首都高速道路の安全を守るロボットって何?

こちらの写真、何のロボットだか分かりますか? 実は、首都高速道路(首都高)の安全を守るために活躍しているロボットなんです。そこで今回は、首都高の安全対策について、首都高速道路株式会社に話を伺いました。

――首都高ではどんな安全対策が行われているのですか?

「首都圏の大動脈である首都高速を安全、快適にご利用いただくため、構造物の老朽化やさまざまな損傷をきめ細やかな点検により把握し、有効な対策を講じています。道路点検や補強補修、長寿命化対策など、様々な技術を開発・採用しています」

――道路にはどんな補強をしているのですか?

「アスファルト舗装の下にあり、走行車輌の荷重を支えるコンクリート床版は、近年の車輌大型化などにより、建設年次が古いものには補強が必要な箇所も出てきています。補強方法として、従来は鋼板を使っていましたが、最近は軽量で強度に優れた炭素繊維やアラミド繊維のシートを床版の下側に接着する方法が一般的です。首都高では、コスト削減および床版点検の容易さを考慮し、実際の使用状態を想定した繰返し輪荷重試験を踏まえて『格子貼り』という新しい方法を採用しているんですよ」

コンクリート床板の耐久性を向上するために貼られた炭素繊維シート

――亀裂などを発見するための技術を教えてください

「鋼床版の亀裂の早期発見を行うため、超音波探傷という技術を用いて点検を行っています。この技術では深さ6mm以上の亀裂の検出が可能で、外見から発見するのが不可能な亀裂を見つけることができます。また、半自動走査により高速の探傷が可能で、さらにその結果を画像として表示することができるため、効率的かつ合理的な亀裂の探傷を行うことができます」

鋼床版の超音波探傷

――点検用ロボットはどんな時に活躍するのでしょうか? 

「長大橋の鋼製フィンガージョイント部など、人の入れないような狭隘(きょうあい)部における点検で使用しています。点検用ロボットが撮影した画像により、損傷の判定を行っています」

――首都高は、国が定める基準に従って、兵庫県南部地震クラスの地震に耐えられるよう設計、施工しているそうですが……

「コンクリート製の橋脚に対しては鋼板を外側から巻きつけて補強、鋼製の橋脚に対しては橋脚内部から鋼製の補強部材を増設する補強を行っています。また、地震の際に橋桁が橋脚から落下することを防ぐため、橋桁の支え材の増設、橋桁をケーブルや鋼板で相互に連結する、橋台や橋脚につなぐなどの対策をしています」

――東日本大震災では、関東地方で液状化被害が多く見られました

「確かに海岸近くの埋立地などでは、地震時に、地盤が液状になって流動する可能性があります。このような地盤の液状化により生じる地盤流動対策として、橋脚基礎の近くに丈夫な鋼管でできた杭を並べて打ち込み、地中に『壁』を設ける、といった対策も行っています」

2011年3月11日に発生した東日本大震災から丸5年。首都高は、震災後は緊急輸送路としての役割も果たしていかなければなりません。首都高の安全を守るために、様々な取り組みが行われているんですね。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]