ハイパワー車への応用と電気化 4WDの歴史 ~後編~
前編の記事では、4WDの誕生から1970年代の発展までを紹介しました。後編では、1980年代から現在、そして未来を見ていきましょう。
前編はこちらからご覧ください。
世界初は19世紀!? 4WDの歴史 ~前編~
アウディ・クワトロが4WDに「速さ」をもたらした!
1980年代になると、それまでの「悪路走破のための4WD」に加え、「速く走るための4WD」が生まれます。1981年にアウディが「クワトロ」をWRC(世界ラリー選手権)に持ち込むと、参戦2戦目にして優勝。ラリーシーンは瞬く間に「4WDのもの」になりました。のちの、スバル・インプレッサWRXや三菱・ランサー・エボリューションは、この流れを汲んだもの。1989年には日産・スカイラインGT-R(R32型)が、トルクスプリット型の4WDを搭載し、1990年のグループAツーリングカーレースで全戦優勝を果たします。
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- アウディ・クワトロ(1980年)
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- 三菱・パジェロ(1991年)
一方で80年代には、いすず・ビッグホーンや三菱・パジェロ、日産・テラノといったクロスカントリー4WD(現在のSUV)が続々と登場し、大ブームに。このブームは、ホンダ・オデッセイを始めとしたミニバンに取って代わられる1990年代半ばまで続きました。この頃になると、乗用車でも4WDのラインナップが当たり前のようになり、「生活四駆」が普及しました。また、1993年のランボルギーニ・ディアブロVTなど、ハイパワー車に4WDが用いられる例も増えてきます。
ハイパワー化と電気式4WDの2000年代
2000年代は、SUVのハイパワー化と電気式4WDの誕生が大きなトピック。SUVのハイパワー化を象徴するのは、2002年にデビューしたポルシェ・カイエンです。カイエンは、スポーツカーをも圧倒するパフォーマンスと、高級感溢れる仕立てで、高所得者の間でヒット。高級SUVというジャンルを確固たるものとしました。
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- ポルシェ・カイエン(2002年)
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- トヨタ・エスティマ・ハイブリッド(2001年)
新たな4WDの方式として、エンジンと電気モーターで駆動する電気式4WDが登場したのもこの頃。2002年の日産・マーチや、2003年のマツダ・デミオなどに搭載されました。2001年にデビューしたトヨタ・エスティマ・ハイブリッドは、プリウスと同様のハイブリッドシステムに、後輪用電気モーターを加えて4WDとしたものです。技術的な点では、駆動力を可変とする「トルクスプリット」のテクノロジーも進歩。2004年にホンダ・レジェンドが搭載した「SH-AWD」のように、左右輪の駆動力をコントロールして、旋回性能や安定性を向上されるシステムが生まれました。
これからの4WDはどうなっていく?
4WDの歴史を一気にたどってみると、技術の歴史であると同時に、“多様化の歴史“であったことがわかりますね。これからEV(電気自動車)や超小型モビリティが普及してくると、また違った4WDの形が生まれてくるかもしれません。
(木谷宗義/テヌール+ノオト)
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[ガズー編集部]
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