見るようになり、いずれ自分も免許をとったらドリフトをしたいと考えるようになっていったという。
そんな当時から山角さんが憧れだったのがS13型のシルビア。残念ながら原体験となった映画のタイトルは忘れてしまったそうだが、山角さんの父親も過去にS13シルビアに乗っていたことがあるというから不思議な縁と言えるかもしれない。
18才で免許を取得すると、真っ先に探したのは憧れのS13型シルビア。宮崎県に手ごろな価格で販売されていたマニュアルミッション&ターボのシルビアK’sを手に入れたという。
それが人生初の愛車であり、現在も所有し続ける1台となっている。
「当時にしても価格はかなり安かったんですが、まっすぐ走らないし、ハンドルも45°くらいセンターからズレているような感じで。ボディの色も赤じゃなくてミッドナイトパープルで、エアロは付いているものの、かなりボロボロな状態だったんです」
そんな状態のシルビアを、ちゃんと走れる状態に修理することが山角さんにとって最初のミッションとなった。「子供のころは自動車整備士になる夢があったんですが、進路を考えたときに趣味と仕事を分けたほうがいいと思って諦めました。自分のクルマをイジるだけなら、他の仕事をやりながらでもいいと考えたんです」
基本的にはインターネットで情報を手に入れつつDIYで作業を行ってきたというが、山角さんの職場にクルマ好きの先輩がいたことも心強かったという。「勤務先はだいたい800人くらいの人が働いているんですが、たまたま部署が同じになったなかにシルビアに日産・180SXのフロントフェイスを移植した“ワンビア”乗りの先輩がふたりもいたんです。ふたりとも自分でイジって乗っている人だったので、色々とアドバイスをもらいましたね」
シルビアをメンテして乗り続けるいっぽう、19才になると結婚をしてふたりの子供をもうけるという転機も訪れる。「一人暮らしのあいだはS13をメインに乗っていたんですが、結婚して引っ越しをしてからは職場までの距離が遠くなったこともあり、普段乗りのクルマとして色々と乗ってきました」
最初はHA11型のスズキ・アルトを日常の足に、次はHA24型のアルトへ乗り換え、さらにそこからJA11型のジムニーを趣味も兼ねて乗っていた時期があったという。
「職場の先輩にジムニーをイジって乗っている人がいたので、それが面白そうだなと思って自分もノーマルを買ってから足まわりとか色々イジって遊びました。次はスイフト(ZC72型)で、今はクラウン(GRS180型)に乗り換えました。ジャンルがころころ変わるのはまわりの人たちの影響が大きいですね」
一筋です!
そして2年前には賃貸物件を離れ、新居としてクルマ2台が入るガレージ付きのマイホームを購入したという山角さん。「シルビアのDIYをもっと本格的にやりたいというのがあって、どうしてもガレージ付きの家が欲しかったので思い切りました。もともとのスペースはクルマ2台分ですが、パーツや工具を置くと余裕をもってクルマ1台分が置けるくらいなので、ほとんどシルビア専用のスペースになっています(笑)」
そんなシルビアは、昨年コンビニでの駐車中に事故にあったのをキッカケに、プロショップに預けてサビの目立つボディのレストアも含めた大規模なリフレッシュを敢行。趣味のドリフトでボロボロになったまま乗り続けてきたエアロパーツも新調するなど、半年以上におよぶ入庫期間を経て、手元に帰ってきたばかりというのが撮影時の姿だった。
外装は中学生のころから憧れだったスタイルを目指し、エアロパーツは九州出身のドリフトドライバー“のむけん”こと野村謙選手がデザインしたURAS製の張り出しエアロをチョイス。ボディカラーも赤にオールペンを施した。
サビによって穴が空いていたリヤフェンダーの内側は、修理のついでにタイヤとの干渉を防ぐボディのアーチ上げ加工を施したうえで、オリジンラボ製のブリスターフェンダーを装着してグラマラスなワイドボディへと変身。
車内は経年劣化の激しいダッシュボードにはキルト生地をカットして自作したというカバーを装着しているほか、車両の状態をチェックするための各種追加メーターも配置されている。
ちなみにブースト計が機械式なのは、車体を手に入れたばかりの18才のころに「電子式よりも配線が簡単そうだから」と選んだもの。今となっては懐かしさを感じさせる当時モノのパーツだ。
こちらも懐かしいスピーカーボードタイプのアルパイン製スピーカーは、S13のクラシックな雰囲気に合わせるために解体屋を訪れ、純正のボードごと探して手に入れたというこだわりのアイテム。
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ボンネットを開けると、現在では車体以上に希少価値が上がり続けているSR20DETエンジンの赤いヘッドカバーが存在感を放つ。ドリフトで走るコースがミニサーキットメインということもあり、現状のチューニングは冷却性能のアップにとどめているものの、S15シルビア の純正タービンに交換してパワーアップを図ろうかと考えている段階だという。
ヘッドライトの形状は『角目』と呼ばれるリフレクター仕様と、プロジェクターヘッドランプの『プロ目』で好みが分かれるところだが、「もともと角目だったけど、自分でプロジェクターを埋め込んでプロ目にしてみたら周りの評判が悪かったので、安かったころに中古を買って角目に戻しました(笑)」と山角さん。
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そして、家族とマイホームのなかにあって、現在も山角さんの一番の趣味グルマとしてのポジションは変わっていないシルビアの出番は、ホームコースである鹿児島県のM・S・Lホビーサーキットでのドリフト走行会への参加と、もうひとつ、日常でのとある場面にあるそうだ。
「ストレスが溜まったときとか、何も考えたくないときとかは、仕事が終わった夜にS13に乗って目的もなくドライブするんです。いままで免許を取ってからずっと乗ってきているクルマだから、運転していると落ち着いて、色んなことを忘れられる。まだまだ修理ができてない部分も残っているので、少しずつ仕上げていきたいですね」
今後は腐食したサイドシルなどボディのレストアにも励んでいく予定で、そのために溶接機をガレージに導入予定とのこと。山角さんよりも4才年上のシルビアは、これからも家族の最年長者として愛され続けていくことになりそうだ。
取材協力:鹿児島県立吉野公園
(⽂: 長谷川実路/ 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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