趣味で始めた「社長の小部屋」は軍用車両の私設博物館!
静岡県御殿場市で50年以上にわたり自動車の販売・整備を行う株式会社カマドには、店舗や工場のほかに「社長の小部屋」が隣接しています。このスペース、当初は小林雅彦社長の趣味でもある軍用車を販売する店舗でしたが、日本車最古の4輪駆動車「くろがね四起」のレストアを機に、軍用車両を展示する私設博物館に改装。最終的には、「防衛技術博物館」を作ることを目指しているそうです。
きっかけは「くろがね四起」のレストア
幼いころから映像作品に登場するクルマが好きだったという小林社長。中でも、特に心打たれたのは悪路を走る軍用車だったそうです。そして、2004年ごろよりドイツ製のトラクターを始めとした軍用車両の販売を開始。「社長の小部屋」の誕生です。現在も軍用車両として扱われていたオフロード車の販売やメンテナンスサービスをしていますが、社長の小部屋はそうした軍用車両を展示する博物館となっています。
小林社長は2016年に、大日本帝国陸軍の小型軍用乗用車であると同時に日本初の実用4輪駆動車でもある「九五式小型乗用車(通称:くろがね四起)」のレストアをクラウドファンディングで成功させており、そのとき「きちんと皆さんに見ていただくスペースを作らなければ」と思い、社長の小部屋を軍用車両の博物館にしたと教えてくれました。
御殿場市は毎年、夏に陸上自衛隊の「総合火力演習」が行われる東富士演習場も有する地域。「この場所に、このような軍用車両が存在していた事実を残したい」と小林社長は熱く語ります。
「軍事技術は、当時のその国の基礎工業技術がはっきりとわかる工業製品のひとつです。軍事力が良いか悪いかではなく、存在していた事実と当時の工業技術を残していく必要があると感じています」(小林社長)
現在は、世界のさまざまな国が「戦車」の開発を辞めているそう。小林社長は今後、戦車という軍事車両はなくなっていくと考えているそうですが、その時代の流れの中で「将来的に戦車そのものの存在や、平和が訪れた歴史そのものがいつか忘れられてしまうのではないか」と、小林社長は危惧しています。
目指す姿は「防衛技術博物館」
趣味からスタートして、私設博物館へと進化を遂げた「社長の小部屋」。しかし、これが完成形ではないそうです。
「実は今、『社長の小部屋』を一旦閉館してリニューアルしようと考えているんです。『社長の小部屋』は本来の趣味車の販売スペースとして維持しながら、それとは別に『防衛技術博物館』の具現化に向けて新たにスペースを作ろうと考えています。具体的な形になるのは2019年度の始めになるかと思います」(小林社長)
「目指すのは『岐阜かかみがはら航空宇宙博物館』や『筑前町立大刀洗平和記念館』の陸上版です。歴代の戦車を並べることはもちろんですが、アメリカで生産されたものや日本の三菱でライセンス生産されたもの、その派生形などを一堂に並べて、ジープの家系図のような展示もプランのひとつとして考えています。歴史の移り変わりとともに、使用した材料や加工技術の変化も紹介して、当時の車両から工業技術の進化が感じられるような施設にしたいんですね。工業技術の進化を展示から感じ取って、将来エンジニアを目指す子供がいたら嬉しく思います」(小林社長)
さまざまな夢を語ってくださった小林社長。「防衛技術博物館」の具現化へ向けた動きは、すでに始まっているそうです。
「実は現在、イギリスにある『九五式軽戦車』を日本に里帰りさせようというプロジェクトが動き始めています。これが防衛技術博物館開館への第一歩となればと考えています」(小林社長)
今度はどんなアクションが御殿場から起こるのか、とても期待が膨らむ取材でした。
▼株式会社カマド
URL:https://www.k-m-d.co.jp/
▼社長の小部屋
URL:https://www.k-m-d.co.jp/kobeya2/
▼社長の小部屋 ブログ
URL:http://shachonokobeya.blog71.fc2.com/
(取材・文・写真:西川昇吾 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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