【鈴鹿10時間レース徹底レポート1】世界各国から集結したGT3の強豪マシンを紹介
夏の鈴鹿の風物詩とも言える耐久レース「鈴鹿1000km」が、「鈴鹿10時間レース(鈴鹿10H)」へとパワーアップ。走行距離と時間が長くなっただけでなく、世界各国から集った35台の「FIA-GT3」マシンと日本「JAF-GT」マシンがしのぎを削る、新たな耐久レースとなりました。日本で馴染みのあるチーム&ドライバーに欧米とアジアの強豪チームが、「世界一のGTカー使い」の座をかけて戦います。
まるでル・マン! しかし、公道パレード&公開車検は天候により中止に……
レースウィークは8月24日(金)~26日(日)。このビックイベントに鈴鹿サーキットのある三重県鈴鹿市は、サーキット近くにある大型ショッピングモール「イオンモール鈴鹿」の敷地を使ったモータースポーツイベント「鈴鹿モータースポーツフェスティバル」を23日(木)に開催する予定でした。このイベントではサーキットから会場までの公道を出場マシンがパレード走行し、敷地内で公開車検。さらにドライバーサイン会やトークショーなど、「ル・マン24時間レース」に習ったファンイベントが目白押し……のはずでした。
しかし、日本に急接近していた台風20号による大雨警報が鈴鹿市に発令されたことで、フェスティバル自体が中止に。こればかりは仕方ありませんが、公道を走るレーシングカーを待ちわびていたファンは、がっくりと肩を落とすこととなりました。
気を取り直して、「鈴鹿10H」注目のチームマシン!
今回のレースイベントの見どころは、冒頭でもお話ししたように、世界各国からGT3マシンの強豪チームが参戦すること。そこで、その中でも注目のチームをいくつか取り上げてご紹介します。
(1)日本デビュー戦! キャラウェイ・コンペティション with ビンゴレーシング/キャラウェイ コルベット C7 GT3-R
- チームは希少車やスーパーカー専門に販売する「ビンゴスポーツ」のレース部門が運営。高級ジュエリーブランド「ブルガリ・ローマ」がスポンサード!
アメ車好きなら「キャラウェイ」という言葉に、反応してしまうのでは? キャラウェイは、コルベットのカスタムカーで名を馳せたアメリカのメーカーです。そのレース部門「キャラウェイ・コンペティション」が製作した最新マシンが、この「キャラウェイ・コルベット C7 GT3-R」。2017年にドイツのGT選手権「ADAC GTマスターズ・シリーズ」でデビューし、その年のチャンピオンを獲得しています。日本のレースには初参戦!
- V8 6.2L OHVといういかにもアメリカンなエンジンが生み出す強烈なトルクで、日本・ヨーロッパ車勢に挑戦した
(2)ニュルマイスターが鈴鹿に見参! マンタイ・レーシング/ポルシェ 911 GT3R
派手な黄緑色のマシンに、既視感を持った人もいるかもしれません。そう、このポルシェは今年の「ニュルブルクリンク24時間レース」で総合優勝を果たした「マンタイ・レーシング」のマシンです。「マンタイ・レーシング」は、ポルシェで6度もの“ニュル24時間”を制覇している強豪チーム。マシンは熟成が進んだ「ポルシェ 911 GT3R」で、ニュルの森で培った耐久レースのテクニックが鈴鹿10Hで通用するかが注目されました。
- カーナンバー「911」の意味は、2018年がポルシェ70周年であることから。走り慣れない鈴鹿でも絶対的な自信を持っているからこそのカーナンバーだろう
(3)まるでヒーロー戦隊! ストラッカレーシング/メルセデスAMG GT3
イエロー、グリーン、レッド。蛍光色でひときわ目立つチームが、ヨーロッパ・ブランパンシリーズからエントリーしてきました。「ストラッカレーシング」というと「ル・マン24時間レース」の名門チームとして記憶しているモータースポーツファンも多いでしょう。44号車のドライバーには、元F1パイロットの父親を持つ、エイドリアン・タンベイ選手という超一流ドライバーがエントリーしました。
- ナイトフリー走行で激しく火花を散らすのは42号車。
(4)日本にいそうでいない英国スーパーカー ガレージ59/マクラーレン 650S GT3
日本でも人気のスーパーカーメーカー・マクラーレン社の「650S」がベースのGT3マシン。人気のあるクルマだけに日本のレースでも走っていそうですが、このマシンはブランパンシリーズからのエントリーです。今回、紹介したGT3マシンの中で、市販車とのスタイリングの差がもっとも少ないと感じた1台でした。
- マシン中央の追加ライトのおかげでブタの顔に見える?笑
チーム「ガレージ59」は、2016年ブランパンの覇者。フリー走行では、他チームと比べてセッティングが決まらないのか、ややゆっくりとしたペースで走行していました。
(5)GT3でも高級感は健在。 ベントレー・チームM-Sport/ベントレー コンチネンタル GT3
ロールスロイスと並んでイギリスを代表する高級車ブランド「ベントレー」のプレミアムスポーツクーペ、「コンチネンタルGT」のGT3マシンです。市販車は、贅を尽くした美しい内外装と6.0L W型12気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高速度330km/h以上を誇るラグジュアリーなスーパーカー!
- ゆったりした雰囲気を出しながらコーナーをリズムよく走る姿はとても不思議な気持ちにさせる。
一方、今回のレースにも参戦するGT3仕様は、4.0Lのツインターボエンジンを搭載し、500馬力とやや控えめ。しかし、車重1300kg以下と、市販モデルよりも1トン以上も軽くなっており、その速さは市販車以上。日本のSUPER GT GT300クラスにもコンチネンタルGTは参戦していますが、このブランパンシリーズからエントリーされたマシンは、2018年からの新型モデルです。
(6)ニューマシンで復活! モデューロ・ドラゴ・コルセ/ホンダ NSX GT3
「SUPER GT 第5戦 富士500Mileレース」のフリー走行時のクラッシュが記憶に新しい、デューロ・ドラゴ・コルセのNSX GT3。このクラッシュでの車両ダメージは深刻で、鈴鹿10Hの出場が危ぶまれていましたが、チームオーナー兼ドライバーで、クラッシュ時にステアリングを握っていた道上龍選手が、関係者の協力を得て別の車両を手配。見事「Modulo KENWOOD NSX GT3」として、鈴鹿10H出場を果たしました。道上選手によると、「2台新車があって、そのうちの1台を急いで手配してもらった」とのこと。ちなみに、2台はアジア向けとヨーロッパ向けで、今回のマシンはエアコン付きのアジア向け車両だそうです。
- フリー走行後の記者会見の様子。皆笑みが溢れている。車両到着がレース直前となり、実質的にフリー走行がシェイクダウン(初走行)となった。
前日の「鈴鹿モータースポーツフェスティバル」こそ天候により中止となってしまいましたが、レースウィークの天候は、晴れ! 台風一過の暑さの中で行われました。レースの模様はまた明日、お届けいたします!
(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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