予算を抑えるための厳選3種! キャンピングカーで役立つ装備

キャンピングカーショーなどに足を運ぶと、多彩で高機能な装備に目を輝かせることになる。しかし実際に購入を考える場合には、本当に使う装備だけに絞って予算を抑えたいもの。そこでキャンピングカー3台を乗り継いだ筆者が、ぜひ備えておきたい装備を厳選して紹介しよう。

ぜひ備えておきたい装備 厳選3種!

1. FFヒーター

何をおいても、キャンピングカーに備えておきたい装備ナンバーワンといえば、FFヒーターだ。エンジンをかけることなくサブバッテリーで車内を温めることができる。ほとんどの場合は標準装備となっているが、近年はやりの軽装備キャンピングカーではオプション扱いになっている場合もあるので、チェックを欠かさないようにしてほしい。
見逃しがちだが、使用燃料にもチェックが必要だ。輸入キャンピングカーではFFヒーターの燃料としてLPガスを使うものがあるが、現在国内でキャンピングカー用にガス充填を行なってくれるガス販売店を探すのはとても難しい。ガソリン車ならガソリン、ディーゼル車なら軽油というように、走行用燃料と兼用できるものを選ぶのがベターだ。

2. ルーフベンチレーター

分かりにくい呼び方だが、簡単に言えば屋根に取り付ける換気扇だ。たいていの場合は開口を調整できるフタを備えるなど、雨の日でも排気できるように作られている。
後述するが、日本での使用を前提に考えた場合、エアコンを装備することは現実的ではない。そこで夏に役立つのがこのルーフベンチレーターという訳だ。天井に備えられているので、暑い空気が車外に排出される。この状態でベッド近くの窓を開ければ、そこからは涼しい外気が吹き込んでくる。ベンチレーターなしで排気口だけを取り付けることもできるが、ベンチレーターがあるのとないのとでは涼しさが違うので、車内が暑くなるシーズンにも使用を考えるなら外せない装備だ。

3. ソーラー発電パネル

これもぜひ備えておきたい装備のひとつで、人気の高い装備でもある。ただし、使い方や容量の選び方に注意してほしい。
まず勘違いしてほしくないのだが、「ソーラー発電パネルがあれば滞在中は電気を自由に使える」なんてことはない、ということ。あくまでも補助的な電源であり、走行していないときにもバッテリーを少し充電できればうれしい、程度に考えておくべきだ。ソーラー発電パネルの規格は、最大発電量で示されている。最大100ワットと書かれている場合、快晴でまっすぐ太陽光が当たれば100ワットの電力を得られるということになるが、そんな幸運なシチュエーションは現実的ではない。感覚的に言うなら、携帯電話の通信速度表記程度に考えておくといいだろう。
それでもソーラー発電パネルを備えておいた方がいい理由は、実は車中泊中ではなく使わない時間のためにある。キャンピングカーと普段使いのクルマを使い分ける場合、キャンピングカーは1ヶ月程度放置されることも珍しくない。この間にサブバッテリーが空っぽになることがあるのだ。ソーラー発電パネルがあれば日々少しずつ充電してくれるので、いざ出かけようと思ったらバッテリーが空っぽで車内装備を使えなかったり、完全放電したせいでバッテリーを傷めたりというトラブルを避けることができる。

さて次は、利用シーンや予算に余裕がある場合にあると便利な装備を挙げてみよう。

シーンによっては備えておきたい装備

1. 大容量正弦波DC-ACインバーター

自動車内で家庭用家電を使うためのDC-ACインバーターは、携帯電話や携帯ゲーム機の充電用としても、すっかりおなじみの製品。しかし最近は携帯端末の電源がほとんどUSBに統一され、出番は減っている。直流12Vを一度交流100Vに変換してACアダプターで再び直流に戻すのは効率も悪いので、できれば避けたいという理由もある。それでもキャンピングカーで備わっていると便利なもの。100V電源が必要なものもあるからだ。
DC-ACインバーターをキャンピングカーに備える場合、気をつけたいのは①正弦波か矩形波か、②定格容量はどれくらいかという2点。
矩形波インバーターの方が安価に手に入るが、使える機器に制限がある。携帯電話やノートPCの充電なら安価な矩形波インバーターで問題はないが、電子レンジなどは正弦波インバーターでなければ動作しない。また、インバーターによっては最大瞬間出力と定格出力を別に表記してあるものが多い。起動時のみ大電流を要する機器もあるため、短時間だけ大出力に耐えられるよう工夫されているのだ。自分が使うつもりの機器の消費電力を調べ、それを定格出力でまかなえるものを選ぼう。

2. 電子レンジ

車内で調理をするほどではないけれど、ちょっとお湯を沸かしたりお弁当を温めたりしたいということはある。お湯はガスコンロでも沸かせるが、コップ1杯のコーヒーのためにガス栓を開け、火の用意をするのは案外面倒くさい。そんなときに役立つのが、電子レンジだ。家庭では小型の湯沸しポットを使っている人も多いだろうが、用途の広さからいえばここは電子レンジをオススメしたい。
選定時には機能をできるだけ絞り、シンプルなものを選ぶこと。「温め」と「解凍」しかない昔ながらのもので十分だ。その方が消費電力も少なく、インバーターの容量にも余裕が持てる。

3. 家庭用エアコン

年々暑くなっているのではないかと思う日本、エアコンはぜひ欲しいと思う人が多いだろう。実際、家庭用エアコンを備えるモデルは増えている。しかし残念ながら、これさえあればいつでも快適空間、という訳にはいかない。電気使用量が大きく、標準的なバッテリー1基では2時間から3時間程度しか動かせないからだ。
ただしバッテリーを2基、3基と搭載した車両なら、話は別だ。たとえば大容量のバッテリーを2基3基搭載する東和モータース販売のヴォーンでは、バッテリーを3基搭載し、エアコン動作時間8時間を謳う。快適空間を求めて家庭用エアコンを装備するなら、電源容量の確認は欠かせない。

4. サイドオーニング

キャンピングカーのイメージ写真でよく見かけるサイドオーニングは、キャンプ場などで快適な居場所を提供してくれる。ただし、これを広げられるのはキャンプ場だけと言っていい。車中泊の場所として高速道路のSAやPA、道の駅などを考えている場合には、活躍の場はない。
逆にいえば、オートキャンプ場を中心にアウトドアを楽しむためにキャンピングカーを購入するのであれば、あるとうれしい装備でもある。雨の日にはキャンピングカーとテントとの間を濡れずに移動できる通路にもなる。

5. シャワー

こちらもサイドオーニング同様、アウトドア派向けの装備だ。日本は温浴施設の多い国なので、キャンピングカーの車内でシャワーを浴びる必要はほとんどない。もっとも役立つのは、海や山で遊んでどろんこになった子供たちを洗うときだ。 ただし、選び方には慎重にならないといけない。車内の奥にシャワーが装備されているのでは、どろんこの子供たちがそこまで歩いて行かなければならない。ドア付近にシャワー室を備えていたり、車外まで届くだけの長さを持つシャワーがついていればベターだ。最近の潮流としては、シンクについている蛇口がシャワーを兼ねており、車外まで引き出せるようになっているタイプ。これならシャワー専用のスペースも不要で邪魔にならない。

おまけとして、装備してもあまり使わない装備も挙げておこう。もちろんつけても無駄という訳ではなく、人によっては便利で不可欠な場合もある。使えるシーンが特に限られる装備として考えてほしい。

日本では使うシーンが少ない装備

1. 発電機

筆頭はなんといっても発電機。ソーラー発電パネルの効率が高くなるにつれて発電機の人気は下がっているものの、輸入キャンピングカーには標準で装備されていたりする。しかし日本では発電機を使えるような車中泊スペースはほとんどない。オートキャンプ場でさえ使用を禁止しているところがあるほどだ。実際筆者が所有した2台目のキャンピングカーには発電機が備わっていたが、出先でPCを使って仕事をしなければならないときに仕方なく使用した程度で、出番はほとんどなかった。また使用する際には、トラックが多く並んでアイドリングしていて騒音が紛れるようなPAをわざわざ選んだりしたものだ。

2. トイレ

高速道路のSAやPA、道の駅にガソリンスタンド、コンビニと、日本国内を旅するだけならトイレに困ることはほとんどない。おまけにキャンピングカーのトイレは使用後の処理も必要なので、装備されているからといって常用する気にもならない。ほとんど使わない設備の割に多大な車内スペースを取り、予算だけではなく貴重な車内空間も無駄になるので、オススメしたくない装備のひとつだ。ただし、小さいお子さんがいる家庭などトイレの緊急度が高いシチュエーションが考えられる場合には、あれば安心できる装備と言える。

どうだろう、自分が抱いていたキャンピングカーのイメージと合っていただろうか。キャンピングカーは持ち運べるプライベート空間であり、そこでどんな生活をしたいかによって必要な設備も変わってくる。この記事を参考にしつつ、自分がどんな旅先でどんな風に過ごしたいか具体的に考えてみるだけでもわくわくしてこないだろうか。

取材・写真協力 東和モータース販売

(重森大+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road