三輪自動車が目印の本屋さん「文禄堂荻窪店」
スマホやタブレットで小説や漫画が楽しめる昨今ですが、「本屋さんが好き!」という人はとても多いですよね。「街の本屋さん」といった小規模の店舗より、売り場面積が何百平方メートルもあるような大型書店が目立つようになりましたが、街の本屋さんでもこんなユニークな設えをしているところがあります。「文禄堂 荻窪店」は、なんと入口にデンと電動のオート三輪が鎮座。「クルマの本屋さん」として親しまれています。
コンセプトのある本屋さんに変身
店舗面積はおよそ60平方メートル。人文書や芸術書のセレクトを強みにしている「文禄堂 荻窪店」。場所は荻窪駅南口。
商店街を少し入ってすぐ左手に曲がるとあります。ホームページなどで間口の写真を見ていても、飲食店の並びにいきなり三輪自動車が現れると「えっ!?」と誰でも新鮮な驚きがあると思います。
このようなインパクトある姿になったのは2015年のこと。「これからの街の本屋さん」に生まれ変わるため、ブックディレクションブランド「YOURS BOOK STORE」に店舗プロデュースを依頼。“人が集まる、人に会いに行く”をコンセプトに「あゆみBOOKS荻窪店」を「文禄堂 荻窪店」にリノベーションしました。
その時、雑貨の強化(=雑貨ハウス/店内の一角が文房具やノートをはじめ、女性が好みそうな雑貨がいっぱい)とともに、この電動式オート三輪、その名も「BOOK ROUTE」を導入しました。
単なるアイキャッチじゃない! 移動式の本屋
この三輪自動車、車種は日本エレクトライクの「エレクトライク」です。電気自動車なのでもちろんエコ。「えっ! ミゼットじゃないんだ!」とおっしゃるご年配のお客さんも多いそうです。
こちらの「BOOK ROUTE」、普段は入口でお客さんをお出迎えしつつ、荷台には可動式の木のボックスが積まれ、キャンペーン商品の雑貨や書籍を並べる陳列棚となっていますが、年に数回は、外部のイベントに出店しています。都内のイベントに出店する際は、荷台に幌をつけてツイーっと現地まで、この三輪自動車1台で走っていきます。
まさに「会いに行く本屋」「走る本棚」という訳。なんでも荷台には約400冊の書籍が入るそうですよ。「走るんですか? 走るんですね!」という声もお客さんからよく寄せられているそうです。運転席などに陳列がない時などは、子どもが中に入って座ることもあるそうですよ。
「このBOOK ROUTEがあるとやっぱり目立ちますよね。そのためいつも間口は開けています。ものすごく風の強い日や台風のひどい日、あとよっぽど暑かったり、寒かったりする時はガラス扉を1枚閉める時もありますが、ほとんど開いていますね。味のある本もたくさん置いていますので、気軽にお店に入って手に取ってほしいです」と店長の前田隆之さん。
今や書店も様々な様相を呈していますが、街の本屋さんでちょっとだけキャッチーなアイテムがある、というのも良いものです。中央線に乗ったらふらり訪れてみてください。
(取材・文:別役ちひろ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<取材協力>
▼文禄堂 荻窪店
URL:http://bunrokudo.jp/
[ガズー編集部]