16歳でも運転できた? 軽自動車の歴史を振り返る
小回りの利く小さな車体や、普通車に比べてリーズナブルな維持費が魅力的な軽自動車。少し前まではセカンドカーや近所のアシというイメージが強くありましたが、最近では装備も充実し室内も広くなってきてファーストカーとしても十分通用する軽自動車も増えてきましたね。日本独自の規格である軽自動車ですが、この規格が生まれたのはなんと1949年。今から67年も昔のことだったのです。今回はそんな軽自動車の変遷を振り返ってみましょう。
100ccから始まった軽自動車規格
1949年7月に改定された“運輸省令第36号「車両規則」第3条第2項”の中で初めて「軽自動車」という区分が登場します。当時は4サイクル車150cc以下、2サイクル車100cc以下の排気量で、長さ2,800mm、幅1,000mm、高さ2,000mm以内と定められていました。この規格は早くも翌年の1950年7月には改定。4サイクル車300cc以下、2サイクル車200cc以下で、長さ3,000mm、幅1,300mm、高さ2,000mm以内(四輪車)に変更されますが、残念ながら実際にここまでの規格で市販された軽乗用車は存在しなかったようです。
360ccへと排気量を拡大
毎年のように改定されてきた軽乗用車規格ですが、1951年8月にも改定があり、排気量が4サイクル車360cc以下、2サイクル車240cc以下となります。さらに1952年には「軽乗用車運転免許」というものが新設され、16歳から取得することができました。つまり、当時は16歳から自動車が運転できたというわけです。なお、軽乗用車運転免許は1968年9月に廃止されています。
すべて360ccとなり大手メーカーも参戦
1954年10月には4サイクル、2サイクルともに排気量が360ccとなり、大手自動車メーカーも次々と軽自動車に参入してきます。中でも1955年に登場したスズキ・スズライトは「その後の軽自動車のあり方を示唆、歴史に残る名車」と評価され、日本自動車殿堂歴史車に選ばれるほどのクルマでした。
- スズキ歴史館に展示されているスズキ・スズライト(1956年式)
1957年8月にはダイハツ・ミゼットが、1958年3月にはテントウムシの愛称で今も親しまれているスバル・360が登場し、大手メーカーの軽自動車が次々登場することとなります。
現在と同じ黄色いナンバープレートが登場。排気量もさらに拡大へ
それまでの軽自動車は小板ナンバーと呼ばれる小ぶりなナンバープレートが使用されていましたが、1975年1月から現在も使用されている黄色いナンバープレートが導入されました。そして翌1976年には排気量が550ccまで拡大、ボディサイズも長さ3,200mm、幅1,400mm、高さ2,000mmとなり、一気に大型化がなされます。ここから軽自動車の高級化、高出力化が進み、ターボエンジンやスーパーチャージャーエンジンの採用、常用タイプの軽ワンボックスなどが登場することとなりました。
- 軽自動車の馬力自主規制値である64馬力の発端となったスズキ・アルトワークス(1987年)
更なる排気量アップと安全対策によるボディサイズの拡大
1990年1月からは排気量が現在と同じ660ccへとさらに拡大。ボディサイズも全長3,300mmまで大型化されます(幅、高さは据え置き)。このタイミングで発売されたのが、現在も続く軽自動車のベストセラー、スズキ・ワゴンRです。軽自動車の弱点であった室内の狭さを、背を高く取ることで克服した軽の革命的モデルで、現在では他社からも同様のスタイルの軽自動車が数多く登場しているのはご存知の通りです。
- 「軽トールワゴン」という新たなジャンルを開拓したスズキ・ワゴンR(1993年)
安全性を確保するため現在の規格に
そして1998年10月には軽自動車にも普通車と同じ安全衝突基準を採用することとなり、排気量は660ccのまま車体がさらに大型化。長さは3,400mm、幅が1,480mmとなり、これが今日の軽自動車の規格となっています。
- さらに背を高くし、室内空間を拡大させた「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるダイハツ・ウェイク(2016年)
現在では運転席、助手席エアバッグはもちろんのこと、サイドエアバッグや自動ブレーキなどの安全装備も充実の一途。「軽乗用車なんて……」とお思いの方も、一度触れてみると考え方が変わるかもしれませんよ!
(小鮒康一+ノオト)
[ガズー編集部]
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