超ハイテク! 新しい道路管制センターの中身とは?

日本の大動脈、高速道路。その安全を日々守っているのが、道路管制センターです。

首都東京近くの大動脈を預かっているのは、さいたま市岩槻インター近くにある「関東支社道路管制センター」。障害物や故障車、事故などの異常事象件数は1日平均260件。この取扱数は全国一です。

今回は、「関東支社道路管制センター」が新しく生まれ変わるということで、開所式に行ってきました。

新しい大型モニターの灯入れ式も!

開所式にはNEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)の関係者のほか、警察庁や国道交通省、埼玉県などさまざまな来賓が参加。まだなにも映っていない大きなモニターの前で主催者と来賓の挨拶が行われた後、大型ディスプレイに電源を入れる「灯入れ式」が行われました。

NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀬博氏
来賓挨拶は、警察庁関東管区警察局広域調整部長 河合信之氏

大きなモニターは横17m、縦5.5m。並んだ来賓がスイッチONすると、それまで真っ暗だった壁に映像が映し出されました! その情報の多いこと!

来賓の方々による灯入れ式
航空写真、走行ビデオ、現地カメラ映像、気象情報、事故や渋滞イベント、非常電話の受付状況などがズラリと映し出される

灯入れ式のあとは、この新しい施設の機能について説明が行われました。どんな機能が追加されているか見てみましょう。

高い耐震性と防災機能の強化

平成23年の震災をうけリスクの洗い出しを行った後、平成26年7月から工事が始まったというこの建物。関東に大きな地震が来ると言われている中、高い耐震性や防災機能を備えています。

首都直下地震(M7.3)を想定し、管制室内にも床免震、機器免震を採用。床のこの不思議なつなぎ目も、免震構造のため
屋上にはヘリポート、この日は中型ヘリがお目見え
実際に離陸のデモンストレーションも行われた。隣の旧庁舎から見たヘリポート。ヘリコプターの音が大きい!
井戸も設置している。左下の箱はろ過装置で、災害時は飲用として利用出来るようになっている
災害の影響で管理業務が出来ない場合、他支社をバックアップする機能も。切り替えの様子はまるでパズルゲームのよう

ちなみに井戸や建物などの施設は、すべて1.6mより上に設置されています。理由は、近くを流れる綾瀬川が決壊したときのため。ハザードマップ上では1mの浸水が予想されているため、河川管理施設等構造令にある堤防余裕高さ0.6mをプラスして1.6mに設定したとのこと。地震だけでなく、ほかの災害でも安心して道路管理に専念できる環境になっています。

情報提供の高度化

目的地までスムーズに向かうためにも欠かせない渋滞情報。伸びたり縮んだりする渋滞を、ハイウェイラジオや情報板などで提供したり、今まで音声で料金所やお客様センターなどに配信していた交通止めなどの情報をテキストでも配信するなど、情報提供面でも改善されます。

テキストメッセージ送信画面

将来的にはビッグデータを活用して、過去の事故データを分析し、ドライバーに事故発生度が高いといった情報を流すことも検討しているそうですよ。

管制運用の高度化

新しい管制運用では、さまざまなシステムがレベルアップ! 災害時にはさまざまなアラートが一斉にあがります。そんなとき重要なものだけをみることができる「ストレスコントロール機能」も搭載されました。

また、パトロールカーにはGPSと車載カメラを設置。さらに独自開発のアプリを搭載したスマホも一緒に設置し、リアルタイムな状況が映像でわかるようになるそうです。これにより、レッカー車や現場対応も迅速になるとか。

こちらが車載カメラとスマホのアプリ

そして、管制センターと言えば大型ディスプレイ! 全国の道路管制センターのなかでも最大級のサイズを誇ります。大型ディスプレイの横には、もうひとつ大きなディスプレイが。こちらでは、トンネル火災のシミュレーションを見ることができました。

今までの訓練では非常施設操作しかできなかったそう。新しいシステムになったことでCCTV、割り込み放送、非常施設、制御司令、統括司令という関係者全員が訓練に参加できるように

電気使用量も4割削減できたというこの新しい管制センターは、2月25日(木)から運用開始予定。いざというときも安心の設備。さらに安心して、高速道路を走ることができそうですね!

(ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]