冬の北海道で欠かせないアイテム「砂箱」って知ってる?
半年近く雪におおわれる地域が多い北海道。道路沿いに「砂箱」というボックスをよく見かけます。これは何のために置かれているものなのでしょうか。札幌市建設局土木部雪対策室計画課長 茂木秀則さんに伺いました。
■滑らないための「砂箱」
――砂箱とはそもそも何でしょうか?
「冬は雪による凍結で道路が非常に滑りやすい状態になります。そのつるつる路面を滑りにくくするための滑り止め材が入った袋を入れておく箱です。
車道用と歩道用とがありまして、平成28年度の実績で札幌市内では3,625基設置しました。設置期間は毎年11月中旬から3月下旬までですが、車道用は固定式のため通年で置いてあり、冬になると滑り止め材を箱内に配置します」
――車道用と歩道用とがあるのですね。
- 歩道用の砂箱。主に1.5㎏袋の滑り止め材が収められています。(画像提供:札幌市建設局土木部雪対策室計画課)
「冬は道路が滑りやすくなり、坂道で登れなくなるクルマが多いため、昭和の頃から登りにくい道路沿いを中心に車道用を設置しています。歩道用は歩道や横断歩道がつるつるで歩きにくいという声があがったことから、平成6年頃から置きはじめました。主に地下鉄、JRの駅周辺や人通りの多い交差点などに設置しています。つるつる路面が増えたのが、ちょうどスタッドレスタイヤに移行する時期と重なっていまして、それが一因ではないかとも言われています」
――どのように使ったらよいのですか?
「つるつる路面の状態になった時に、砂箱から滑り止め材の袋を取りだして、車道や歩道、横断歩道に直接まいてください。いつでも、どなたでも使っていただけます」
- つるつる路面に直接まいていきます。画像提供:札幌市建設局土木部雪対策室計画課
■滑り止め材の正体
――砂箱に入っている砂……滑り止め材とはどんなものでしょうか?
「滑り止め材は、石を2.5~5mmくらいに細かく砕いた砕石です。これは札幌市南区常盤や小樽市銭函などの砕石工場で製造しています」
- 画像提供:札幌市建設局土木部雪対策室計画課
「以前は焼砂を使っていたので『砂箱』と呼んでいたのですが、現在は砕石が主流になっています。1.5kg入り、3kg入りの袋そして、持ち運びに便利なペットボトルに入ったものもあります。ペットボトル入りはボランティアの方のアイディアで誕生し、今も手作業で作っているんです。砂箱設置期間中は定期的に市内をパトロールし、少なくなっているところにはその都度、補充しています」
- 左:3㎏袋 右:1.5㎏袋 画像提供:札幌市建設局土木部雪対策室計画課
■春が来たら滑り止め材はどうなる?
――雪が解けた後に滑り止め材が道路にザラザラと残ると思いますが、それはどうするのですか?
「路面上に残った滑り止め材は路面清掃車や人力で回収しています。車道はほとんどを路面清掃車で一気に回収して、一般廃棄物として処分します。歩道は人力で回収して、一部は道路の舗装の時に使う路盤材として再利用しています。ゴミが混ざっていないものを選んでリサイクルするので全体の10%くらいでしょうか。個人で回収していただいたものについては無料配布されるボランティア袋に入れてごみステーションに出していただければと思います」
- ウインターライフ推進協議会発行のパンフレット。海外からの方に向けて多言語化もされています。
また、民間団体であるウインターライフ推進協議会でも砂箱の使い方を紹介しており、PDFもダウンロードできます。
砂箱は誰でも自由に利用することができるもの。これからの季節、北海道に住み慣れた方も、仕事や観光で北海道に訪れる方も交通事故や転倒事故を防ぐために、積極的に砂箱を活用することをおすすめします。
<取材協力>
札幌市建設局土木部雪対策室計画課
(取材・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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