今年、メモリアルイヤーを迎える国産名車たち~30周年編
日本で自動車が大衆化した1960年代からおよそ50年が経過した現在、毎年多くの名車が生み出され続けています。中には惜しまれつつ車名が消滅してしまったモデルから、現在でも現行モデルがリリースされているモデルまでさまざまですが、今回は2018年に30周年のメモリアルイヤーを迎える国産車を一挙にご紹介いたしましょう。
日産・シーマ
それまでの日産のフラッグシップモデルとして存在していたセドリック/グロリアの上位車種として1988年に登場したのがシーマです(初代モデルはセドリックシーマ/グロリアシーマが正式名称)。当初から3ナンバーサイズとしてデザインされたボディは、それまでの押し出し感の強さ一辺倒だった高級車のそれとは一線を画した伸びやかでクリーンなデザインを纏っていました。
もちろん機関にも当時の日産の技術の粋を集めたものが採用され、搭載されたエンジンは新開発のV6DOHC24バルブの3リッターエンジン。自然吸気版でも200PS、ターボでは255PSを発生し、フル加速ではリアサスペンションを沈ませながら猛然とスピードを上げていく姿に憧れた人も多かったことでしょう。
その後シーマはモデルチェンジを繰り返して継続していましたが、2010年に4代目モデルをもっていったん終了。2012年に5代目モデルとして復活を果たしましたが、現在はフーガの兄弟車(ロングホイールベース版)となっています。
日産・セフィーロ
トヨタのマークII3兄弟に対抗するべくなのか、スカイライン、ローレルと同クラスのミドルクラスセダン市場に1988年に投入されたのがセフィーロでした。豪華なローレル、スポーティなスカイラインに対し、ファッション性を重視したパーソナルセダンとして登場したセフィーロは、30代前半のユーザーをターゲットにしており、エンジン、サスペンション、トランスミッション、内装生地、内装色、外装色などを組み合わせて注文できるセミオーダーメイド方式「セフィーロ・コーディネーション」を採用していました。
当時は「くうねるあそぶ」のコピーや井上陽水が助手席から顔を出すCMが印象深く、今でも覚えている方も多いのではないでしょうか。初代モデルはスカイラインやシルビアのパーツとの互換性もあり、ドリフト競技などのベース車両になることもありましたね。
そして2代目モデルからは前輪駆動のモデルへと変貌を遂げ、ステーションワゴンモデルも追加。アメリカ市場では日産の高級車ブランド、インフィニティのエントリーモデル(インフィニティ・I)としても販売されていましたが、2003年に生産を終了。後継車種はローレルとセフィーロを統合したティアナが担っています。
マツダ・ペルソナ
当時、カリーナEDが牽引した“スタイリッシュな4ドアハードトップ“という市場に投入すべく、カペラをベースに全高の低いピラーレスハードトップとして1988年10月に登場したのが、マツダ・ペルソナです。カリーナEDを強く意識した外観に目が行きがちですが、ペルソナの本質はそのインテリア。当時のカタログも1ページ目から延々内装写真だけが続き、外観の写真が登場するのは13ページ目からというこだわりっぷりでした。
そんなペルソナの内装は、ダッシュボードからリアシートまでを一筆で描いたような断続したラインで構成されており、シート表皮も高級なクロス張りと本革が用意されていました。特に本革仕様は高級感を求めて手縫いされた皮革が採用される徹底ぶりです。また、内装のデザインの一体感を求めるあまり、ダッシュボードや当時はマストアイテムだった灰皿を廃しており、没個性的な外観からは考えらないほど尖った内装を持った車種でした。
なお、翌89年には、当時新たに立ち上がったブランド「ユーノス」向けに兄弟車としてユーノス・300が登場。しかし、残念ながら日本国内での4ドアハードトップ需要は縮小しており、1991年に生産を終了してしまいました。
スズキ・エスクード
現在は全世界的にブームとなっているクロスオーバーSUV。SUV的なルックスを持ち合わせながらも、乗用車らしい乗りやすさを実現しているモデルです。そんな「クロスカントリーSUVと乗用車の融和」をコンセプトに1988年に登場したのが、スズキ・エスクードです。
エスクードはラダーフレームこそ採用していましたが、足回りには前後ともコイルスプリングを用い、フロントには独立懸架のサスペンションを採用。エクステリアも当時の流行に則したスラントノーズやブリスターフェンダー、セミコンシールドワイパーなどが採用されており、乗用車的な内装とも相まってヒット作となりました。
90年には5ドアモデルとなる「ノマド」を追加。94年にはスズキ初のV型6気筒エンジンとマツダから供給されたディーゼルエンジンが追加されています。そして現在は4代目となるモデルが販売中。このモデルからはハンガリーで生産された車両を日本で販売する、輸入車扱いとなりました。
次回は20周年を迎えるクルマをご紹介します。
(文:小鮒康一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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