豪雪地帯をロングドライブして実感。4WD最大のメリットは「心の余裕」

この冬は例年にないくらい降雪量が多かったですね。東京では4年ぶりの大雪が降って鉄道も道路も大パニックになり、その影響で首都高速道路では10時間も前に進めないなんていうアクシデントがありました。北陸ではそれとは比べ物にならないほどの積雪となり、最大1500台が道路上で数十時間にわたって立ち往生もしましたね。遠く離れたパリ周辺では雪のために合計700km以上もの渋滞が発生したのだとか(パリも東京のように雪に弱いんですね)。
雪景色は美しいですが、雪は時としてクルマをアクシデントに巻き込みます。

ところで、
「4WDは雪道に強い。4WDは雪道でも安心できる。」
そんな声を聞いたことはないでしょうか。

もちろん降雪地域に住んでいる人は、雪道における4WDのメリットを百も承知でしょう。しかし、雪があまり降らない地域に住んでいると、その効果がなかなか体験できませんよね。
日本で、4WDが有名なメーカーのひとつにスバルがあります。先日、そんなスバルの4WD(スバルは4WDを「AWD[All Wheel Drive]」と呼ぶ)であるXVとインプレッサで、日本有数の豪雪地帯である八甲田山周辺を含め、岩手から秋田、そして青森にかけての雪道を走る機会がありました。東京住まいで4WD車オーナーでもないボクがその体験で感じたことをお伝えしましょう。

そもそも4WDってどんなクルマでしょうか?

乗用車には4つのタイヤがついていますが、一般的にはその4本のうち前もしくは後ろの2本にしかエンジン(やモーター)の力を伝えません。すなわち2WDです。対して4輪すべてのタイヤに動力を伝えるのが4WD。だから「4WD(Four Wheel Drive)」とか「四輪駆動」と呼ばれるのです。

それだけで何が違うのか? あまり違うようには思えないかもしれませんが、路面を捉える力が大きくなるんですよね。具体的に言うと、駆動力が分散されることでアクセルを踏んだ時にタイヤがスリップしにくくなります。また、たとえ1本のタイヤが滑っても他のタイヤで路面に駆動力を伝えるので安定性を失いにくく、4本のタイヤに動力が伝わるから滑りやすい路面でも車体の動きが落ち着くのです。

イメージとしては、砂漠や泥地、傾斜した土手など滑りやすい路面で2足歩行の人間よりも4本の足でしっかりと大地を掴む動物のほうが踏ん張りが効く感じでしょうか。雪道のように滑りやすい路面になればなるほど、そのメリットは多く感じられるようになります。

こんなに楽! 4WDの雪道走行

さて、そんな4WD車で豪雪地帯の山道を走って感じたこと。
まず気が付いたのは発進のスムーズさでした。一般的なクルマ(2WD)は路面が滑りやすいと発進に神経を使います。タイヤが滑って空転し、上り坂などでは発進できなくなってしまうこともありますからね。
でも4WDなら、信じられないくらい発進が楽。舗装路での発進と同じように普段どおりにアクセルを踏めばスーッと動き出します。4WDだからといってそんなに違うの? と思う人もいるかもしれませんが、これが全然違うんです。そして精神的にリラックスできる。もし坂道で止まってもドキドキしなくて済むのはとてもありがたいです。

しかし、それだけではありませんでした。わだちがある雪道はレーンチェンジで挙動が乱れることもあるけれど、4WDだと4輪でしっかりと地面に力を伝えるからハンドルを取られるようなことが少ない。本当に楽ですね。

雪道は舗装路と違って路面状況が刻々と変わります。舗装路だったのが急に積雪路になったり、逆に積雪路だと思っていたら実は部分的に凍結していたりして。そういう路面の変化って、それに応じて滑りやすさが変わるからドライバーを疲れさせるんですよね。特に2WDだとクルマがスリップしないように神経をピーンと張り詰めないといけない。
だけど4WDだと、走行中にタイヤがしっかりと路面を捉えてくれるからクルマの挙動が安定し、安全だしリラックスできる。気が楽になるし、その結果として疲れないんです。心の余裕ができるといえばいいでしょうか。

積雪地域の人はきっと、そういう気持ちの余裕を求めて4WDを選んでいるのでしょう。心の余裕ってクルマの運転にとても大切ですからね。

東京暮らしでも雪道に備えて次は4WDを買おうかな(もちろんスタッドレスタイヤは必須ですが)。なんだかそんな気分になる、4WDでの雪道ロングドライブでした。
ちなみにスバルは、全世界での販売台数(OEMモデルを除く)のうち98%が4WDなのだそうです。そこまで高いとはビックリですね。そしてこの4WD比率は世界の自動車メーカーの中でもトップクラスなんだそうですよ。それってとてもスゴイことですね。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]