トヨタ「RAV4」ってどんなクルマ?【超初心者向け解説】

2018年3月下旬から開催となったニューヨーク国際自動車ショーにおいて、トヨタは新型「RAV4」を世界初披露しました。「RAV4」はアメリカで、2017年に「一番売れたSUV」であり「トヨタで一番売れたクルマ」ですから、その注目度は抜群。アメリカでは2018年末ごろ、日本では2019年春からの発売と発表されました。そこで、今回は「RAV4」とは、どんなクルマだったのかを振り返ってみたいと思います。

SUVのイメージを一変させた初代モデル

現在は、すっかり街乗りのクルマとして認められているSUVですが、1990年代前半までは、まったく異なったイメージで見られていました。それは、「道なき道、悪路を走破するクルマ」というイメージです。そのため「オフローダー」「クロカン(クロスカントリー)」などとも呼ばれていました。車体もラダーフレーム構造といって、トラックと同じ構造を採用しているクルマがほとんどでした。

しかし、そんな常識を一変させるクルマが登場します。それが1994年にデビューした初代「RAV4」です。コンセプトは「見て、乗って、楽しいスモールSUV」。小さなボディにドアは2枚(+ハッチバックの3ドア・モデル)しかありません。しかも、ラダーフレームではなく、乗用車と同じモノコックという構造。舗装した街の道を走るが得意なクルマだったのです。そして、CMには、人気絶頂の木村拓哉を起用。ドラマに出演すれば30%近い視聴率となり、“キムタク・ブーム”と呼ばれた時代です。若い女性を中心にCMは大きな効果を発揮しました。また、「SUVなのに、悪路ではなく街を走る」という斬新さも話題になり、初代「RAV4」はヒットモデルとなります。翌1995年には、ボディを長くして5ドア化した「RAV4 V」を追加します。

ところが、ライバルも黙ってはいません。ホンダから「CR-V」、スバルから「フォレスター」、そして日産から「エクストレイル」と、「RAV4」と同様の乗用車に近いSUVがあいついで登場します。また、トヨタも「ハリアー」をリリース。これらのクルマたちの人気によって、日本におけるSUVのイメージが「泥にまみれたクルマ」ではなく、「街を走るクルマ」に変化してしまったのです。

1994年に発売開始となった初代「RAV4」。販売会社別に「RAV4J」と「RAV4L」の2モデルが用意されていた。
1994年に発売開始となった初代「RAV4」。販売会社別に「RAV4J」と「RAV4L」の2モデルが用意されていた。

日本ではなく、アメリカで人気モデルに成長

「オフロードだけでなく街乗りもできるSUV」というコンセプトは、日本だけでなくアメリカでも大いに受けました。第2世代モデル、第3世代モデルとサイズを拡大した「RAV4」は、日本よりもアメリカで、より数多く売れるモデルに成長します。ただし、日本では、大きくなった「RAV4」の人気はいまひとつ。その結果、2013年に登場した第4世代モデルの日本販売は行われませんでした。

しかし世界市場では、大きくなった「RAV4」は大人気。2017年末までに、グローバル販売約812万台を達成。2017年は、世界80万台超、アメリカ約41万台の販売を記録。それまでアメリカで一番売れていたトヨタ車である「カムリ」を抜くほどのもの。まさに「RAV4」は、トヨタを支えるグローバルコアモデルのひとつとなったのです。

ロシアでも生産されている第4世代の「RAV4」。
ロシアでも生産されている第4世代の「RAV4」。

日本へ凱旋帰国となる第5世代モデル

すっかり世界的なモデルに成長した「RAV4」。その最新モデルが日本にやってくるのは2019年春ごろ。まさに凱旋帰国となります。新型モデルは「SUVらしい力強さと、使用性へのきめ細やかな配慮を兼ね備えた4WD」です。力強く、使い勝手のよい4WDモデルですね。写真を見ればわかるとおりに、そのデザインは力強く洗練されています。広い荷室や上質感のあるインテリアを備え、運転支援機能や音声サービス「アレクサ」対応などの最新コネクテッド技術も数多く採用。トヨタの最新のパワートレインを搭載し、ハイブリッドモデルも用意し、SUVらしい優れた走りと燃費性能を両立しています。初代よりも、ずいぶんと大きくなりましたが、それが世界標準ということで、きっと大きな話題を集めることになるでしょう。日本で販売される来春が楽しみです。

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:トヨタ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]