本気度がすごい!香川に行ったら「うどんタクシー」に乗ろう

四国・香川県と聞いて、誰もが思い浮かべる「ご当地メシ」といえば、そう、讃岐うどん!「かけ」に「ぶっかけ」、「釜あげ」も外せない。忘れちゃいけない「釜玉」の卵が絡まったおいしさと言ったら……。あぁ、お腹が空いてきた。最近ではチェーン店も見かけますが、せっかくならば本場でおいしい讃岐うどんが食べたいですよね。

香川県観光協会では「うどん県旅ネット」を展開するなど、行政をあげて讃岐うどんをPRしていますが、現地で讃岐うどんを食べるなら、ぜひ利用したいサービスがあるんです。その名もずばり「うどんタクシー」。琴平バス株式会社が展開する観光タクシーのひとつです。

■うどんに精通したドライバーが名店を案内してくれる

この「うどん行灯」のタクシーが讃岐うどんの奥深い世界に連れて行ってくれる
この「うどん行灯」のタクシーが讃岐うどんの奥深い世界に連れて行ってくれる

サービスを簡単に説明すると、「讃岐うどん巡りを地元のタクシードライバーが案内・サポートする」というもの。お客様が行きたいお店はもちろんのこと、「釜玉の有名店に行きたい!」といったピンポイントな要望に答えたり、ガイドブックなどには載らない「知る人ぞ知る店」などにも連れて行ってくれたりします。車内ではうどんの歴史や文化、注文の仕方、食べ方のお作法など、讃岐うどんを知り尽くした地元ドライバーだからこその情報を知ることもできます。

「たかがうどん」と思うことなかれ。店ごとに違う麺やダシを楽しめるのもうどん巡りの醍醐味
「たかがうどん」と思うことなかれ。店ごとに違う麺やダシを楽しめるのもうどん巡りの醍醐味

■「手打ち」テストもあるドライバー認定試験

そもそもこのサービスは、ドライバーの発案から始まったもの。やはり讃岐うどんの本場、お客様からは「うどんの名店を巡って」、「並ばずに入れるおいしいお店に連れてって」などの要望を受けることが多かったそうで、「これを商品化したらおもしろいのでは?」と事業化されたとか。

しかも、ただ事業化しただけでなく、質の高いサービスを展開するため、厳しいドライバー認定制度が作られました。「うどんタクシー」のドライバーになるには、3つの試験に合格することが必要なのです。それも簡単な試験ではありません。

うどんタクシードライバー認定試験の一部。マークシート方式のような、運を天に任せられるような問題は皆無
うどんタクシードライバー認定試験の一部。マークシート方式のような、運を天に任せられるような問題は皆無

まず筆記試験。「讃岐に初めてうどん店ができたのは何年前?」、「また、その証拠となる金刀比羅宮に保管されている屏風絵の名称は?」、「●●製麺所の注文の仕方を説明しなさい」など、生半可な“うどん通”では太刀打ちできない内容の問題が出題されます。筆記テストは9割以上で合格。

身だしなみや、車両の清掃状態もチェック!
身だしなみや、車両の清掃状態もチェック!

筆記に合格したら次は「実地」テストです。接客業としての根本的な言葉遣いや立ち振る舞いはもちろんのこと、うどんに関する豊かな知識も試されます。もちろん答えのわからない質問を投げかけられたときの対応などもしっかりチェックされます。

自分で打てることが「うどんタクシー」ドライバーの自信にもつながるそう
自分で打てることが「うどんタクシー」ドライバーの自信にもつながるそう

最後はなんと「手打ち」テスト!筆記や実地はなんとなく理解できますが、「自分で打ってなんぼ」という気合の入れようから、自らうどん打ちを行うテストも組み込まれています。

これはお客様から「運転手さんは実際にうどんを打ったことあるんですか?」という質問が思いのほか多いことから設けられたとか。「自分でうどんを打ったことがある」という経験は、車内での話題のひとつとしても有効だそうです。

難しい試験をパスしたドライバーだけが手にできるうどんタクシーの行灯。うどんタクシー時は通常の行灯からこの特製行灯に付け替えて走行する
難しい試験をパスしたドライバーだけが手にできるうどんタクシーの行灯。うどんタクシー時は通常の行灯からこの特製行灯に付け替えて走行する

このような難問・難関をくぐり抜けて晴れて認定される「うどんタクシー」ドライバーは、琴平バスに所属する全15人のタクシードライバーのうち6人。中には挑戦しても不合格になってしまったドライバーもいるそうです。まさに“うどんの精鋭”ですね。そんなドライバーに案内されるうどん巡りは、そりゃおもしろいに決まっています。

■「うどんタクシー」のコースは3つ。60分5,400円~

店主から固く口止めされている「秘密の店」の候補もあるという
店主から固く口止めされている「秘密の店」の候補もあるという

肝心なコース内容についても少し触れておきましょう。メニューは60分コース5,400円、120分コース10,800円、180分コース16,200円の3つ。以後30分ごとに2,700円加算されるという料金体系です。

発着は、坂出・宇多津・丸亀・琴平(中讃地域)の各駅やホテル・旅館から。基本的にうどん巡り以外では「うどん」と書かれたこの行灯のタクシーはやってきません。お客様を乗せたら、ご要望をお聞きして最適なうどん店を巡ります。琴平バスによると、出発・帰着のいずれかが琴平バスタクシーの営業区域内であれば、利用は可能だそう(別途料金)。

■利用するならすぐ予約

とても人気のサービスで、今年の夏休み期間中は50組以上のお客様が利用。9月もすでに20組ほどの予約が入っているとか。リピーターのお客様も多いそうで、クルマがないと行けないような店や、一見うどん店とわからないような店に行けることなどが人気の理由です。

タクシーの頭にうどんの行灯(あんどん)。「うどんタクシー」を見かけたらぜひ写真に収めてみよう。インスタ映え間違いなし!
タクシーの頭にうどんの行灯(あんどん)。「うどんタクシー」を見かけたらぜひ写真に収めてみよう。インスタ映え間違いなし!

あれこれ自分で調べてたどり着くのもアドベンチャー気分を味わえていいものですが、せっかくならプロにお任せして、オーダーメイドのルートを案内してもらう方が確実な旅ができますよね。秋の行楽シーズン、ちょいと四国まで。ツルツルシコシコの讃岐うどんを「うどんタクシー」で知識を深めながら堪能してみては?

取材・文:別役ちひろ 編集:木谷宗義+ノオト

※取材時の情報のため、内容が変更になっている場合があります。お出かけ前にはご確認いただけますようお願いいたします。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road