知られざる「海外で走る軽自動車」その5(前編) 軽商用車〜ダイハツ編〜

日本独自の規格、「軽自動車」。その大きな特徴は排気量と車体寸法に上限を設けていること。そのため日本国内でのみ販売されるクルマが多いのは間違いないのですが、中には軽自動車が本来持つ優れた小型車の資質を活かして海外で販売される車種もあります。
そんな海外で活躍する軽自動車をご紹介する “知られざる「海外で走る軽自動車」”。第5回はその小ささが世界でも評価される「軽商用車」が海外で活躍する姿を2回に分けてお届けします。今回は「ダイハツ・ハイゼット」です。

欧州で活躍するイタリア生まれのハイゼット

すでに日本では3世代前となった7代目ハイゼットだが、イタリアではまだまだ現役。ピアジオ独自の改良が行われ、現在はこのような姿に

日本でもおなじみのダイハツの軽自動車のトラック/バンである「ハイゼット」。1960年に初代が登場して以来現行型で10代目を数えるという日本を代表する軽商用車のハイゼットですが、なんと海外でも活躍しているのです。その代表格が、この「ピアジオ・ポーター」。ピアジオといえばスクーターのベスパで有名なイタリアのオートバイメーカーです。なお同社は現在ベスパを含めアプリリア、モトグッチなど7つのオートバイブランドを擁し、オートバイメーカーとしてはヨーロッパ最大、世界では第4位のメーカーとなっています。ピアジオといえば3輪の小さなトラック「アペ」でもその名を知られますが、同じような都市部向けの小さな商用車として、ダイハツ・ハイゼットの生産を1992年から開始しています。これは、ピアジオとダイハツの共同プロジェクトでした。ポーターは現在でも生産が続いており、イタリアのみならず欧州各地でミニマムコマーシャルカーとして大活躍をしています。

独自の進化を遂げるポーター

ポーターはこれまでに2度大掛かりな外観の変更を受けているが、最初のフェイスリフトで初めてダイハツとは異なる外観となった
1992年から生産が開始されたポーターは、当初はこのようにハイゼットとほぼ同じだった。ピアジオマークを隠したら、ハイゼットと区別がつかないほどだ
現行のポーターの車内。デザインは一新され、いかにもイタリアの小型車然とした魅力的な意匠に変わった

ポーターは1992年当時まだ日本国内でも現役(でも末期)だった7代目ハイゼットバン/トラックをベースに開発され、当初は外観もハイゼットに準じ、当時の軽規格だった550ccではなく1000ccだったのですが、ダイハツ製エンジンを搭載していました。その後ロンバルディーニ製の1200ccディーゼルやLPG仕様の追加、フロントマスクをピアジオが再設計するなどして改良が進み、現在では「よく見たらハイゼット」というほどにフロントの意匠と内装が変更されています。

小ささは世界でも大きな武器に

フランス、パリ近郊で見かけたポーター。清掃に従事していた。まさにヨーロッパにおけるポーターの使い方の見本

軽自動車がすごいのは、小さな車体からは想像もできない積載性と使い勝手の高さを持つことですが、軽商用車は実用本意ですから、さらに「箱庭的設計」が押し進められています。世界にもピアジオの3輪トラックをはじめ小さな商用車はありますが、適度なサイズ、必要充分なパワーを両立している軽自動車のトラック/バンと同等の車種は案外多くはありません。ヨーロッパの大都市では日本以上に路地が狭かったりすることがあるのですが、そういう場所で働くにもまさにジャストサイズ。印象的なのは都市で清掃などに活躍する自治体に属するポーターで、小回りが効く軽自動車の利点を存分に活かしているといえます。

軽自動車とは思えない積載量を持つモデルも!

ポーターMAXIと呼ばれるモデル。サイズの規定がある日本の軽自動車では見られない大きな荷台を備える。積載量はなんと1.1t。リアタイヤもダブル!
一方、“クワドリシクル”という独自のカテゴリーユーザー向けに用意される「ポーターQuargo」。エンジンはロンバルディーニの2気筒686ccディーゼルエンジンを搭載する。このカテゴリーは16歳から乗ることが出来るので、日本でいえば原付免許のような存在

このコーナーでは幾度か書いているのですが、「軽自動車」規格の特徴は排気量制限だけでなく車体寸法にも制限があることです。でも海外で走るにはその枠は必要なく、前述のように1000ccエンジンを搭載も可能なだけでなく、全長も大きく変わることもあります。ポーターMAXIは通常のポーターよりもひとまわり大きな荷台を備えるモデルで、最大積載量はなんと1.1t。日本にも1t積みトラックは多くありますが、その顔が軽自動車だったら違和感がありますよね!太く大きめなリアのダブルタイヤに比べて、フロントの軽自動車サイズのタイヤとの差が面白いです。

アトレー7も海外で活躍

ハイゼットの乗用(ワゴン)版であるアトレーに1300ccエンジンを搭載してボディを延長、7人乗りとした「アトレー7」は海外では「Extol(エクストル)」と呼ばれる

そのほか、日本ではハイゼットの乗用車版として車名を分けて区別される「アトレー」に1300ccエンジンを載せ7人乗りとするべく車体後部を伸ばした「アトレー7」の海外版「ダイハツ・エクストル」も目が離せません。ハイゼットとしては9代目、アトレーとしては4代目となるジウジアーロデザインをまとう世代をベースにしています。エンジンは1300ccです。

いかがでしたか。ハイゼットもすっかりイタリア車になって現地になじんでいるのが日本人として嬉しいところです。次回は「その5(後編)」として、もう一方の軽商用車の雄、「スズキ・キャリイ」の海外版をお送りいたします。お楽しみに!

(遠藤イヅル+ノオト)

[ガズー編集部]

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