高速道路を守る「交通管理隊」ってどんな仕事?

高速道路を走行していると、時たま事故現場などと遭遇します。そんな時、現場を取り仕切るのが「交通管理隊」。一般道路と比べて高い速度域で車両が走行する、危険と隣り合わせの環境での作業はどのような形で行われているのか、NEXCO東日本に伺いました。

「交通管理隊」ってどんな人たち?

「交通管理隊」は、一言で言えば、高速道路の「当たり前」をかなえる人たちです。「当たり前」に高速道路を安全・安心・快適に走行できるように、24時間・365日、定期的に交通管理巡回業務が行なわれています。その内容は、高速道路を巡回し、道路・交通・気象などの情報を収集。地震や大雨などには臨時巡回も行なっています。そして異常があった場合は、通報や応急処置をすみやかに行います。また、走行の障害となる、「路上障害物」の排除のほか、交通事故の現場では交通規制や交通整理を行います。

現在、NEXCO東日本の関東支社管内では469名の隊員が16の事業所に配置されています。そして2交代制で業務に当たっているそうです。

どんな人が「交通管理隊」になるの?

資格として必要なものは、普通自動車免許(取得2年以上)のみ。ただし、入社後、業務上必要と判断されれば、「陸上特殊無線技士」、「火薬類取扱保安責任者」などの資格取得や、「普通救命講習」の受講など、高速道路を安全に、且つ、安心してドライバーが利用できるために必要な知識・資格を身につけます。

事故現場などでは、ドライバーの安全確保や二次被害の防止のため、必要に応じて交通規制を行わなければなりません。これを踏まえ、現場において迅速かつ適切に規制器材(発炎筒や矢印板など)の設置ができるよう、処理内容に応じた訓練も日々行なっています。また、落下物排除訓練も行い、ベニヤ板や角材、ビニールシート、大型車用のホイール付タイヤなど実物を使用して訓練を実施しているそうです。

そんな日々の訓練とともに、効率的な規制方法の検討・導入や、夜間や悪天候時でも視認性の高い規制器材の開発、過去に発生した交通事故事例をもとにした検討会なども実施。あわせて、出社時においては、隊長など責任者が隊員一人ひとりの体調確認やアルコール測定を実施するなど、心身ともに健康な状態であることの厳密なチェック体制も敷いています。また、朝夕の引継ぎ時には、安全対策に関する訓示や、隊員全員での月間スローガンの唱和などを行うなど、意欲的に安全意識の向上を図っているそうです。

落下物は、こう拾う!

道路上の落下物は大小問わず、車両の安全な走行に危険を及ぼします。それが高速道路だったらなおのこと! そのため、落下物排除は交通管理隊の大切な仕事の一つです。

巡回中に落下物を発見した場合、路肩など、安全が確認され落下物排除に支障のない場所にパトロールカーを停車します。落下物の回収作業は二人1組で実施します。一人が監視・警告担当で、もう一人は作業担当となります。降車後、監視・警告担当は旗を振ってこの先に危険(落下物など)があることと、隊員が車線上にいることを、後方のドライバーに知らせます。そしてクルマの流れが途切れたところで、作業担当の隊員に警笛を使用し合図。その合図を受けて、落下物のところまで走り、落下物の回収を行います。この作業は、クルマの流れが途切れないと回収に向かえないので、とても長い時間、旗を振り続けなければならない時もあるそうです。

異常事態発生時は迅速に対応

では、事故などの異常事態が発生した場合は、どのように対処するのでしょうか。

まずは道路管制センターで受け付けた情報をもとに、出動要請がされます。そして走行車へ注意を促しながら現場へ緊急出動。現場到着後、一人が後方の監視担当として、走行車の誘導や後続車両に異常を知らせ、もう一人は作業担当として、監視担当の合図のもと、負傷者の状態確認や、規制器材を設置するなどの交通規制を行います。規制実施完了後は、消防や警察など関係機関と連携をしながら、事故・故障などの処理を進めます。

ドライバーが高速道路を安全に走行するために、多くの人が高速道路を守っています。中でも、現場でドライバーの安全確保や二次事故の防止に従事する「交通管理隊」は危険と隣り合わせ。こういった人々が、日々、万が一に備え訓練し、支えているからこそ、高速道路を快適に走ることができる。そのことは忘れてはダメですよね。

(文:別役ちひろ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

<取材協力・写真提供>
NEXCO東日本

[ガズー編集部]

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