家電ライターのクルマ選び <第3回 SUV編>
家電やデジタルガジェットに精通した、デジタル&家電ライターの視点でクルマをセレクトするこの企画。最終回のテーマはSUVです。
最初に正直に言います。最初SUVというカテゴリーがよくわかっていませんでした。筆者が20代の頃、三菱の「パジェロ」やトヨタの「ランドクルーザー」などがRVというカテゴリーで大ブームになっていました。スノーボードや海に行くとき、友人のRVに乗せてもらったことが何度もあります。
SUVの厳密なカテゴリー分けやルーツには様々な説があるようですが、現在は、アウトドアニーズなどに対応できるスポーツ車が、世界的にSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)というカテゴリーでまとめられており、高い人気を集めているようです。当時RVといわれていたこれらのクルマも今はSUVになります。
ということで、SUVで気になるクルマを探してみました。これまでにも書いた通り、いわゆる走りの良さには全く興味はありません。スピードもそれほど出さないので乗り比べみたいなことをしない限り、差がわからないというのが正直なところです。電子レンジの温め機能だけなら、各家電メーカーの最高級オービンレンジを使っても差を感じにくいのと同じでしょうか。
クルマに求めているのは、たっぷり荷物が載せられる室内空間と、完全性、省エネ性などです。SUVは比較的ボディが大きなクルマが多いため、ミニバンほどではありませんが、積載量は大きめのようです。また、安全性能も平均点を超えるモデルが多い印象。ただし、スポーツ車でもあるので、燃費など省エネ性能はあまり高くないクルマが多いようです。
家電がなんでも使えるSUVがあった!
スノーボードなどをやっていた若い頃はSUV(当時はRVでした)にも憧れましたが、今は家族でミニバンという生活をする筆者にとってSUVはそれほど刺さらないカテゴリーでした。しかし、そんな中に以前から気になっているクルマが1台あります。それが三菱自動車の「アウトランダー PHEV」です。
- 三菱自動車のクロスオーバーSUV「アウトランダー PHEV」。
PHEV(プラグインハイブリッド)とは外部からの充電ができるハイブリッドカーのこと。通常のハイブリッドカーは、ガソリンでエンジンを回してバッテリーを充電する仕組みです。回生ブレーキによる充電機能もありますが、基本的には自車発電です。プラグインハイブリッドはこのエンジンによる発電に加えて、電気自動車(EV)と同じく、電源スタンドからの充電もできるのが特徴です。
実は現在、筆者はトヨタのエスティマハイブリッドに乗っています。このクルマを選んだ理由が100V/1500Wのコンセントを搭載していることでした。多くのクルマが搭載している100Vコンセントの電力は100Wがほとんど。ところがエスティマハイブリッドは1500Wなので、消費電力の高い家電が使えるんです。
そして、「アウトランダー PHEV」も同じく100V/1500Wのコンセントを搭載しています。これがすごいんです。ちょっとだけ家電的に難しい話をしますね。
コンセントがあればいい……わけじゃない!? 家電に使えない電気がある
- 正弦波の100V/1500W出力を備えている
電気には波があります。100ボルトの電気でも、波の上は141Vまで高くなりますが、その変化がキレイな波形として描かれるわけです。
「アウトランダー PHEV」の100V出力は、一般家庭のコンセントと同じ、「正弦波」といわれるキレイな波形なんです。SUV以外のクルマでは、プリウスPHVも「正弦波」だとか。ところがこれってコストが非常に高いため、100V出力が擬似的に正弦波に近い形で波を作る「矩形波(くけいは)」のインバーターでうみだされているクルマもあるのだとか。矩形波は波の上が100Vなので、正弦波と比べると電圧が低く安定しないため、一部に使えない電子機器があるんです。
- 正弦波と矩形波の違い。安いインバーターは多くが矩形波。
と難しいことを書きましたが、簡単に言うと「アウトランダー PHEV」の100Vコンセントなら、『家と同じようにほとんどの家電が使える』ということです。走りながら炊飯器でご飯を炊いたり、電子レンジでコンビニ弁当をあっためたり、消費電力が大きい家電の代表でもあるドライヤーで髪の毛を乾かす、なんていうこともできそうです。
例えば、アウトドアに行ったときでも、普段と変わらない生活ができます。それが「アウトランダー PHEV」の魅力です。バルミューダ ザ・トースターでおいしい食パンを焼き、デロンギの全自動エスプレッソメーカーでカフェラテを入れて朝食を楽しむことが可能。さらに、接続した家電の電力の合計が1500W以下なら使えるので、ホットプレートなども使用できます。クルマの中で焼き肉などが楽しめるというわけです。
焼き肉の後にクルマの中についた臭いが気になっても大丈夫。消臭効果の高いナノイーX機能を搭載したパナソニックの空気清浄機で、車内の空気をキレイにできます。洋服など布に付着した臭いも取ってくれるので安心です。
この正弦波による1500W出力で、好きな家電が自在に使えるのが「アウトランダー PHEV」の魅力なのです。
<家電ライター的魅力ポイント(1)>
消費電力の高い家電も使える!
100V/1500Wコンセントを搭載
災害時も安心。自宅内の家電も「アウトランダー PHEV」で使えるように!
さらに「アウトランダー PHEV」がすごいのが、バッテリーに貯めた電気をV2H(Vehicle to Home)機器を通すことで、家庭に供給できるということです。
例えば災害時などに、地域が停電してしまったときもクルマの電力で家庭内にある家電が使えます。停電はしたけど、BDレコーダーで大好きな番組の録画は逃したくない! なんて思っても、ガレージに「アウトランダー PHEV」があれば録画できるのです。もちろん、冷蔵庫も使い続けられるので、冷凍食材が溶ける心配はありません。エンジンでの発電も組み合わせると、最大約10日間の一般家庭の電力量をまかなうことができます。
- 電気を家庭に供給できるのもすごい。
アウトドアシーンも含めて、もはや電化製品を使わない生活が考えられないガジェット&家電ライターにとって、最大の敵である、停電に対応できる「アウトランダー PHEV」はまさにベストな1台だと言えます。
<家電ライター的魅力ポイント(2)>
家電ライターにとってベストな1台!
災害時もアウトドアでも電源確保が可能
ただ、残念だと思っている部分も多々あります。一つは5人乗りということ。SUVの中には、ミニバン同様に3列シートを搭載し、7、8人乗れるクルマもあります。5人家族なので普段は問題ありませんが、帰省時などに親族も乗ることがあるため、乗車人数がもっと多いと良かったと思っています。
- 大容量のバッテリーを積むハイブリッド車の常として、シートアレンジの自由度はあまり高くない。
スマートフォンからエアコンなどの操作ができる機能「三菱リモートコントロール」やリアハッチが電動で開閉できるエレクトリックテールゲートなどの基本的に欲しい機能を備えた「G」グレードの車両価格は約418万円。決して安くありませんがプラグインハイブリッドの性能を考えると十分に魅力的といえます。
「アウトランダー PHEV G」の評価は以下の通り。
プラグインハイブリッドによる利便性は、実用性として高く評価しました。反面、5人乗りで乗車人数が少ないこと、また、シートアレンジの自由度が低いことにより、使い勝手は低めの評価としています。安全性能も十分です。
何よりもすごいのは省エネ性能。ハイブリッドカーとしての公称燃費は18.6km/Lとそれほど高くはありませんが、EV走行で65km(JC08モード)ができるため、短距離の買い物ならガソリンを使わずに走れます。
場所を選ぶことなく多くの家電製品が使える「アウトランダー PHEV」が家電ライター的には最高のSUVだと言えそうです。
(文:コヤマタカヒロ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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