誰もが熱く思い出を語った「カローラ生誕50年フェス」
2016年10月22日(土)、東京・お台場にあるMEGA WEBトヨタシティショウケースにて「カローラ生誕50年フェス」が開催されました。これは文字通り、1966年10月20日に初代モデルが誕生してから、今年でちょうど50年目を迎えた、カローラを祝おうというイベント。これが、なかなかの大きな盛り上がりを見せたのです。
ちなみに最近では、あまり話題に上がることの少なくなったカローラ。若い世代には、ピンとこないかもしれませんが、40代以上の人間にとって、カローラは最も身近なクルマでした。なんといっても、1960年代のデビュー当時は、日本の普通の人が初めてクルマを手にするモータリゼーションに大きく貢献しました。かつては、セダンとワゴンだけでなく、クーペやハッチバックなどの多彩なボディバリエーションを持ち、レビン/トレノといったスポーティな兄弟車もありました。90年代までは「スポーティだけどセリカよりも身近」というイメージも強かったのです。しかし、近年は所有者の平均年齢が60歳を突破しているように、「お年よりのクルマ」という印象に。ただ、そうした残念な状況は日本だけで、アジア地域でカローラは人気が高く、中国でレビンが復活したように、意外とスポーティなイメージを維持しているのです。
- 当日の来場者から20組約30名が初代カローラでの同乗試乗を楽しむことができた
初代から最新の11代目までの歴代カローラが勢揃い!
イベントのために会場には、愛知のトヨタ博物館から、初代から11代目までのカローラが運びこまれました。ズラリと並んだ姿は壮観なもの。初代モデルの隣には、「公益財団法人あすて」の人々が間伐材で作った手作りの木製カローラが飾られます。
さらに会場に併設された特設コースには、試乗用にトヨタ産業技術記念会館が所有する初代カローラも同乗試乗用に持ち込まれました。この初代カローラで、当日の抽選に当たった20組約60名が同乗試乗を楽しみました。また、このイベントのために、歴代の古いカローラ・ユーザーも愛車と共に参加。しかも、普段、愛車として走り回っているクルマなのに、どれも驚くほどピカピカ。クルマにかける愛情が伝わってきます。
- この日のイベントのために、一般のカローラ・ユーザーが愛車を持ち寄って展示を行った
開発者からオーナー、ジャーナリストを交えた2部構成のトークショー
この日のメインイベントは会場内に設置された特設ステージでの2部構成のトークショーでした。
最初のコーナーは「カローラのこころ」を探るのがテーマです。カローラのチーフエンジニアを長く務めたミッドサイズビークルカンパニー製品企画常務理事である安井慎一氏と、現行/12代目のチーフエンジニアである小西良樹氏、カローラ先生とも呼ばれるジャーナリストの小林敦志氏と、MCの吉田由美さんが壇上に。まずは、それぞれのカローラに対する思い出と魅力を語りました。そして安井氏と小西氏は、実際に自らのカローラの開発を説明します。
「私がカローラを開発したときは、カローラの伝統を感じながら、5つの守るべきテーマを定めました。高品質であること。お求めやすい価格であること。実用的で安心して使えること。多くの地域の声に応えること。そして新しい価値を提供することです」と、安井氏は過去を振り返ります。
「次のカローラは、2つのことをテーマにしています。まず、格好いいクルマであること。スタイリッシュでスポーティにします。そして、乗っていて楽しいことです」と、次世代の12代目カローラを開発する小西氏は説明しました。
続いて「カローラクイズ」が行われました。問題は「80点プラスα主義」や「カローラの名前」の意味を問うもの。答えは「すべてを合格点(80点)以上にしながら、さらにお客さまを感動させるプラスαを必ず付け加える」「花の冠」です。会場に駆けつけたファンにとっては簡単な問題だったようですよ。
- 左より、吉田嬢、安井氏、小西氏、小林氏が並んだ第一部トークショー
そして第2部の「カローラファンの集い」は、1部のメンバーに、4代目カローラのオーナーである黒川恵則氏、トヨタカローラ徳島会長の北島義貴氏、国内カローラ開発責任者の原田友康の3名を加えた7名がステージに並びます。ここでも各自のカローラへの思い出と魅力が語られました。
そして、最後は会場からの質問コーナー。これが盛り上がりました。次世代モデルへの疑問から過去のモデルの変遷、開発体制など、とどまることを知りません。ちなみに、ここでも質問者が、お約束のように、各自のカローラの思い出と魅力を語ります。その熱い思いに「これだけカローラを長く愛してくれるお客さまがいるからこそ、50周年を迎えることができました」と安井氏が感謝の気持ちを述べます。
質問大会が終了した後は、当日の参加者による歴代カローラの人気投票の結果発表。1位は4代目、2位が6代目、3位が5代目となりました。
そして、最後の締めとしてカローラ店営業部部長の武田裕介氏が「笑顔の花冠プロジェクト」の実施をアナウンスします。全国の販売店や工場をカローラが回るというのです。
- 左より、吉田嬢、安井氏、小西氏、黒川氏、北島氏、原田氏、小林氏が並ぶ第2部
初代から最新モデルまでのカローラを前に、開発者からユーザー、ファン、販売スタッフまでが、カローラの思い出と魅力を語り尽くしました。もちろん、取材していた私たちメディアの人間も仲間うちで、それぞれのカローラの思い出を口にしていました。これほどたくさんの人々の心に思い出を残すなんて、他のクルマではありえません。まさに日本の国民車と呼べる存在、それがカローラであることを強く思わせる日となりました。
- イベントの締めは、来場者全員による記念撮影
- 1970~1974年に発売された2代目カローラ
- 1974~1979年発売の3代目カローラ
- 来場者の人気投票で1位を獲得した4代目カローラ
- AE86をラインナップに持つ、1983~1987年の5代目カローラ
- 1987~1991年の6代目カローラ
- 1991~1995年の7代目カローラ
- 1995~2000年の8代目カローラ
- 2000~2006年の9代目カローラ
- 2006~2012年の10代目カローラ
- 2012年より発売されている11代目の現行モデル
(鈴木ケンイチ+ノオト)
[ガズー編集部]
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