バブル時代の伝説! シーマ現象って何?

今や伝説のように語り継がれる日本のバブル景気。「就職するとクルマをもらえた」「タクシーを停めるときは万札をかざす」など、自動車に関するバブリーなウワサを聞いたこともある。中でも気になるのは、バブル期に起こったという「シーマ現象」。シーマって、日産の? いったい日本に何が起こったの? 本日はこちらの話題を解説していこう。

そもそもバブルとは?

まずは「バブル」についておさらい。バブル経済とは、投機によって不動産や株式などの資産価値が実体経済から大幅にかけ離れて上昇する経済状況のこと。金融引き締めなどをきっかけに景気が急降下することを「バブル(泡)がはじける」と表現する。日本では、1980年代後半~1990年代に起こった。

1987年に、それまで特殊法人だった日本電信電話公社が民営化され、NTTとして上場。当初は119万円だった株価が、1カ月も経たない間に300万円を突破したことが大きなニュースになった。それに よって、「株は儲かる」と感じた多くの人や企業が株の売買に参加し、株の値段が上がり始めたのが日本のバブルを加速させた要因とされる。

そのうち、株を担保に銀行からお金を借りられるようになると、借りたお金で土地を購入するため、土地の値段も高騰した。

シーマってどんなクルマ?

シーマは、1988年にデビューした日産車。Y31セドリック/グロリアをベースにした3ナンバー専用ボディーに、3リッターV6エンジンを搭載。最上級グレードでは500万円を超える高級車だ。

日産・セドリック/グロリア/シーマ (1987年~) バブル時代の名車たち13話

シーマ現象って?

バブル景気に沸いた当時の日本では、シーマが飛ぶように売れたそう。高価格にもかかわらず、最初の1年間で4万台近くを販売。3ナンバーの高級車としては異例のヒット作となった。シーマを買った理由を購入者にアンケートしたところ、なんと「値段が高かったから」という答えが1番多かったという。

シーマ現象が起きた原因は2つあるとされ、1つは「資産効果」。持っている土地や家の値段が上がることで、「お金持ちになった気分」になり、消費や投資が活性化する。上記の購入者アンケートも、この資産効果が働いた結果だろう。

もうひとつは、「サラリーマンが家を買えなくなったため」。バブル景気で土地の値段が上がりすぎ、普通のサラリーマンがマイホームを購入することができなくなった。それまでコツコツと貯めた頭金が役立たなくなったため、「クルマでも買うか」という判断をしたのではないかと言われている。

事実、「普通に働いている一般の人がマイホームを買うことができない状態は異常ではないか?」という意見により、国が「地価税」の導入や、銀行の融資額を制限する「総量規制」などの対策を取り始めた。これをきっかけに土地の値段が暴落。バブル崩壊の始まりである。

シーマ復活!

シーマの勢いは、バブル崩壊とともに失墜。2010年に生産が中止され、「時代と寝たクルマ」などと揶揄されることもあった。しかし、2年後の2012年にハイブリッド車として華々しく復活。ちなみに、現在の値段は756万円から。時代は変わったが、今も昔も、日産に君臨する高級車はやはりシーマなのである。

(田島里奈/ノオト)

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[ガズー編集部]