イタリア車を満喫!「23° FIAT FESTA 2016」レポート

2016年6月12日(日)。今年で23回目を迎える歴史あるイベント、「フィアット・フェスタ」が、今年も群馬県利根郡みなかみ町の水上高原 宝台樹(ほうだいぎ)スキー場で開催されました。“走る、見る、触れる楽しさ”をテーマに、フィアットファンが一同に会し楽しく過ごせるイベントとして定着し、高い人気を持っています。

フィアット・フェスタの特徴は、クルマイベントの基本形であるオフ会的展示形ミーティングだけではなく、スキー場の広い駐車場を活用し、「Trofeo Slalom」というスラローム競技と、風光明媚な群馬県の奥利根エリアのドライブも楽しめる「Trofeo Rally」と呼ばれるドライブラリーが行われることです。走って気持ちがいいフィアット、そしてイタリア車を存分に楽しめるように趣向が凝らされているといえます。

フィアットを代表する新旧パンダ、500アバルト、グランデプントなどがズラリ。視界に入るのはほぼフィアットという状況は、まるでフィアットの総本山イタリア・トリノにいるかのようだ
フィアットといえば1957年に登場したヌオーヴァ500と、そのリメイク版として日本をはじめとして世界中でヒットした現行型の500を思い浮かべる方も多いかと思いと思う。サイズこそ大きく異なれど、こうして見るとしっかりデザインの伝統が受け継がれていることがわかる

フィアット・フェスタのメインイベントでもあるスラローム競技は排気量/年式別等によりいくつかのクラスに分かれており、ノーマルの状態で楽しみながら参加するユーザーから、本気で勝ちに行く本格的なスラローム仕様の“マシン”を持ち込むユーザーまで、たくさんのエントラントで大盛況。フィアット・フェスタにやってきた一般来場者も、スラローム参加者たちの熱い走りを見て楽しむことが出来ます。スラロームではフィアット・124アバルト・ラリー、同131アバルト、アウトビアンキ・A112、フィアット・X1/9などクラシカルなモデルが数多くエントリーしており、痛快なサウンドを響かせながら華麗に走る姿は多くの観客を魅了しました。

スラロームに参加するフィアット・X1/9。横置きFFを世界に普及させたフィアット・128のエンジン+トランスミッションをそのまま後部に搭載し直し、安価かつ手軽に楽しめるスポーツカーとして開発されたモデル。低く小さい車体により戦闘力は高く、スラロームでは好タイムをマーク。日本のトヨタ・MR2も、基本的にはX1/9と同じアイデアで製品化されている
黒いボンネットとトランクリッド、そしてオーバーフェンダーが凄みを感じさせるフィアット・124アバルト・ラリーがスラロームで華麗な走りを見せる。124セダンをベースにオープンボディを載せた「124スパイダー」をアバルトがチューニングしたモデルで、その名の通り、かつてはラリーで大活躍した

イタリアを代表する名門、フィアットはその長い歴史の中でイタリアの様々なメーカーであるランチア、アバルト、マセラティ、フェラーリ、アルファ・ロメオなどを傘下に入れて来ました。そのため、イタリアのほとんどのメーカーが「フィアット」といってもいい状況になったのです。そのため、フィアット・フェスタにフィアット傘下に入ったあとのフィアットの兄弟車となったランチアやアルファ・ロメオが参加しても、何らおかしなことではありません。また、フィアット・フェスタのスラローム・ラリーの参加資格はフィアット、アバルト、ランチア、アルファ・ロメオ、フェラーリなどのイタリア車全般となっていますが、もちろん、フィアットファンの他国メーカーのクルマを持つオーナーが会場に来場することは可能となっています。

フィアット・フェスタにはフィアットを取り扱うプロショップやフリーマーケットも軒を連ねる。「STORICA」は日本で新しく立ち上がったフィアットのチューニングブランドで、このイベントが初お披露目となった。STORICAからは、適度なモディファイがかっこいい初期型アウトビアンキ・A112と、好ましいチューンが施されたフィアット・127がイタリアから持ち込まれ、来場者から大きく注目されていた。どちらも日本では大変貴重なモデルだ
初代パンダに比べると日本では少々影の薄い2代目パンダだが、小型車作りに長けたフィアットが作るだけあって、実にそつのない良心的な良品的設計の佳作だった。そのポテンシャルに目をつけたのがイタリア・フランスの小型車販売・修理を得意とする東京のショップ、「Piccolo Cars」。スポーティなモデルと「お散歩仕様」の2種類を展示した。なお余談だがこの2種のパンダのストライプおよびロゴデザインは、この記事の筆者(遠藤イヅル)が担当している

梅雨期間中でしたがこの日は天気にも恵まれ、多数のフィアットおよびイタリア車が奥利根にやってきました。快音を響かせるマシンの走りを眺めたり、プロショップやフリーマーケットではふだん手に入らないグッズも多数販売されていたりして、たくさんの方々が買い物を楽しんでいました。会場へのドライブも心地よく、イベント中はのんびり見るだけでも楽しめます。

そんな魅力的なイベント、フィアット・フェスタは来年も開催されることと思いますので、フィアット・イタリア車ユーザーの方だけでなくご興味はある方はぜひご参加を検討してみてください。

新旧500の丸く愛嬌あるお尻が並ぶ

(遠藤イヅル+ノオト)

[ガズー編集部]