新車購入前にチェックしたい! 試乗記の読み方【初心者向け】

自動車雑誌やネットの自動車ニュースでは、数多くの新車試乗記が掲載されています。

これら自動車に関する記事は、1960年代のモータリゼーションの到来以降、自動車雑誌を中心に盛んに作られ、高い人気を集めてきました。数多くの記事が作られる中で、内容はどんどん専門化し、その結果、現在の自動車の記事には、初心者にとってはわかりづらい専門性の高い用語も増えてきました。

そこで、今回は購入検討時にチェックしたい、新車試乗記の読み方を説明したいと思います。

クルマの説明はジャンルとサイズ感から始まる

新車試乗記は、新しいモデルが発売されたときに、それがどんなクルマなのかを実際に走らせてレポートするもの。最初に説明されるのは、その新型車がどんなジャンルに属していて、どれくらいのサイズ感を持っているのかということです。

クルマには用途に合わせて、いろいろなジャンルがあります。洋服でいえば、フォーマル、カジュアル、アウトドア向きと、さまざまなジャンルがあるのと同じです。

クルマの基本となるのがセダンで、4枚のドアと後ろにトランクを持つのが特徴です。トランク部分をすっぱりと切り落としたのがハッチバック。逆にトランクをさらに後ろに伸ばし、室内空間とあわせて大きく使えるようにしたのがステーションワゴンです。ドアが2枚しかないのがクーペ。大きなタイヤを装着することでクルマの床下と地面との間を離して悪路にも強くしたのがSUVで、ボディスタイルはハッチバックのようになっています。車体が四角い箱のようになっていて、室内の座席が3列あるのがミニバン。その他にも、クルマの屋根を開閉できるようにしたオープンカーといったジャンルも存在します。

試乗記では、最初に、その新型車がどんなジャンルのクルマなのかが説明されているはずです。

この形がセダン。4ドア+後ろにトランクがある
この形がセダン。4ドア+後ろにトランクがある

続いてはサイズ感です。小さい方からAセグメント、Bセグメント、C、Dという呼び方があります。厳密に何センチから何センチと決まっているのではなく、だいたいのサイズ感で使われます。トヨタでいえば、パッソがAセグメント、ヴィッツがBセグメント、カローラやオーリスがCセグメント、マークXがDセグメントになります。

Aセグメントに入るパッソ
Aセグメントに入るパッソ

ただし、ほとんどのクルマは、サイズによって搭載されるエンジンの大きさが決まっているので、エンジンの大きさ=排気量で、サイズ感が示されることも多々あります。たとえば1000ccの排気量のクルマならば1リッター・クラス、2000ccなら2リッター・クラスといった具合です。1~1.5リッター程度であればコンパクトカーと呼ばれています。

ちなみに軽自動車は、法規でサイズとエンジンの大きさ、馬力の最大が決まっているので、ほとんどのモデルは、車高以外、その最大寸法ギリギリに作られています。

試乗記の評価はレポーター次第! 複数の記事をチェックしよう

続いて試乗記では、内外装の質感や荷室などの使い勝手、実際に走らせたときの動力性能やハンドリング、乗り心地、静粛性(せいしゅくせい)が報告されます。

ここでポイントとなるのは、試乗記はテストではないということ。試乗記は、別名“インプレッション=印象”と呼ばれることがあるように、記事を担当したレポーターの主観になります。もちろん試乗記を担当する人物は、自動車媒体で長く働いてきたベテランであり、各自動車メーカーが販売するクルマのほとんどを試乗している、いわば“試乗記のプロ”。さらに編集者という別の人物が記事をチェックして、記事の内容を間違いのない、より充実したものにしています。

ただし、人によって重視する点が異なるため、結果的にレポーターによって評価が異なることもあります。たとえば実用性は抜群だけれど、走りは平均的なクルマの場合、走りの良さを重視するレポーターだと「イマイチ」と考えてしまうもの。そのため、試乗記を読むときは、「元レーシングドライバーであれば、走りには詳しいだろう~」といった具合に、レポーターがどのような人物なのかをチェックするといいでしょう。

また、その上で複数のレポーターの記事を見比べることをおすすめします。多面的な意見を読むことで、クルマのことがより立体的に理解することができるのです。

クルマは、住宅に次ぐ高額な商品です。試乗記を読み込むという、ひと手間をかければ、より納得のできる買い物ができるのではないでしょうか。

(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]