つなぎ目をなくしてスムーズ走行! 首都高の騒音対策

交通量も多く、近隣に住居なども多い首都高速道路(首都高)。クルマの走行騒音の影響をどのように低減しているのでしょうか? 今回は、首都高の騒音対策について、首都高速道路株式会社に話を伺いました。

――首都高で行っている騒音対策について教えてください

「首都高では、遮音壁の設置をはじめ、様々な騒音対策を行っています。沿道への騒音の低減を図り、首都高の沿道にお住まいのみなさまの生活環境を快適に保つことを目的として実施しています」

――遮音壁はどのような効果があるのでしょう

「上の写真の遮音壁を見ると、壁の一番上が丸くなっているのが分かりますか? こちらは遮音壁の最上部に円筒などの形をした吸音材を取り付けた先端改良型遮音壁です。壁の上端部を越えて回り込む音を、従来の遮音壁よりもさらに低減する効果を持たせたものです。沿道環境の状況や地域性などを考慮して設置しています」

――ほかにはどんな対策を行っていますか?

「裏面吸音板を設置しています。高架橋の下面(裏面)に設置する吸音板のことです。裏面吸音板を設置することで、高架橋下面に反射する街路からの騒音の低減を図ることができます」

裏面吸音板

――道路にも騒音対策は行われているのでしょうか?

「現在、首都高の舗装は、トンネル部分を除き、大部分が高機能舗装になっています。高機能舗装とは、一般の舗装よりも多くの隙間ができるように工夫された舗装です。これによりクルマのタイヤと路面との間の空気が舗装の隙間に逃げることができるようになります。そのため、自動車のタイヤと路面の摩擦により圧縮された空気が解放されるときに生じる『エアポンピング音』が生じにくくなり、3デシベル程度の騒音低減が期待できます。これは交通量が半減した程度の効果と同じです」

――それはすごいですね!

「首都高では、雨の日に晴れの日の約4倍も多く事故が起きています。高機能舗装は内部に多くの隙間が作られる材料を用いるため、雨天時の水はけが良くなり、車両走行による水しぶきの発生が低減されます。その他、水の溜まった路面を高速で走行したときに、タイヤが水に浮いて車両がコントロールできなくなる『ハイドロプレーニング現象』の防止、ヘッドライトによる路面反射の低減、レーンマークが見やすくなるなど、雨の日の走行安全性が向上します」

――高機能舗装は騒音対策だけでなく、安全対策にも繋がっているんですね!

「騒音や振動は、路面の平坦性やクルマの重量などの影響を大きく受けます。そのため、首都高の構造物への対策も行っています。例えば、交通量の増大、クルマの大型化などによって、アスファルト舗装が凸凹になったり、橋のつなぎ目(ジョイント)の部分に傷みが生じたりして、騒音や振動を発生させている場合があります。路面舗装の補修(打換え)を行い、凸凹をなくし平らな状態へ戻すことは、騒音や振動の低減に有効な対策です」

――路面を平らにする取り組みはほかにもあるのでしょうか?

「はい、路面のつなぎ目をなくすことによって、ショックのないスムーズな走行を実現し、騒音や振動を少なくするのが、ノージョイント化です。施工後は、つなぎ目の補修(ジョイントの取替え)が必要なくなるので、補修工事に伴う渋滞を減らすこともできます。このほか、構造物の老朽化を加速させる重量違反車両を取締まるなどの対策を積極的に進めています」

ノージョイント化の施行前
ノージョイント化の施行後

普段何気なく走行している首都高にさまざまな対策が行われているんですね。今度首都高を走るときに、ぜひチェックしてみてください。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]