【気になる珍しいクルマ図鑑】その1:ランボルギーニ・ウラカン 今どきのスーパーカーは意外にも気難しくない!?
みなさんは珍しいクルマは好きですか? きっと、多くのクルマ好きは「もちろん!」と大きくうなずいていることと思います。そんなレアなクルマに注目し、接した印象を紹介していくのが「気になる珍しいクルマ図鑑」です。
記念すべき第1回は、ランボルギーニ・ウラカンです。ランボルギーニといえば、フェラーリと並ぶスーパーカーメーカーの大御所ですよね。そんなランボルギーニの中でもエントリーモデルに位置づけられる「ウラカン」は、どんなクルマなのでしょうか?
ウラカンってどんなクルマ?
イタリアのスーパーカーメーカーの「ランボルギーニ」は、1960年代のミウラにはじまりカウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴ、そして現行モデルのアヴェンタドールと、古くから最高峰モデルとしてV12エンジン搭載のスーパーカーを作り続けています。その弟分としてラインナップするのがV10エンジン搭載車。2003年から2013年に生産されたガヤルドに続く現行モデルが「ウラカン」です。
いかにもスーパーカーらしい低い車体の後部に搭載されるエンジンは、排気量5200㏄の自然吸気V10。兄貴分のアヴェンタドールに比べるとエンジンも車体も小さいゆえに「ベビーランボ」と呼ばれることもありますが、最高出力は580馬力(RWD)~640馬力(ペルフォルマンテ)とかなりの高出力を誇ります。さすがスーパーカー!
ウラカンは、ランボルギーニのラインナップにおける最量産車で、ボディは「クーペ」と「スパイダー」の2種類。それぞれに610馬力エンジンを搭載する4WDの「ウラカン」と、580馬力を搭載する後輪駆動の「ウラカンRWD」をラインナップ。そしてクーペだけに、さらに走りを磨いた「ウラカン ペルフォルマンテ」を用意しています。2018年1月時点での価格は2535万円~3416万円です。
ウラカンのココが凄い!
まずは見るからにスーパーカーらしいスタイリング。単にデザインというだけでなく、低くて幅広なプロポーションからして普通のクルマとは一線を画しています。このスタイルだけで虜になりそうです。そしてエンジン。スーパーカーの魂は「見た目とエンジン」といっても過言ではありませんが、ウラカンのV10エンジンは音が素晴らしい。エンジンをかけたときの「グォン!」という目覚めの叫びだけで鳥肌が立ってきます。
世界的に燃費規制が厳しくなっている今、エンジンは排気量を小さくする代わりにターボをつけて出力を高めるダウンサイジングターボとするのが主流で、スーパーカーの世界においてもあのフェラーリでさえターボエンジンが主力となりつつあります。そんな中、自然吸気エンジンにこだわるウラカンの音は素晴らしいの一言に尽きます。
ちなみに停止状態から100km/hまでの加速はベーシックな「ウラカンRWD スパイダー」でもわずか3.6秒。「ペルフォルマンテ」では2.9秒と驚異的です。最高速度はどちらも325km/hと公表されています。新幹線よりも速いってことですね。とんでもない性能です。
乗ってみたらどうなの?
低く構えた姿勢からして、ただ者ではないオーラが漂う風格。兄貴分のアヴェンタドールと違ってシザースドア(上に開くドア)ではないので乗り降りは普通……と思いきや、地面スレスレに低く座るスタイルや低いルーフによる潜り込むような感覚はスーパーカーならではです。
そしてインテリアのデザインも独特。まるで戦闘機のミサイル発射ボタンのようなスタータースイッチをはじめ、ロボットの操縦席を感じさせるデザインが個性ですね。
昔のスーパーカーと違って、運転することに難しさはありません。いわゆるAT(正確に表現すればDCT)なのでシフト操作も不要だし、神経を遣う気難しい部分もなく、運転操作に関してはミニバンと同じくらい普通です。誰でも運転できますよ。
とはいえ、低い最低地上高や視界の狭さ、車両感覚の掴みやすさに気を遣うのは事実。後方や斜め後方の見える範囲が狭いので、高速道路の合流や車線変更もちょっと神経を使います。このあたりは基本設計を共用する「アウディR8」が驚くほど運転しやすいのと対照的ですね。ただ、「スーパーカーらしさ」ではウラカンに軍配です。この「スーパーカーらしさ」がウラカンの真骨頂でしょう。
高速道路やサーキットを走るとまさに“水を得た魚“です。多くのスーパーカーに共通することですが、パイロンスラロームなどでハンドルを切ってシャープに切り込んでいく挙動は、まるで5枚刃カミソリのような鋭さ。その俊敏性に驚きます。一方で高速域では安定感が抜群。サーキットではメーター読み240km/hまで試してみましたが、どっしりと構えた安定感が印象的でした。
高速コーナリングで安定感抜群の“通常のウラカン”に対し、「RWD」は軽快でよりシャープな印象です。腕に覚えがあれば、ときにはオーバーステアが顔を出してドリフトにも持ち込める「RWD」のほうが楽しめるでしょう。
かつて「スーパーカー」といえば、日常運転時に気難しさがあり、スポーツ走行ではナーバスな挙動を示すなど「手に負えないじゃじゃ馬」というイメージがありました。しかし最近のスーパーカーは(視界の悪さや最低地上の低さなどはあるものの)運転自体はしやすく、サーキット走行でも圧倒的な高性能を気軽に味わえるクルマに進化しています。ウラカンを運転してみたらそんなことを強く感じました。
(文・写真:工藤貴宏 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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