なぜマニュアル車が主流なの? フランス人に聞いてみた
わたくしパリ在住5年目の筆者は、パリ市が運営するレンタル自転車の年間パスを持つ程の自転車の利用者です。でも、交通ルールはあってないこの街でクルマを運転するのは恐すぎて、今まで一度も運転はしたことがありません。 一応、フランスで運転できるAT限定免許証の保持者なんですけどね。
実はこの「AT限定免許証」を持っている、というのはフランスではごく少数派です。というのも、街を走るクルマがマニュアル(MT)車ばかりだからです。
それに身近なフランス人たちに「私はオートマ(AT)車しか運転できない」と言うと驚かれたり、そもそも「AT限定免許証」という免許が存在することを知らない人が多いのです。
実際、2015年の前半にフランスで売れたクルマのうち、AT車はわずか18.6%というデータもあるように、いかにMT車が主流かがわかります。
そこで今回、一体どういう理由でMT車が支持を得ているのか、フランス人たちに話を聞いてみました。
「MT車の方が、いかにも運転してる、って気がするから」(30歳女性)
日本だと、MT車を運転するというのは珍しいというかマニアックな感じがしますが、若い女性でもごく普通にMT車を運転することが浸透しています。
「AT車は高いでしょ? だからクルマを買う選択肢にはそもそも入らない」(38歳男性)
そうなんです、フランスではMT車よりもAT車の方が割高なのです。だから「あえてAT車を買う=お金持ち」というイメージもある程。またこれだけMT車が主流だと、あえてAT車を買おうとすると選択肢がかなり狭まってしまいます。
「AT車がいいなんて、これまで考えたこともなかったわ。MT車が普通だと思ってたし。でも、次に買う車はAT車でもいいかもしれないわね。運転が楽そうだし」(67歳女性)
実は、運転が簡単なAT車を選ぶのは「高齢者やハンディキャップのある人」というイメージもあるんですね。
最後にこんなフランス人らしい答えを紹介します。
「MT車の方が運転してるときにセクシーさを感じられるからかも」(33歳男性)
ギアを動かす仕草が性的な感覚を醸し出す、という考えのようです。わからなくもないような……?
実はこれだけMT車が主流のフランスでも、近年はAT車が普及しはじめています。先のデータによると10 年前のMT車普及率は8%だったというのですから、当時にくらべて倍に増加しているのです。
理由のひとつとしてはフランス人が懸念している「AT車は燃費が悪い」という問題が、技術の進歩とともに改善されていることなどがあるようです。
個人的な意見としては「フランス人は新しい技術を信じない」という哲学の持ち主が多いと感じています。だから、長いこと親しんでいるMT車を運転し続けている彼らの姿をみると、いかにもフランス人らしいな、なんて思ってしまうのも事実なのです。
(中村綾花+ノオト)
[ガズー編集部]
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