効率のよさと環境対応が大切! 大型車の洗車事情はこうなっていた

洗車機派か手洗い派かは意見がわかれるところですが、クルマを所有している人なら愛車が汚れたら必ず洗車をしますよね。では、トラックやバスなどの大型車はどうやって洗車をしているでしょうか?

手洗いは大変そうだし、普通のガソリンスタンドの洗車機では車両を入れることがそもそも無理そうですし……と調べてみると、大型車専用の洗車機がある模様。そこで、洗車機の販売などを手がける株式会社ダイフクプラスモアの営業次長、岡村仁孝さんに大型車の洗車事情を聞きました。

大型車用洗車機の設置コストは約1,000万円

「お客様を乗せるバスはもちろん、輸送用の大型トラックも洗車をする機会が非常に多くなっています。営業用の大型車の清潔さは取引先の印象を左右します。例えば食品を扱う車両は、コンテナに少しでも汚れがあるだけで相手の心象を損ねてしまい注意されることもあるようです」(岡村さん)

ここで重要になってくるのが、その大型車の清潔を保つために、誰がいつ、どういった方法で洗うかということです。

「大型車を手洗いするのは、非常に手間がかかります。働き方改革も進む今は、業務の手間をなるべく省こうという動きがあり、大型車専用の洗車機を使って洗うことが多くなっています。その際、所有している車両数が少ない会社は、大型車に対応しているガソリンスタンドで洗うことが多いですね。車両数の多い場合は、弊社のような会社から大型洗車機を購入して設置しているケースが多いです」(岡村さん)

スプレー型の洗浄機を使ったとすると、大型車を洗う際は数十分、場合によっては1時間以上もかかりますが、大型洗車機を使えば数分で済んでしまいます。地域によって異なるものの、ガソリンスタンドでの大型洗車機の利用料は1回700円~1500円程度。保有車両の台数次第では、毎月の洗車コストを考えると、洗車機を購入して設置した方が、メリットが大きいと考える会社もあるとのことでした。

「私どもが大型洗車機の設置を希望するお客様にお話しする場合、仕様にもよりますが、洗車機本体と基本工事費で約1,000万円だとお話しすることが多いですね」(岡村さん)

なお、この価格はあくまで目安とのこと。排水設備の新設が必要な場合や、地面が未舗装でコンクリート工事が必要な場合は別途費用がかかります。

ユーザーの要望に合わせて、洗車機の性能も進化している

ここで、最新の大型車用の洗車機を見てみましょう。ダイフクプラスモアが取り扱う「カミオン カスタム」では、洗車時間は最速でわずか3分55秒。2トン、4トン、10トンのトラックすべてに対応し、コンテナ車も平ボディを問わないほか、バスの洗車もO K.とのこと。洗車機の技術革新も進んでいます。

「カミオン カスタム」では、最大高さ4.1m、幅2.5m、全長16mの車両までに対応する
「カミオン カスタム」では、最大高さ4.1m、幅2.5m、全長16mの車両までに対応する

「今は簡単な操作で、素早く洗車できることが、購入するお客様はもちろん、セルフで操作するドライバーにも喜ばれるようになっています。弊社の大型洗車機は、本体右側に配置してある操作パネルで、洗車する車種の大きさや、キャブの上部・前面・側面といった洗いたい部分を選んで洗車が可能です。寒冷地で使用される融雪剤の塩化カルシウム除去のために、車体下部の洗車ができる仕様もあります」(岡村さん)

洗う場所の詳細な指定ができる液晶タッチパネル付きの操作パネル
洗う場所の詳細な指定ができる液晶タッチパネル付きの操作パネル

なお、操作パネルは、ドライバーが操作しやすいように洗車機本体の右側に取り付けられるのが一般的ですが、バスの場合はドアが左側にあるため、左側に操作パネルを配置するタイプも同社では用意しているそう。ドライバーに優しい配慮です。

節水や植物由来のシャンプーなど環境への対応も

大型車の洗車に関して、筆者は疑問に思っていることがありました。「大型車洗車可」という表記がありながら、大型洗車機が置いておらずスプレー洗浄機しかないガソリンスタンドがあることです。

「その点に関しては、スペースの問題があります。まず大型洗車機は洗車機が稼働する部分だけでも長さが20m弱は必要ですので、ある程度広い場所はないと設置することができません。ほかにも水質関係の法律もあり、きちんとした排水設備がなければ、洗車機の設置はできません」(岡村さん)

大型車を洗車する場合、広いスペースが必要
大型車を洗車する場合、広いスペースが必要

乗用車より水やシャンプーなどの使用量が多い大型車の洗車では、環境への配慮も重要です。それを決め手に洗車機を購入するユーザーも多く、「カミオン カスタム」では、洗車1回の水の使用量を一般的な大型洗車機の400リットルから、半分以下の150リットルまで抑える設計になっているそう。さらに、自然の中で分解されやすい植物由来のシャンプーを使っているとのことです。よりよい環境作りのために、大型車用の洗車機業界も、日々新しい動きが起きているんですね。

▼株式会社ダイフクプラスモア
住所:東京都港区海岸1-2-3 汐留芝離宮ビルディング
電話:03-6721-3555
Webサイト:https://www.daifuku-carwash.jp/

(取材・文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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