クルマ雑誌の編集部に潜入!「NAVICARS」

「NAVICARS」を発行するVOICE PUBLICATIONは2輪、4輪のライフスタイル誌をメインに雑誌や出版を行っている出版社です。社員数6名、隔月でバイクをメインにした「MOTONAVI」と自動車をメインにした「NAVICARS」を発行しています。
実は「NAVICARS」内の「エンスー新聞」コーナーを担当している筆者。今回改めて編集部にお邪魔してきました。

窓際に設けられたカウンターでは応接間にも会議室にもなる。この日も河西編集長にこの席でお話を伺った
風通しのよいフロアは、なんとも心地よい空間だ。この日校了に追われる中、編集部を見学させてもらった

「NAVI」から始まった雑誌の歴史

日本を代表する自動車雑誌「カーグラフィック」の姉妹誌として誕生した「NAVI」に端を発する「NAVICARS」。当時はどちらも二玄社から出版されていました。自動車版の「暮らしの手帳」を目指して創刊された「カーグラフィック」に対し、自動車を中心にしたライフスタイルマガジンとして世に送り出されたのが「NAVI」だったのです。読み物から扱う話題まで、クルマにまつわるものはもちろん多数ありましたが、時計やファッション、流行海外情報まで、自動車というフィルターを通して幅広い内容が扱われました。

「NAVI」のバックナンバーも貴重な資料だ
河西編集長自ら毎号つづってきたコラムが最近一冊の本にまとめられ出版された。奥の3冊は現在発行している雑誌

やがて二玄社が自動車雑誌の出版を停止。そこで当時NAVI編集部で紙面づくりに携わっていたVOICE PUBLICATION代表で編集長の河西啓介さんが、新たに「NAVICARS」を創刊。「NAVI」の世界観をこよなく愛する人たちに向けながらも、復活や復刊ではなく、あくまでも「NAVI」とオマージュながらの新創刊となりました。

よく見るとバイクにまたがるのは河西編集長。編集部の窓側には様々なミニチュアが置かれている
1階にあるガレージ。現在の編集部はビルの3階にあるが、元はこのガレージと、2階部分に部屋があり、ここを編集部としてスタートしたという。現在はミーティングルームになっている
テーマは「大人の隠れ家」
「NAVICARS」編集部員の高梨さん。お疲れ様です

他メディアとのミックスも

最近ではラジオパーソナリティとしても活躍されている河西編集長。これまでのFM FUJIで送送されてきた「NAVI CARS CAFFE」に加えてTOKYO FM「NAVI ON THE WHEELS」もスタート。TOKYO FMには、かつて「NAVI」時代にも鈴木正文編集長と徳大寺有恒さんによる「ロードナビゲーター」という番組がありました。

「ドライブとの相性のいいラジオには、雑誌とはまた別の良さがあると思うのです。またラジオができることに加え、TOKYO FMでお送りできることにも一つ特別な思いがありますね」(河西編集長)

ミーティングルームからガレージを見下ろす窓の淵には、毎号おなじみのペーパークラフトが置かれている。作者であるイラストレーターの溝呂木陽さん自らが完成させたもので毎号届けられているという

またVOICE PUBLICATIONが発行する雑誌は、今の時代にあわせて「SNSとともに」楽しめる雑誌になっています。SNSで読者のコメントを集め、イベントの告知や編集を行ったり、取材の様子も発信したり……。編集側と読者が密にコミュニケーションできている点においては、他の雑誌とは異なる価値を提案しているといえるでしょう。

NAVI先日行われた CAFÉ MEET in NAGANO。バイクでも、クルマでも、自転車でも、「いろんな乗り物」で多くの人が夏の信州に集った

読者イベントも定期的に開催

クルマを紹介するのではなく、クルマがあるからこそ、実践できる体験の提案。定期的に開催している読者とのイベントもそんな意味合いがあるようです。
車種ごとや生産国ごとのテーマ性のあるイベントとは違い、SUVからスポーツカー、いつも一緒に仕事をしているクルマなど実に多彩な顔ぶれが集まるだけでなく、バイクや自転車も大集合。それらの愛好家向けのライフスタイルマガジンも手掛けるVOICE PUBLICATIONらしいところかもしれません。

NAVI CAFÉ MEET in NAGANOに集うクルマたち。ここに集うクルマのバラエティの豊富さをみても「NAVICARS」読者層の広さを知ることができる

最近ではひそかに人気を集めているオリジナルカレーまで登場しています。

「たまたまカレーをFacebookにあげたらかなりいろんな人から反響があました。これは単なる企画商品でお茶を濁して適当に選んだカレーではなく、かなりおいしいカレーです。オリジナルのパッケージを作ったりもしていますが、ほとんど儲けはありません(笑)。でも、面白ければそれでいいかな、と」(河西編集長)

ちょっとしたきっかけで形になる。このカレーはまさにそんな商品。WEBで購入することができるがすぐに売り切れてしまうそう
河西編集長、お時間をいただきありがとうございます!

ヴィヴィッドなオレンジ色が身にも鮮やかな内装の編集部。浅草橋の小さな出版社VOICE PUBLICATIONの動きから目が離せませんね。「NAVICARS」は奇数月の26日発売です。

(中込健太郎+ノオト)

[ガズー編集部]