配達もデートもポルシェ・ボクスターで! 【クルマ好き紹介】
今は静岡市の一部である草薙の一帯は、草薙剣伝説の地として知られ、現在は日本平のすそ野から静岡平野を見下ろすことのできる閑静な住宅街となっています。近くには美術館や県立大学などもある地域です。今回はこのエリアにあるパン屋さん「petit a petit (プティタプティ)」の川中夫妻をご紹介します。
- 草薙周辺の閑静な住宅街
- お店は最近近所から場所を移して間もない
輸入車が自然と集まるパン屋さん
以前ご紹介した、静岡市内のフラワーショップ「ミルクフラワーズ」の淺井夫妻 から「人気のパン屋さんで、ご夫婦そろってクルマ好き。時にはポルシェで配達もしている」と教えてもらったお店。早速お店に足を運ぶと、パンのいい香りが漂います。建物の中に進むと、横の窓からキッチンでパン作りをしているご主人の姿が。窓の前にはポルシェのミニカーが並べられていたりして「このパン屋さん、クルマが好きなんだ」と伝わりました。
- 店内はパン屋さんというよりブティックのよう。手塩にかけて作られたパンが並ぶ
わずかな待ち時間。しばらく観察していると、来店されるお客様の輸入車比率が高いことに気づきます。このあたりは、首都圏、関西中京エリアに比べて輸入車の希少性ははるかに高いはず。にもかかわらず、次から次へとお店の前にある駐車スペースに入ってくるクルマは輸入車ばかりなのです。
そのことについて伺うと「たまたまだとは思いますが、ライフスタイル的に自分の基準を明確にお持ちのお客様が多いように感じます」とのこと。
ジョブチェンジでパン屋に挑戦
草薙の別の場所で開業し10年経った後、1年ほど前に、現在の場所に移転。昔からパン一筋なのかと思ったら、ご夫妻ともかつては別のお仕事をされていたとのこと。ご主人の川中潤さんはシステム関係のお仕事に携わっており、奥様の幸子さんはもともと人材関係のお仕事に従事されていました。
「当時の仕事自体は充実していました。しかし、プログラミングの言語やOSが変わると、それまでの経験やノウハウが活かせないということもあり、仕事として先行きが不透明な部分も感じていました」(川中潤さん)
そんなときに自動車雑誌「NAVI」で紹介されていた都内の工房の記事を読み、ものづくりに興味をもったのだそうです。
「NAVIはよく読んでいました。そんな中『食事に合うパンを静岡で作りたい』と思い、修行したんです」(川中潤さん)
奥様の幸子さんもリーマンショックを経て、一緒にお店を手伝うことになりました。それまでの仕事との違いは、「何もないところからつくり上げること」。ごまかしはききません。
「毎日同じことの繰り返しのようでありながら、実は毎日違う。そして今日より明日、明日より明後日。自然と前向きになり研究の日々ですね。パン作りに終わりはありません!」(川中潤さん)
パン作りに対する熱いこだわりがうかがえました。
ポルシェを愛するパン屋さん
今回「ポルシェを愛するパン屋さん」だと聞いてきたのに、ここまでクルマの話が一切ありません。そんな状況を察してか、横から奥様が「ガレージもご覧になりますか?」と切り出してくれました。
- 右が987型ボクスター・スパイダー。左は981型ボクスターS
- 981型ボクスターS
お店の横にガレージがあり、その扉を開けると、2台のポルシェ・ボクスターが現れます。981型のボクスターSと987型のボクスター・スパイダー。これまでもドイツ車などを中心に多数のクルマに乗ってこられたというご主人。
「ポルシェ乗りは地味かなと思ったところがありましたが、一度ドライビングスクールに参加し、そこで限界の高さを知りました。クルマはコーナーを楽しむものだと思っています。とにかくロードインフォメーションの高さにはつくづく感心させられますね。987は角を曲がった瞬間にこれだ! と思いましたし、981はデザインに惹かれ購入を決めました」(川中潤さん)
981型が出たときに神宮前のポルシェ・カフェで一目ぼれ。静岡のディーラーでデモカー用におろしたばかりのクルマを購入されたのだそうです。
「今はこれしかないので、時々配達で出かけるときにもボクスターで行きます」(川中幸子さん)
いずれにせよ、うらやましいとしか言いようがありません。
- ボクスターについて話を始めると、パンに負けず話に力が入るご主人
お休みの日はおふたりでボクスターに乗ってよく出かけられるそうです。
「都内はよく行きますね。冬場は箱根など雪になることも多いのですが、スタッドレスタイヤを履き、箱根越えをします。20~30km/hくらいの速度でもドリフトの練習ができるのでとても楽しいですよ」(川中潤さん)
ちなみに川中夫妻のもとにあるボクスターは2台ともPDK、2ペダルの自動変速モデル。最新のテクノロジーで「曲がりの質」だけをしっかり楽しむ。その部分に心酔しきっている様子がうかがえるチョイスは、パン作りにもこだわる職人気質を感じました。
- ボクスター・スパイダーは虚飾を排したシンプルな装備が印象的。ドアの開閉は赤いベルトを引いて行う
「ミルクフラワーズの淺井夫妻もそうですが、このポルシェがいろいろ呼び込んでくれるのです。クルマが好きな方はいろいろなことにこだわりを持っておられる方が多いので、口コミでクルマ好きのお客様が増え、新しいつながりができる。そう考えると公私ともにもはやポルシェがない生活は考えにくいですね」(川中幸子さん)
- ガレージに置かれたものからもクルマへの愛情を感じる
最後に今興味のあるクルマは?と伺ったところ「アバルト・695のエディツィオーネマセラティはいいですね」とのこと。確かにあのクルマも面白いようによく曲がるクルマです。川中さんらしさを感じるチョイスだと思いました。
- 笑顔の絶えない川中夫妻
東京からも名古屋エリアからもドライブにちょうど良い距離にある静岡。ドライブのお土産にクルマ好きが作ったおいしいこだわりパンもいいのではないでしょうか。
(中込健太郎+ノオト)
[ガズー編集部]
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