1980年代の「グループBカー」が今になって続々とモデル化されるワケ
1982年~1986年シーズンの間、WRC(世界ラリー選手権)にはクルマファンやラリーファンに熱狂を与えた「グループB」というトップカテゴリーが存在していました。
狂気的ともいえるハイパワーに対して安全性が追いついておらず、その危険性からわずか数年で廃止されましたが、市販車ベースではなく、実質的にラリー用に作られたグループBマシンの数々は伝説的な存在となり、模型やミニカー(スケールモデル)の愛好家は今もたくさんいます。
しかも、近年になって新製品も登場しているとか。それは一体、なぜなのでしょうか?「日本模型新聞」編集長の村岡豊次さんに話を聞きました。
当時の憧れを今、ミニカーで叶える
「もともとグループBカーは、F1マシンほど注目度は高くありませんでした。しかし、ここ数年は製品の点数も増え、2015年には『カーモデリングマニュアル グループBー公道の怪物たち』というグループBカーだけに絞ったプラモデルの作例本がホビージャパンから出版されるなど、注目度が高まりました。製品が増えてきたのは、2010年代後半に入ってからですね」(村岡さん)
しかし、なぜ今になって人気になったのでしょうか?その理由は、プラモデルやミニカーのユーザー層に理由があるとのこと。
「ほかのクルマのキットやミニカーにも言えることですが、1980年代に青年期を過ごした男性が、子供のころに見ていたクルマのキットやミニカーを購入する傾向が強くなっています。当時の憧れだった『カッコイイクルマ』を、時間や金銭に余裕ができた今、コレクションアイテムとして身近に置きたいと、製品を購入しているんです。こういった人たちの琴線に、グループBカーも触れるのだと思います」(村岡さん)
グループBカーの特徴は、なんといってもオーバーフェンダーで拡幅されたボディのリヤに搭載されるハイパワーエンジンです。その出力は600馬力にも達したと言われ、モナコグランプリのコースで走らせたら当時のF1マシンより速かったという逸話もあるほど。そのスタイリングや走りに、憧れを持った人も多かったのでしょうね。
技術の向上で再現性も高まった
グループBカーそのものの魅力が、新たにミニカーを製品化する原動力になっていることはたしかですが、ほかにも模型メーカー/ミニカーメーカーの技術の向上も、製品化をあと押ししているとか。
「2017年の全日本模型ホビーショーなどで話題となった、青島文化教材社(アオシマ)の『ランチアデルタS4 モンテカルロラリー仕様』は、パーツ分割を工夫して、エンジンの細部まで作りこまれているのが特徴です。ほかにも京商のミニカーやダイキャストモデルなども、このエンジンやシャシーまわりのデザインには特に気を使っている印象を受けます。これは、モデル化の技術が向上したことで、できるようになったことですね」(村岡さん)
エンジンやシャシー部分の詳細な表現は、グループBを愛好するユーザーにはたまらないわけですね。ちなみにランチアS4の「S」の意味は「Sovralimentata」。イタリア語で「スーパーチャージャー」を表します。「4」は、もちろん4WDのこと。これだけでも、グループBマシンのすごさが感じられますが、写真のアオシマのモデルでは、それがしっかりと再現されています。
30年の時を経て再び注目されるグループBカー。懐かしさを感じる人がいると同時に、新鮮さを感じる若い人もいるかもしれません。You Tubeなどでは、グループBカーのエンジン音だけをまとめた動画もあるようで、以前よりグループBを知る機会は増えているのかもしれません。歴史的なクルマが再び注目されモデル化されることは、車好きには嬉しいものですね。
▼ジートッププレス(日本模型新聞)
住所:東京都台東区柳橋1-3-3 東宏ビル
TEL:03-3861-0954
URL:http://www.g-toppress.co.jp/
(取材・写真・文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-