速すぎるとペナルティ! レース初心者も参加しやすい「エコカーカップ ウィンターフェスティバル2019」
自動車レースは、ライセンスを持つドライバーたちがレーシングカーを駆って速さを競うもの……だけではありません。自動車運転免許があれば、誰でも普通のクルマで参加できるモータースポーツが存在します。それが、富士スピードウェイで年2回開催されている「エコカーカップ」です。
さる2月16日(土)に2019年の第1回目となる「エコカーカップ ウィンターフェスティバル2019」が行われましたので、その模様をお伝えします。寒空の中、多くの参加者で盛り上がっていました。
速さだけでなく燃費も重要なエコカーカップ
2013年から夏と冬の年2回開催されているエコカーカップは、「エンジョイ60」と「チャレンジ180」という2つレースからなる大会です。どちらも規定のラップタイムが設定され、そのタイムを上回る(=速く走る)とペナルティが課されます。つまり、速さだけが勝ち負けの要素ではないということ。レース結果は、「順位」「燃費」「ペナルティ」の3つの要素で確定されるので、規定タイムを超えない範囲で速く走り、少ない燃料で走ったチームが勝ち、というわけです。
エンジョイ60は、4分45秒(1周目は4分)の規定タイムが設定され60分間走行、チャレンジ180は3分15秒(1周目は3分)の規定タイムで180分間走行。車両は、ガソリンやハイブリット、ディーゼルなど搭載するパワートレインによってクラス分けされ、エンジョイ60とチャレンジ180の両方にエントリーしたチームの中から、もっともペナルティなどのポイントの少なかったチームに「マスターオブエコカー」の称号が与えられます。
レースだけど楽しむことを目的とするチームも
運転免許があれば誰でも参加でき、走行ペースもさほど速くないこのエコカーカップは、モータースポーツ初心者どころか、運転初心者の方も多く参加します。そのため、勝ちを狙いに行くのでなく、楽しむことに重点を置いたチームも多く見受けられました。
たとえば、炊飯器をピットに持ち込むチームもあれば、朝一で普段乗りのクルマにカッティングシートでカラーリングを施し、ピットボードを持ち込んでレースの「雰囲気」を楽しむチームもあるといった具合。当日は、豚汁の配付も行われており、参加者の胃袋を満たしていました。
職場の仲間たちと参加しているチームもありましたが、中でもおもしろかったのはタクシー会社のチーム。なんと業務で使用しているタクシーで出場したのです。しかも、レーシングスーツでなく制服で走行! 今回は、深夜増料金でメーターを回していたとか。
本気で勝ちを狙うチームは綿密に戦略を立てて臨む
もちろん、“本気で勝ちを狙いに行く”チームもあります。規定ピット回数が決められているエコカーカップではタイミング次第でピットが混雑してしまったり、参加台数が多いため思い通りのラインを走行できなかったりするもの。勝ちを狙うチームは、ピットタイミングや燃費、総合順位を考慮した走行ペースなど、綿密にレース戦略を立てて臨みます。またタイヤの空気圧調整をしたり、バンパー開口部の一部を塞いで空気抵抗を減らしたり、燃費向上のためのマシンセッティングを入念に行っていました。
そんな“本気で勝ちを狙いに行く”チームの中から栄えあるマスターオブエコカーに輝いたのは、50プリウスで参戦した「TGRT with Tras 137」でした。前回大会でもマスターオブエコカーに輝いているこのチームは、レース後「今回も新たな発見があったので、次回はより良い燃費を出せると思う」とコメント。連覇を食い止めるチームが現れるのか、次会大会に注目したいところです。
サーキット未経験者でも気軽に参加できるレースながら、燃費を追求した奥の深いエコカーカップ。参加者の中には、「次回が待ち遠しい」という声も聞かれました。サーキットデビュー、レースデビューにも最適のエコカーカップ。次回の開催は2019年9月28日(土)とのことですので、気になった方はぜひ参加してみてください!
▼エコカーカップ2019
URL:http://www.japan-racing.jp/fsw/19/hv.html
(取材・文・写真:西川昇吾 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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