徳島生まれのキャンピングカーRody 生産工場を見学!

筆者は遠方取材のアシとしてアネックス社製のキャンピングカーアネックス Rody(ラディ)を使っている。今回は四国に用事があったので、生まれた工場に里帰りさせることにした。筆者の自宅兼事務所がある千葉県からは約700キロのドライブとなった。

Rodyが生まれたのは、徳島県吉野川市。徳島市から吉野川に沿ってわずかに上流に走ったところで、工場は吉野川のすぐ近く、周囲を田んぼに囲まれたのどかな風景の中にあった。実は筆者は高校時代を徳島県徳島市で過ごしていて、徳島生まれのRodyとの出会いにも運命めいたものを感じており、徳島にある工場も一度訪れてみたいと思っていたのだった。

コンパクトモデルへのニーズに応えて生まれたRody

筆者を快く迎えてくれたのは、株式会社アネックス 代表取締役である田中 昭市氏と、業販部の重本 智之氏。田中社長には、Rodyが生まれた背景を伺うことができた。

「当時アネックスのラインナップはもう少し大きなボディサイズの車種が中心になっていました。しかし、充実した装備はなくてもゆったり寝られればいいという要望を多く頂くようになったこと、コンパクトモデルへの需要が高まってきたことなどから、小型トラックをベースにしたキャンピングカーを企画しました。それがRodyです」(田中氏)

株式会社アネックス 代表取締役社長 田中 昭市氏と業藩部 重本 智之氏

同等サイズのキャンピングカーは他社からも発売されていたが、後発の強みをいかして新しい要望に応えられるよう考えたとのこと。その中でもわかりやすいポイントが、ユーザーの希望で好きな装備を選べるリアスペースだ。就寝人数が4名で十分な場合にはシャワー室などの便利装備を、就寝人数にこだわるユーザーは常設2段ベッドを選ぶことができた。こうして、当時の同クラスでは少なかった就寝人数6名という広々空間を得られるモデルとして誕生したのがRodyだった。

また、「キャンピングカーは真四角」というイメージを変えるために、丸みを帯びたデザインにもこだわったと言う。最近は角に丸みを帯びた形状のモデルも増えているが、Rodyのルーフラインはゆるやかな丸みが特徴的で、キャンピングカーが集まるイベント会場などでも自分のクルマを見つけやすい。いまだ色あせない特徴と言っていいだろう。

今も日々新しいキャンピングカーを生み出し続けるアネックスの工場を見学

Rodyが生まれた工場を、重本氏に案内してもらうこともできた。工場は今もフル稼働していて、新しいキャンピングカーを次々と生み出している。工場内にはキャンピングカー装備の取り付けを待つベース車両やボディがカットされた加工途中の車両などが所狭しと並んでいた。

キャンピングカーとして生まれ変わろうとしているクルマたち

「NC旋盤で正確にカットされた部材を組み合わせてユーザーの注文通りの内装に仕上げていきます。ネジ穴までプレ加工されているとはいえ、それをぴったりの位置に合わせて組み込んでいくのはすべて手作業です」(重本氏)

NCで正確にプレカットされた室内装備品の部材
プロの手によって室内に美しく組み付けられていく

昨今のキャンピングカーブームの影響もあってか、常にバックオーダーを抱えており、注文から納車までは4か月ほどかかっているとのこと。それでも材料のカットから車体の塗装まですべてを自社工場でまかない、品質にはこだわりを見せる。工場設備も充実しており、バスもまるごと塗装できるという大型の塗装ブースは圧巻だった。

Rodyが生まれた10年前と今、キャンピングカーに求められるものはどう変化したのか

田中社長には、Rody以降の最近のユーザーニーズの変化についても話を聞いた。一番大きな変化は、8ナンバーではなく5ナンバーや3ナンバー登録のモデルの人気が高まっていることだそうだ。

「以前はキャンピングカーといえば、コンロとシンク、シャワーやトイレなどを備えているものがいいとされましたが、最近ではとにかくゆったり休めるスペースが欲しい、余分な装備はなくてもいいというお客様が増えています。また普段使いを考えてトラックではなくワンボックス車をベースにしたものが人気ですね」(田中氏)

キャンピング車として8ナンバーを取得するには、コンロやシンクなどキャンピング装備を備えていることが条件になる。5ナンバーや3ナンバーで普通車として登録されるモデルに人気が集まっているということは、コンロやシンクなどの装備に対するニーズが低くなっていることを示している。道の駅が整備され、日本全国津々浦々にまでコンビニが広がったことで、食事やトイレを車内でまかなう必要がなくなってきたということなのだろう。実際筆者も車内でコンロを使うのは、冬の朝に熱いコーヒーを飲みたいときくらいだ。

敷地に並ぶ架装待ち、納車待ちの車輌の多くがハイエースなどのワンボックス車

一方で、キャンピングカーの装備は進化を続けており、それらの充実した装備を求めるユーザーも根強く残っています。車内で調理が可能なコンロやシンク。大型テレビに冷蔵庫、家庭用エアコンまで装備し、それらに必要な電源を補う大型のソーラーパネル。これらの装備を備えた従来通りの本格的なキャンピングカーにも、根強いニーズがあるとのこと。「就寝スペースを重視するお客様と充実した装備を求めるお客様と、今はニーズが二極化している状態」だと田中氏は話してくれた。

家庭用エアコンや大型テレビを装備が充実したモデルへのニーズも根強く残る

自分の乗るキャンピングカーのビルダーが、変化し続けるニーズに応えながら人気を保っていることを誇らしく感じた里帰りだった。

(重森大+ノオト)

[ガズー編集部]

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