【TMS特集】2台分の荷物を1台で運ぶ――荷台架装業界が挑む、物流業界人手不足の解消とは

10月28日(土)から一般公開が始まった東京モーターショー2017。屋外の展示スペースで「日本自動車車体工業会」の合同展示を見かけた。

各車体の説明を聞くと「連結トラックで2台分の荷物を1台で運搬」「積み下ろしをラクにすることで人への負担を減らす」など。つまり、物流業界のドライバーを含む人手不足への課題解決姿勢が見てとれた。

荷台架装業界が挑む、人手不足の解消という視点でレポートする。

日本自動車車体工業会とは

私たちが見かけるトラックは、すべてを自動車メーカーが作っているわけではない。自動車メーカーでつくられたものが架装(かそう)会社へ持ち込まれ、荷台部分をそれぞれの用途に応じて架装しているのだ。

日本自動車車体工業会(JABIA)は、192社の車体メーカーと資材部会で構成されている。今回の東京モーターショーでは、出展を希望した11社13台のさまざまなクルマが展示されていた。

物流業界の人手不足

現在、物流業界は深刻な人手不足だ。インターネット通販の急拡大と人手不足により、配達ドライバーの厳しい労働環境などが問題視されている。ヤマト運輸が27年ぶりに宅急便の基本運賃を引き上げたことも記憶に新しい。

ドライバーを含む人手不足をどう解消するか。自動車業界全体では、自動運転技術の発達で、ドライバーへの負担軽減や、後列車無人運転などの実用化でドライバー不足を補うことが構想されている。

人手不足に対応する新たなクルマの形

自動車業界の中でも、今回合同展示を行った荷台架装業界では、物流業界の人手不足に対してどのようなアプローチをしているのか。ここからは、東京モーターショー2017で「日本自動車車体工業会」が展示していた次世代カーを具体的に紹介しよう。

●ダブル連結トラック(浜名ワークス)

大型トラック2台分を一括輸送する連結全長23mのフルトレーラー。フルトラクター10m、フルトレーラー9.9mの荷台内長を確保。ドライバー不足の緩和、輸送効率の向上が期待できる。全長が長く走行できる道路が限られるため、行政などと連携しながらの運行が必要。2018年3月まで実証実験中。

●MR5030L(KYB)

生コンミキサー車。前後左にカメラを搭載し、通信機能により運行状況をリアルタイムで把握することが可能。現在は、オペレーターが無線を使って各車の運行状況を把握しているが、その業務負荷を減らすことができる。

●Z FLAP 9:1(山田車体工業)

天井部分が2,100mm以上開口するウイング車。荷物の積み下ろしにクレーンを使用する際、開口部が広いため、作業者のストレスが少なく作業できる。

トラックの未来は?

会場を案内してくれた山田車体工業株式会社・代表取締役社長の山田和典氏はこう話す。

「今後、後列車無人運転などの実用化が進めば、運送物流業界のドライバー不足の解消が進む部分もあるでしょう。それにともなって、トラック架装業界もさまざまな開発に挑戦していくことになると思います」

荷台架装は、あくまでも本体との連携が大事、と語る山田氏。

「今後も、技術革新やIoTなどの導入による更なる効率化省力化を進めていきたいですね」

(取材・文:田島里奈/ノオト 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]