ユニークな参加車両にも注目! 軽自動車だけの「K4-GP 2018 FUJI 7時間耐久」レース

ヴィヴィオにトゥデイ、エッセ、S660……、よく見ればトヨタ7やフォードGT40のミニチュア版まで! 2月4日(日)富士スピードウェイで、軽自動車のみで行われる耐久レース「K4-GP 2018 FUJI 7時間耐久」が行われました。

「K4-GP」は、レーシングカーデザイナーの故・杉山哲氏(マッドハウス主宰)が「みんなにもっとモータースポーツを楽しんでもらいたい。それならお金のかからないモータースポーツを企画しよう」という考えで2001年からスタートしたもの。例年、2月と8月(今年は500km&1000km耐久レース)に富士スピードウェイで開催されているほか、2005年からは隔年でマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでも、「K4-GP セパン24時間耐久レース」が行われています。

懐かしのレーシングカー風からプロトタイプカーまで多彩なKレーシングカー!

今回の「K4-GP 2018 FUJI 7時間耐久」には、全111台がエントリー。参加チームは、Kチューン専門ショップや自動車メーカー内のサークルなどで、マシンの改造範囲や過給機の有無によって5つのクラス(GP-1〜GP-5)に分かれています。街で見かける軽自動車ほぼそのままのマシンもあれば、どこかで見たことあるレーシングカーのレプリカや軽自動車のイメージを吹き飛ばすようなカスタマイズされたマシンもあるといった具合で、参戦車両は多種多様です。まずは、その個性的なマシンの数々をご紹介しましょう。

1960年代のル・マン24時間耐久レースに参戦した伝説的マシン「フォードGT40」を80%のスケールで再現した「GT35」。エンジンはジェットスキーのものが搭載されているとのこと
1960年代のル・マン24時間耐久レースに参戦した伝説的マシン「フォードGT40」を80%のスケールで再現した「GT35」。エンジンはジェットスキーのものが搭載されているとのこと
チーム「STING浜松-RT」のマシンは、トヨタが初めて自社開発したプロトタイプマシン「トヨタ7」の縮小レプリカ。ワンメイクレーシングカー「日産ザウルスJr.」のシャシーにホンダ・ビートのパワートレインを搭載
チーム「STING浜松-RT」のマシンは、トヨタが初めて自社開発したプロトタイプマシン「トヨタ7」の縮小レプリカ。ワンメイクレーシングカー「日産ザウルスJr.」のシャシーにホンダ・ビートのパワートレインを搭載
チーム・ヒロモの「ヒロモ・VIVIO-R」は、「農道のポルシェ」こと「スバル・サンバー」のシャシーをベースにヴィヴィオのボディを架装。センターコクピットを採用するファクトリーレーシングカー顔負けの1台だ
チーム・ヒロモの「ヒロモ・VIVIO-R」は、「農道のポルシェ」こと「スバル・サンバー」のシャシーをベースにヴィヴィオのボディを架装。センターコクピットを採用するファクトリーレーシングカー顔負けの1台だ
こちらは「孫紫電」というマシン。“空気が見える男”として数々のレーシングカーをデザインした由良拓也氏によるSUPER GT GT300レーシングマシン「紫電」をモチーフしたコンパクトロードカー「子紫電」のカウルを使用したもの
こちらは「孫紫電」というマシン。“空気が見える男”として数々のレーシングカーをデザインした由良拓也氏によるSUPER GT GT300レーシングマシン「紫電」をモチーフしたコンパクトロードカー「子紫電」のカウルを使用したもの
懐かしのカラーリングを再現したマシンの姿もあった。「チームぴかいちBKM」のホンダ・トゥデイは、1980年代に活躍したホンダF1のカラーリング&スポンサーロゴを纏って参戦!
懐かしのカラーリングを再現したマシンの姿もあった。「チームぴかいちBKM」のホンダ・トゥデイは、1980年代に活躍したホンダF1のカラーリング&スポンサーロゴを纏って参戦!

7時間耐久レースは吹雪の中でスタートした

それではここからは7時間にも及ぶ耐久レースの模様をお伝えします。この日の富士スピードウェイの天気は、なんと雪! 決勝レースが午前9時スタートですが、8時ごろから雪が降り始めコースはあっという間に真っ白に……。

関係者は「昨年はゴール直後にドカ雪が降ったけど、今年はレース前か……」と苦笑い。幸いにも天候は回復し、15分遅れで決勝レースはスタートしました。雪が止んだとはいえコースが滑りやすいことに変わりはなく、各車ペースを抑えながら走行します。

軽自動車とはいえ侮るなかれ。1.5kmのホームストレートでは200km/hに達するマシンも。1コーナーは注意深く、それでもオーバーランやスピンする場面に幾度も遭遇した
軽自動車とはいえ侮るなかれ。1.5kmのホームストレートでは200km/hに達するマシンも。1コーナーは注意深く、それでもオーバーランやスピンする場面に幾度も遭遇した

序盤は、「チーム・SAS」のホンダ・トゥデイや「TEAM MINILITE」のヴィヴィオ、そしてプロトタイプカーがトップを競っていましたが、中盤以降はSUPER GTドライバー、高橋一穂選手率いる「TEAM-T弐号機」がトップに。そのままリードを続けます。

「TEAM MINILITE」のヴィヴィオのドライバーは、チームSTI総監督の辰己英治氏だ。下の黄色いマシンは、「チーム・SAS」のホンダ・トゥデイ
「TEAM MINILITE」のヴィヴィオのドライバーは、チームSTI総監督の辰己英治氏だ。下の黄色いマシンは、「チーム・SAS」のホンダ・トゥデイ
レース中盤からトップに立ったのは、GP-5:クラス( R車両・排気量NA換算850cc以上)の「TEAM-T弐号機」
レース中盤からトップに立ったのは、GP-5:クラス( R車両・排気量NA換算850cc以上)の「TEAM-T弐号機」
ちなみにレース中の給油は、敷地内のガソリンスタンドで行う。1回の給油で1~2周ロスするので、燃費計算も重要になってくる。(撮影:栗原祥光)
ちなみにレース中の給油は、敷地内のガソリンスタンドで行う。1回の給油で1~2周ロスするので、燃費計算も重要になってくる。(撮影:栗原祥光)

レース中盤とゴール30分前にクラッシュによるセーフティーカー導入があったものの、レースは順調に進み、スタートから7時間後の16時15分に「TEAM-T弐号機」が151周を走りトップチェッカーを受けました。「TEAM-T弐号機」にとっては3連覇達成です。

7時間ものレースが終わるころには日も傾き、ご覧のような景色に。トップチェッカーを受けたのは昨年の冬大会・夏大会を制したTEAM-T弐号機だった
7時間ものレースが終わるころには日も傾き、ご覧のような景色に。トップチェッカーを受けたのは昨年の冬大会・夏大会を制したTEAM-T弐号機だった

このレースは、専用ライセンス(定期的に講習会が開催される&FISCOライセンス取得も推奨とのこと)とエントリーフィー(10万円+税)で誰でも参加できます。マシンも最低限のレース装備さえ施されていればナンバー付でOKと、参戦のハードルは比較的低く、お友だちや職場仲間、家族で賑やかにエンジョイすることができます。次回は8月13日(月)~14(火)に行われる夏大会です。夏の思い出にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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